外部の介護サービスに「頼りたい」は4年連続9割超「家族だけで抱え込まない」という介護観が定着
ダスキン ヘルスレント5年目となる「介護白書 2026」発表 家族社会学・計量社会学を専門とする筒井淳也教授(立命館大学産業社会学部)に聞く、介護を「家族だけの問題」にしないために必要な備えとは?
株式会社ダスキン(本社:大阪府吹田市、社長:大久保 裕行)が展開するヘルスレント事業(介護用品・福祉用具のレンタルと販売)は、9 月 21 日(月・祝)の「敬老の日」を前に、60代〜80代の親世代1,000人、および20代〜50代の子世代1,000人を対象にした介護に関する実態調査を行いました。本調査は、介護に対する「備えの文化」を育むことを目指し、「あしたのケア」をテーマに2022年から継続している啓発活動の一環です。5回目となる今回は、介護に対するイメージや備えの状況、親子の意識について調査し、一部の項目を過去の調査結果と比較しました。
■本リリースのポイント
今回の調査では、介護を「家族だけで抱え込む」という考え方が、やや薄れつつあることがうかがえました。その一方で、介護の担い手を巡る親子の意識差は4年間ほぼ変わらず、子世代では介護に対する不安として「時間」や「仕事」を挙げる割合が高いことが明らかになりました。
【定着】外部の介護サービスに頼る意識、4年連続で9割超
「積極的に頼るべき」と思う人は92.1%。外部サービスを頼る意識の定着がうかがえます。
【変化】「家族だけで抱えこまない」介護観が拡がる
23年から、「家族の問題は家庭内で解決すべき」は46.4%から40.0%、 「家族は一緒に暮らす べき」は49.1%から42.3%に低下しました。
【不変】介護の担い手をめぐる親子の意識差は約30ポイント
「家族・親族による介護」を望む親世代は27.5%、子世代は56.8%。この差は2023年からほぼ変化がありません。
【新視点】子世代にとって介護は「時間」や「仕事」に影響するもの
子世代の不安は「時間」(60.3%)や「仕事」(41.6%)で、親世代を大きく上回りました。
【課題】備えの必要性は9割超、相談先の把握は1割未満
備えが必要と考える人は95.1%である一方、介護経験のない人で何も準備していない人は67.8%で、相談先を把握している人は7.5%にとどまりました。介護について親子で話し合いをしている親世代は22年の18.4%から13.8%に低下しました。

※1 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2024年7月12日)

■調査結果のトピックス

■ダスキン ヘルスレントとは
シニアライフの安心と快適な暮らしのサポートを目的に、主に介護保険制度が適用される介護用品・福祉用具のレンタルや販売を行う事業。
介護に対する「備えの文化」を育むことを目指す啓発活動「あしたのケア」プロジェクトにおいて、2026年度はアニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』とのコラボレーションをしたコミュニケーション「介護の救世主ケアシロウ × 北斗の拳」を展開。
ダスキン ヘルスレント 公式ホームページ URL:https://healthrent.duskin.jp/
「介護の救世主ケアシロウ × 北斗の拳」URL:https://healthrent.duskin.jp/project/careshiro/
■ダスキン ヘルスレント「介護白書2026」調査概要
●調査時期:2026年6月2日(火)〜6月6日(土)
●調査対象:
親世代=自身の年齢が60代〜80代で別居の子どもがいる男女1,000人(介護経験あり500人・なし500人)
子世代=自身の年齢が20代〜50代で60代〜80代の別居する親がいる男女1,000人(介護経験あり500人・なし500人)
●調査方法:インターネット調査
●調査委託先:マクロミル
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
※経年比較は、いずれも同一設計(n=2,000)の各年調査との比較です。本文中の「有意」は統計的検定(母比率の差の検定)に基づきます。
■調査結果
介護に対するイメージに変化はないが、「家族だけで担うもの」という意識は変化している
介護の「イメージ」自体は、この4年で大きくは変わっていない
親または子と離れて暮らす2,000人(親世代1,000人、子世代1,000人)に介護に関する調査を行い、過去の調査結果と比較しました。介護のイメージを聞くと、「精神的な負担が大きい」67.9%、「肉体的な負担が大きい」62.8%など、負担に関する項目が引き続き上位を占めました。2023年調査(それぞれ70.8%、64.3%)と比べるとやや低下しているものの、その差は大きくありません。介護を「親孝行」と捉える人も29.8%(23年32.1%)で、前回調査を下回ったものの、明確な変化があったとまではいえません。これらの結果から、介護に対する基本的なイメージは、この4年間で大きく変化していないことがうかがえます。

「家族だけで担う」という介護の前提に変化
上記の介護の「イメージ」では大きな変化は見られなかった一方、「家族の役割」に対する考え方には変化が認められました。「自身や両親に介護が必要になった場合の生活」について尋ねたところ、「介護での家族の役割」に関わる4つの質問項目で、2023年から2026年にかけて、同じ方向への変化が見られました。
減少した項目は「家族は一緒に暮らすべき」(23年49.1%、26年42.3%、6.8pt減)、「家族の問題は家庭内で解決すべき」(23年46.4%、26年40.0%、6.4pt減)、「家族に介護してもらえる方が嬉しい」(23年48.6%、26年44.0%、4.6pt減)でした。一方、増加したのは「早いうちに施設入所が良い」(23年62.6%、26年67.5%、4.9pt増)でした。
これらの4項目はいずれも統計的に有意な変化が確認されており、介護を家族だけで担うのではなく、社会的な支援やサービスを活用しながら支えていくものとしてとらえる介護観への変化がうかがえます。

介護を受ける側の親世代より、介護をする子世代の方が「家族による介護」を希望
介護が必要になった時の方法で「家族・親族による介護」を希望した親世代は27.5%、子世代は56.8%で29.3ptの差が生じました。介護を受ける側である親世代よりも介護をする側の子世代の方が、家族が担うものだと考えており、担い手についての考えの相違が表れる結果になりました。2023年の調査結果でも同様で、親世代が26.0%、子世代が56.7%と、30.7ptの差が生じています。この差の数値は、2023年と2026年(30.7pt→29.3pt)で大きく変化はしていません。


外部の介護サービスやプロへの「頼る意識・安心意識」が定着、社会と連携した介護へ
外部の介護サービスを「積極的に頼るべき」は、23年から26年まで連続9割強
外部の介護サービスに頼るべきかを聞くと、全体の92.1%が「頼るべき」と答えています。同質問の回答は、2023年の92.9%以降、2024年92.5%、2025年93.3%と継続して9割を超えていることから、外部の介護サービスを活用する意識が広く定着していることがうかがえます。

介護経験の前後で、外部サービス利用への意識が異なる
また、23年から26年の間で「家族で介護」は減少し、「介護のプロは安心」が増加
次に、調査対象者の中から介護経験のある人1,000人(親世代500人、子世代500人)を対象に、介護を経験する前と後での考えの変化を尋ねました。「家族は自分の手で介護すべきだ」という考えを持つ人は、介護経験前の17.3%に対し、介護経験後は7.6%となり9.7pt低下しました。2023年調査でも、介護経験前の21.2%に対し、介護経験後は10.0%と、11.2ptの差が見られました。また、2023年と2026年を比較すると、「家族は自分の手で介護すべきだ」と考える人は、介護経験前(23年21.2%→26年17.3%)と介護経験後(23年10.0%→26年7.6%)のいずれでも、減少しています。
このほか、「家族の介護を他人に任せるのは罪悪感がある」という項目でも、介護経験前の15.6%に対し、介護経験後は6.3%となり9.3pt低下しました。2023年の調査でも、介護経験前の17.7%に対し、介護経験後は7.3%と、10.4ptの差が見られました。

続いて、「介護のプロに頼ると安心」という考えについて、介護経験の前後でそれぞれ回答してもらうと、介護経験前は46.4%が「安心だと思う」と答えたのに対し、介護経験後は64.0%になりました。
以上の結果から、介護の経験が、外部の介護サービス利用に対する心理的障壁を取り除いていると推測できます。しかし、これらは介護経験前の気持ちを回顧して回答した結果であるため、「経験すると変わる」という因果はなく、「介護経験したことで、回答者自身が変わったと“感じている”」ことを表わしています。

介護で求められるサポートは「短期サービス」「行政の支援」「長期的な介護サービス」が上位
外部介護サービスや公的支援が「家族・親族の協力」を上回る
親世代に対して、自分自身の介護に必要なサポートを聞くと、「デイケアなど短時間でも依頼できるサービス」60.8%(23年57.9%から2.9pt増)、「行政の支援」59.4%(23年54.7%から4.7pt増)、「老人ホームなど長期的に介護を依頼できるサービス」59.2%(23年58.8%から0.4pt増)、「介護職や専門家のアドバイス・サポート」54.0%(23年51.8%から2.2pt増)など外部からの支援や専門的なサポートが上位に挙がりました。
子世代に対して、両親の介護に必要なサポートを聞くと、「デイケアなど短時間でも依頼できるサービス」58.2%(23年64.8%から6.6pt減)、「行政の支援」58.1%(23年62.5%から4.4pt減)、「老人ホームなど長期的に介護を依頼できるサービス」55.8%(23年56.5%から0.7pt減)が上位になりました。
これら上位に挙げられたサポートは、「家族・親族の協力」(親世代:23年43.9%、26年43.4%、子世代:23年56.5%、26年54.7%)を上回っており、家族・親族の協力よりも、専門職や行政による支援がより求められていることが分かりました。

これらの調査結果から、介護は家族が担うものという意識が薄れている傾向がうかがわれます。中でも介護経験を経た人ほどその傾向が強く、外部の介護サービスや公的支援を活用した連携型の介護へと変化していると推察できます。

介護についての親子の話し合いは難しい
話し合いをしている人は、親世代13.8%、子世代22.5%と少数派
その割合は、親世代で減少傾向が見られる
介護の準備では、親世代の希望を尋ねるなど話し合いが大切です。「老後の世話(介護)」について話し合ったことがある人は、親世代で13.8%(22年18.4%)、子世代で22.5%(22年25.0%)でした。2022年と比較して、親世代は4.6pt減と有意に減少が見られました。

「将来の介護について家族で話し合うのは難しい」と思う人は全体の約6割。親世代より子世代の方が遠慮がち
介護について話し合う人が少ないのが現状ですが、その背景にどんな意識があるのでしょうか。将来の介護のことを事前に「家族で話し合うのは難しい」と思う人は全体の約6割(58.7%)でした。親世代は54.1%、子世代は63.3%と9.2pt差があり、親世代よりも子世代の方が、話し合いに遠慮をしている様子がうかがわれます。

介護の備えが必要と思うも、介護経験のない人は準備が進んでいない
介護の備えが必要だと思う人は95.1%と大多数
次に、備えの必要性について尋ねてみました。「自分に介護が必要になった場合に備えて、自分で金銭面などの準備をしておくべき」という考えに、「そう思う」(50.1%)と「ややそう思う」(45.0%)と回答した人の合計は95.1%に上り、大多数の人が準備の必要性を感じていることが分かりました。

介護経験のない人のうち「準備をしていない人」は約7割
具体的な準備の行動のTOPは「金銭」17.3%、「公的制度や相談先の把握」は7.5%とわずか
介護経験のない人1,000人(親世代500人、子世代500人)に準備の状況を聞くと、「特に何も準備していない/いなかった」が67.8%と約7割を占めます。事前に準備できているものとしては「金銭的な準備」が17.3%、「公的制度や行政窓口、相談先を把握」が7.5%、「情報収集(介護施設の資料を取り寄せ、比較検討・外部サポートの費用や利用条件の検索など)」が6.8%で、実際に行動を起こしている人はあまり多くありません。



要介護になった時、不安や心配事がある人は約9割と大多数。子世代の心配は「時間」と「仕事」
親世代に、自身が要介護になった時に不安や心配事があるかと聞いたところ、「ある」人は91.6%(23年90.6%)と大多数で2023年から横ばいです。一方、子世代に両親が要介護となった場合の不安や心配事について聞いたところ92.2%(23年95.5%)で、2023年に比較して3.3ptの減少が見られました。

親世代・子世代とも“精神・身体・経済”の3項目について心配している
要介護になった時に不安・心配事があると答えた人(親世代916人、子世代922人)を対象に、その内容を聞いてみました。親世代では上位に「身体的な不安・負担」71.4%(23年72.2%から0.8pt減)、「精神的な不安・負担」61.6%(23年67.8%から6.2pt減)、「経済的な不安・負担」59.8%(23年61.8%から2.0pt減)が挙げられました。子世代に対して両親が要介護となった場合の不安・心配事を聞くと、「経済的な不安・負担」73.4%(23年73.8%から0.4pt減)、「精神的な不安・負担」71.6%(23年72.9%から1.3pt減)、「身体的な不安・負担」60.8%(23年65.8%から5.0pt減)が上位でした。以上の項目の中で減少が大きかったのが、親世代では「精神的な不安・負担」(6.2pt減)、子世代では「身体的な不安・負担」(5.0pt減)で、その他の項目は横ばいでした。

不安・心配事の内容の中で、両世代で最も差が開いた項目が「時間的な不安・負担」で、親世代の12.9%と子世代の60.3%では47.4ptの差が生じました。
また、「仕事に対する不安・負担」でも親世代4.5%、子世代41.6%と37.1ptの差が生じました。


<ダスキン ヘルスレントからのアドバイス>
元気なうちから情報収集を行い、 相談先とつながっておくことが「備え」の第一歩
今回の調査結果でも示された通り、介護の備えにおいて重要なのは「家族だけで抱え込まず、早めに専門家や外部サービスへ相談すること」です。実際には「介護保険で何ができるのか分からない」「福祉用具が安価でレンタルできることを知らない」という方も少なくありません。特に介護が必要になる前や初期の段階から「住環境の整備」や「福祉用具の活用」を進めておくことは、ご本人の自立した生活を支えるだけでなく、ご家族の負担を大きく軽減し、いわゆる“負担を最小限に抑える環境づくり”を実現するための非常に有効な手段となります。
「何から手をつければいいか分からない」「どこに頼めばいいか迷っている」というときは、 別紙の 「お困り事別 相談先一覧」をぜひご活用ください。状況に応じた相談窓口を把握しておくことで、いざという時にもスムーズに対応できます。
お近くのダスキンヘルスレント店舗や地域包括支援センターなどの専門機関は、まだ本格的な介護が必要ない段階からご相談いただけます。元気なうちから情報収集を行い、相談先とつながっておくことが、自分らしい暮らしを守る「備え」の第一歩となります。
家族社会学・計量社会学/筒井淳也教授(立命館大学産業社会学部)に聞く 介護を「家族だけの問題」にしないために必要な備えとは?
介護に対して抱く不安感には“取り越し苦労”が含まれている場合もある
本調査では介護経験のある人に介護経験前と後の考え方を聞いており、経験した人は時間が経過して振り返る中で、ポジティブな思い出と捉える人も多く、プロに任せることへの障壁が薄れています。一方、介護経験のない人は、不安を抱くなどネガティブな気持ちが強くなっていますが、それは情報不足による“取り越し苦労”も含まれている可能性が考えられます。これは、介護についての知識を得ることで解決できることですので、サービスの選択肢や公的機関の把握などの準備に意識を向けていただきたいと思います。
「介護の主体は受ける側にある」ため、子どもが先回りすることは避けるべき
話し合いをする場合は、本人の意思に耳を傾けるスタンスで
介護についての「話し合いが難しい」と感じている人が多数であるという結果になりましたが、話し合いをする時に大切な視点は「介護の主体は受ける側にある」ということです。そのため介護保険制度も本人が主体となるよう設計されています。認知症などご本人が自己決定できないケース以外では、子どもが先回りをして準備をすると、親は自分の意思が尊重されていないと感じてしまうのでやるべきではありません。介護はいつ始まるかなど予測がつかず準備は難しいものですが、親子で話し合いをする場合は、まず本人の考えを聞くことが大切で、どんな介護を受けたいのか希望や意見に耳を傾ける会話をしていただきたいと思います。
誰にでも起こり得る介護、「子どもが担うべきもの」という思い込みに注意!
介護は、誰にとっても高い確率で起こるもので、全ての人に考えていただきたいテーマです。介護に関わる時に気を付けていただきたいのは、「子どもが担うべきもの」という思い込みを持たないことです。家族だけで介護を引き受けると、専門的な知識や技術の乏しさや、介護にかける時間の確保などの問題から無理が生じ、逆に親子関係に悪い影響を与えてしまうことがあります。介護を受ける人の希望や介護度はさまざまで、専門家が介入するからこそ適切なケアが実現し、その結果、良好な親子関係が維持されるということを知っていただきたいと思います。

過去の「介護白書」(2022年〜2025年)はこちらからご覧いただけます。
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