ユニセフ報告書『SDGs達成に向けた子どもたちのための前進』発表~「数えられていない」子ども5億人【プレスリリース】
各国のデータ不足に警鐘
【2018年3月7日 ニューヨーク 発】
持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた前進の初期評価は、64カ国において驚くべきほどデータが不足し、またデータが存在する37カ国においてもSDGsの達成に向けた前進が不十分であることを明らかにしています。
ユニセフ(国連児童基金)の報告書『SDGs達成に向けた子どもたちのための前進(原題:Progress for Children in the SDG Era)』は、SDGsの子どもや若者に関係する世界的な目標達成に向けた取り組みの評価に特化した初めての報告書です。報告書は、5億2,000万人の子どもたちが、子どもに関連したSDG指標の少なくとも3分の2に関するデータが全くない国、あるいは前進を評価するのに十分なデータが不足している国に暮らしており、事実上彼らが「数えられていない」状況になっていると警鐘を鳴らしています。
十分なデータが存在している国にとっても、SDGsの目標が設定する巨大な挑戦は容易ではありません。報告書は、6億5,000万人の子どもたちが暮らす国々にとって、前進を加速しなければSDGsの少なくとも3分の2の目標を達成することはできないと警鐘を鳴らします。実際、これらの国々では、2030年には、現在よりも多くの子どもたちが悪い状況に置かれる可能性があります。
「世界の半数以上の子どもたちが暮らす国々では、SDGsの前進を測ることができず、計測できる国でも前進が全くみられません」とユニセフ統計・調査・政策局長 ローレンス・シャンディ(Laurence Chandy)は述べました。「世界は、SDGs達成への決意を新たにしなければならず、まずはSDGsの達成度を測ることへの決意を新たにする必要があります」
本報告書は、子どもの権利に関係する5つの側面における前進をたどっています。それらは、保健、学習、暴力や搾取からの保護、安全な環境および機会の平等です。報告書は現時点での、世界がグローバルな目標に対してどれだけ下回るかの予測を、人的損失として測り数字で表しています。
予測によれば、現在から2030年までの間に:
- 新たに1,000万人の子どもが、5歳の誕生日を迎える前に、予防可能な原因により死亡する
- 3,100万人の子どもが、適切な栄養が不足しているために発育阻害の状態に陥る
- 2,200万人の子どもが、就学前教育を受けられない
- 1億5,000万人の女の子が、18歳の誕生日を迎える前に結婚する
- 多くの子どもを含む、6億7,000万の人々が、基本的な飲料水を得られない
「世界は2年前、すべての子どもたちに人生最良の機会を与えること、最新のデータ分析によってその達成に導くことへの意欲的な課題に合意しました」とシャンディは言います。「しかし、この子どもに関するSDGsの前進に関する包括的な報告書が明示しているのは、絶望的とも言えるデータ不足です。ほとんどの国は、彼らが前進しているのかどうかを評価するための情報すら持っていません。世界中の子どもたちは、私たちを頼りにしていますが、私たちは彼ら全員を数えることすら出来ていません」
この報告書は、有能な国のデータ機関やその能力の開発には時間と投資が必要なことを認識しつつ、この世界的なデータ不足という課題に、あらためて取り組むことを求めています。報告書はこの取り組みのために、次の3つの原則を掲げています。
- 保健、教育、社会サービス、国境管理を含むサービス提供システムに強固な計測方法を構築すること
- すべての国が、彼らの資源や能力に関係なく、子どもに関する最低限のデータ収集を確実にするために、組織的かつ相互調整して努力を行うこと
- 子どもたちが直面する新たな脅威を精査し、見逃されている子どもたちを把握し、そして子どもたちのプライバシーを守りながら、弱い立場にある子どもたちをより効果的に特定するための共通した手法を含む、子どもに関するデータに関してより強力な共有された規範を設定すること
目標の達成に導きまた測るためのデータ収集に関する最終的な責任は各国政府にあるものの、国際社会はSDGsの目標達成を確実なものとするために、各国政府と協力する義務があります。
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■報告書のデータに関して:
SDGsのうち子どもに特に関連する9つの目標の44の指標のうち、39の指標についてデータの存在および前進について評価。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)
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