〈ラブクラフトやディックに並ぶアメリカのカルト作家〉現代ホラー界の秘宝、トマス・リゴッティによる傑作小説集『悪夢工場』が12月4日、ついに日本上陸

「キングがホラーの達人なら、リゴッティはホラーの化身だ。」(ニューヨーク・タイムズ)ほか、絶大な支持を獲得する“文学史上最も危険な作家”、待望の本邦初単行本。

河出書房新社

株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、米国ホラー作家協会(HWA)主催ブラム・ストーカー賞を4度受賞する「ホラーの化身」、現代アメリカのカルトホラー作家として絶大な支持を得る、トマス・リゴッティの日本オリジナル傑作小説集『悪夢工場』を、2025年12月4日に刊行いたします。

偉大なエンターテイナーであるキングがホラーの達人なら、リゴッティはホラーの化身だ。
筆を執っている彼自身がまるで恐怖そのものだ。

――「ニューヨーク・タイムズ」紙


カルト作家、トマス・リゴッティとは誰か?

「ホラーの化身」「現代のラヴクラフト」「ホラーの枠に収まらないホラー作家」……。露骨な暴力描写を避け、繊細な表現と反復を用いることで不穏な風景を描出する作風、圧倒的想像力で構築される独自の世界観から、現代アメリカのホラー作家として特異な位置を占め、絶大なカルト的人気を誇るトマス・リゴッティ。

リゴッティは、1986年に300部限定のペーパーバックで刊行した第一短編集『Songs of a Dead Dreamer』以後、ほとんどの作品をファンジンやセミプロ誌で発表し続け、インタビューはメールか郵便でのやりとりしか許可しておらず、作家像はいまだ謎に包まれています。

その文学性の高さから、ポー、ラヴクラフト、フィリップ・K・ディック、ナボコフ、カフカ、ブルーノ・シュルツ、トーマス・ベルンハルトほか、世界文学のさまざまな巨匠たちと並び称され、米国ホラー作家協会(HWA)が主催する、その年に出版された最も優れたホラー小説、ダーク・ファンタジー作品などへ贈られるアメリカ最高峰のホラー文学賞、ブラム・ストーカー賞をこれまで4度受賞。

2019年には、スティーヴン・キング、ハーラン・エリスン、エドワード・ゴーリー、ジョージ・A・ロメロなど錚々たる作家、アーティストが名を連ねる同賞の「生涯功労賞」に輝きました。

また、1996年には本書の元となる自選短編集『The Nightmare Factory』で英国幻想文学大賞を受賞するなど、世界的にも高い評価を受けている孤高の作家です。

ホラーの化身による傑作小説集『悪夢工場』

そこでは得体の知れない生命が地位を確立しているらしい。
うめき声をあげる壁の中に広がるこだまたちの秘かな文明が。

――「ヴァステイリアン」より

そう、この世界の人々が、神ならぬ新たな神の存在に勘づいていることを漏らしてしまったのは、せいぜい一世紀前のことだった。

――「ツァラル」より

本書『悪夢工場』は、トマス・リゴッティの膨大な作品群から、選りすぐりの9編を選んだ日本オリジナル編集の小説集、待望の本邦初単行本です。

日本国内では、アンソロジーへの収録、雑誌掲載された数編のみが紹介され、一部のホラー愛読者から熱狂的に迎えられていたものの、これまで知る人ぞ知る存在だったリゴッティ作品。本書では、第一短編集所収の「戯れ」「アリス最後の冒険」から、1996年発表「赤塔」まで、ほぼ初出順に収録され、作風の変化、リゴッティの独特な小説世界が顕著に現れている作品が厳選されています。

リゴッティ独自のペシミズム、ニヒリズム、人間存在そのものに対する根源的な疑義から生み出される陰鬱な恐怖、深遠な闇、救いがたい世界。祈りとも、呪いともとることのできない、読み手の神経を不気味に刺激し、本能レベルまで訴えかけてくる悪夢のような傑作たちを、ぜひご堪能ください。

目次

戯れ[The Frolic](若島正訳)

アリスの最後の冒険[Alice’s Last Adventure](白石朗訳)

ヴァステイリアン[Vastarien](若島正訳)  

道化師の最後の祭り[The Last Feast of Harlequin](宮脇孝雄訳)

ネセスキュリアル[Nethescurial](若島正訳)

魔力[The Glamour](若島正訳)

世界の底に潜む影[The Shadow at the Bottom of the World](若島正訳)

ツァラル[The Tsalal](若島正訳)

赤塔[The Red Tower](若島正訳)

解説 若島正

『悪夢工場』扉ページ

著者紹介

トマス・リゴッティ(Thomas Ligotti)

1953年、アメリカ・デトロイト生まれ。フロリダ在住。1981年に短編「The Chymist」でデビュー。以後、ほとんどの作品をファンジンやセミプロ誌で発表。1986年に300部限定で刊行した第一短編集『Songs of a Dead Dreamer』をはじめ、『Grimscribe』(1991年)、『Noctuary』(1994年)、『The Nightmare Factory』(1996年)、『Teatro Grottesco』(2006年)など数々の短編集と、中編『My Work Is Not Yet Done』、評論『The Conspiracy against the Human Race』を刊行。ブラム・ストーカー賞を4度(生涯功労賞を含む)、英国幻想文学大賞を1度受賞。2015年には『Songs of a Dead Dreamer』と『Grimscribe』の合本版がペンギン・ブックス社「ペンギン・クラシックス」より刊行された。

【編訳者】若島正(わかしま・ただし)

1952年生まれ。京都大学名誉教授。英米文学者、詰将棋・チェスプロブレム作家。著書に、『乱視読者の新冒険』、『乱視読者のSF講義』、『ロリータ、ロリータ、ロリータ』、『盤上のフロンティア』など。訳書にV・ナボコフ『ロリータ』、『ディフェンス』、T・スタージョン『海を失った男』、M・マッカーシー『私のカトリック少女時代』など。編訳書に『モーフィー時計の午前零時 チェス小説アンソロジー』、『ベスト・ストーリーズ(全3巻)』、シリーズ「ドーキー・アーカイヴ」など。

【訳者】宮脇孝雄(みやわき・たかお)

1954年生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。著書に、『翻訳の基本』、『続・翻訳の基本』、『英和翻訳基本辞典』、『翻訳地獄へようこそ』、『洋書天国へようこそ』、『洋書ラビリンスへようこそ』、『宮脇孝雄の実践翻訳ゼミナール』など。訳書に、P・マグラア『愛という名の病』、P・ハイスミス『回転する世界の静止点』、I・マキューアン『セメント・ガーデン』、『イノセント』、C・バーガー『ミッドナイト・ミートトレイン』、D・L・セイヤーズ『顔のない男』、W・トレヴァー『ディンマスの子供たち』など。

【訳者】白石朗(しらいし・ろう)

1959年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。訳書に、S・キング『悪霊の島』、『11/22/63』、『アウトサイダー』、『ビリー・サマーズ』、『フェアリー・テイル』、J・グリシャム『法律事務所』、『謀略法廷』、『汚染訴訟』、『告発者』、J・ヒル『NOS4A2 ノスフェラトゥ』、J・ヒルトン『チップス先生、さようなら』、P・ハイスミス『見知らぬ乗客』など。

書誌情報

書名:悪夢工場

著者:トマス・リゴッティ

編訳:若島正

訳者:白石朗/宮脇孝雄

仕様:46判/並製/248ページ

発売⽇:2025年12⽉4日

税込定価:2,970円(本体2,700 円)

ISBN:978-4-309-20939-5

装幀:水戸部功

書誌URL:

https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209395/

※電子書籍も近日中に発売予定です。

詳細は各電子書籍ストアにてご確認ください。

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代表者名
小野寺優
上場
未上場
資本金
3000万円
設立
1957年05月