〈より速く、快適に、安全に〉「鉄道王国」日本の技術が巻き起こした革命と次なる挑戦の数々『鉄道〈超〉技術史 探究読本』が12月19日発売!
振り子車両、蓄電池車両、ATC、可変座席、ICカード、自動運転……鉄道王国ニッポンは、いかにして“世界標準”を築き上げてきたのか?

株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、新幹線の開発・発達・海外進出をはじめ、「鉄道王国」として世界をリードし続ける日本の先進性と進化を支える技術革新に迫った『鉄道〈超〉技術史 探究読本』を、2025年12月19日に刊行いたします。
『鉄道〈超〉技術史 探究読本』は、150年を超える日本の鉄道「技術進歩史」において、とりわけ大きなインパクトを与え、後世まで語り継がれる「それまでの鉄道における標準を一変させた画期的な技術=『超』技術」ばかりを厳選。「車両」「快適性」「安全性」「娯楽性」「利便性」「運行」「設備」といったキーワードごとに、具体例を挙げながら、その凄さ、革新性を探究していきます。
取り上げる技術は、車両にとどまらず、信号システム、車内・車外の設備、安全・騒音対策まで多岐にわたります。鉄道ファンはもちろん、これから鉄道趣味に足を踏み入れる読者にとっても、知っておきたい知識が満載の一冊です。
○この本で取り上げる鉄道の標準を一変させた「超」技術の例
■連結作業の効率化に大貢献!「自動分割併合装置」
■旅行客に「乗る楽しみ」を提案!「ジョイフルトレイン」
■車内での乗車券変更・精算を円滑に!「車掌用携帯端末」
■鉄道で世界初!水素エンジン搭載を目指す「脱炭素車両」
……などなど、全7章、40項目にわたり、画期的な「超」技術を厳選して紹介!
日本の鉄道技術の革命と次なる挑戦がわかる!――「はじめに」より抜粋
1872(明治5)年10月に日本の鉄道が営業を開始して、2025(令和7)年10月で153年が経過した。初めはイギリス仕込みの、いうならば“植民地仕様”で始まった日本の鉄道システムも、技術の発展や国情に合わせて独自の進化をとげていった。
「鉄道の進化」とひと言でいうと、蒸気機関からディーゼルや電化へのプロセスをイメージする方が多いだろうが、これは「車両動力の進化」という、あくまでも進化の一例にすぎない。たとえば、新幹線は同一仕様の車両を大量に導入することでその運用を簡素化し、稼働率を上げ、同時に無駄な部品のストックを極力減らすことで保守費用(メンテナンスコスト)の削減にもつなげている。
技術の進化は利用する側(乗客や荷主)にとってもプラスに働く効果が得られている。かつて、鉄道を利用する際は紙のきっぷを並んで買い求め、係員が改札鋏をカラ打ちしながら待ち受ける改札口で改札を受けたのち、線路との間に何もさえぎるものがないプラットホームに並んで列車を待つというスタイルが当たり前であった。
近年では、日常生活にすっかり溶け込んだICカードによる自動改札機を通過し入場、ホーム柵が整備されたプラットホームで安全に列車の到着までの時間を過ごすことができる。これもまた、技術発展の成果を享受しているものといえよう。
本書では、主に第二次世界大戦終結後からの技術発展の成果を、「車両」「快適性」「安全性」「娯楽性」「利便性」「運行」「設備」という面から具体例を挙げて紹介する。各例の解説については、広く深く鉄道趣味を掘り下げている読者諸氏にとっては「今さら」と思える部分もあるかもしれないが、できるだけ専門的な用語を使わないように努めた。
鉄道趣味に足を踏み入れてみようという好奇心旺盛な読者にとって、「鉄道技術の発展を知るための入門書」として手に取っていただければ幸甚だ。
鉄道を劇的に進化させた革新テクノロジー、「超」技術の数々を、ぜひ本書でご堪能ください。
『鉄道〈超〉技術史 探究読本』目次
1章 車両性能を革新した鉄道技術
振り子車両…カーブ通過時の車両の高速化と乗り心地向上を実現
空気バネによる車体傾斜制御…低コストで振り子式に劣らない快適性を確保
蓄電池車両…短距離の非電化支線の「実質的電化」に大きく寄与した
EDC方式車両…電車とディーゼルカーの長所が融合した画期的な車両
非電化区間への電車乗り入れ…クルーズトレインの進化に欠かせない技術
脱炭素車両…「2050年カーボン実質ゼロ」へ。業界全体での取り組みが進行中
DMV…線路も道路も走る車両は、ローカル線の救世主となるか?
電気式ディーゼル機関…パワーから環境負荷低減へ…時代の求めに応じて進化
事業用貨車の気動車化…車種統一と新車投入で得られた合理化
2章 快適性を向上させた鉄道技術
可変座席…国鉄が編み出したアイディアが民鉄で花開いた
ユニバーサル車両…多目的室・車椅子スペースの拡大で誰もが快適に過ごせるように
寝台個室の豪華化…時代とともに多様化した種類と、その設備を振り返る
車両の窓の進化…新素材の登場と列車の高速化が変えた大きさ
乗降用扉の進化…シンプルな構造に始まり、輸送量の増加にともなって発展
列車トイレの進化…広く、キレイになるまでの紆余曲折の歴史
グリーン車…グレードの高い車両で快適な移動空間を提供
走行時の騒音対策…「もっと静かに!」を求めて日本独自の発展をとげた
新幹線の騒音対策…スピードアップと防音を両立させるための苦闘史
3章 安全性を深化させた鉄道技術
新幹線のATC信号の進化…新幹線開業は信号システムにも革命を起こした
3線軌道用ATC…共用区間の安全確保のために開発された技術
ATACS…安全性を飛躍的に高める「地上信号機不要」のシステム
「早く、確実に」止める技術…非常時に、車両を安全に停止させる機構を実用化
新幹線の地震対策…事業者や路線で異なる脱線・逸脱防止の手段
標識灯のLED化…超高輝度ランプの実用化で視認性・安全性がアップ
4章 娯楽性を創出した鉄道技術
ジョイフルトレイン…旅行客に「鉄道に乗る楽しみ」を提案した特別仕様車両
展望車の進化…事業者や車種、運行線区により多彩なコンセプトの車両が活躍
食堂車…長距離列車の象徴から「食の体験車両」へ変貌
5章 利便性に磨きをかけた鉄道技術
自動改札機…数々の難題を飽くなきチャレンジ精神で突破
交通系ICカード…運賃支払いの変革は21世紀とともに始まった
車掌用携帯端末…乗車券の発行機が総合的情報端末へ進化
モニタリング機能…新幹線運転士の単独乗務を可能にした技術
6章 円滑な運行を実現させた鉄道技術
除雪作業の進化…豪雪地帯の鉄道は、雪とどう格闘してきたのか
寝台列車の運用…長くはつづかなかった昼夜兼用車両の栄華
自動分割併合装置…途中駅での分割・併合作業の効率向上に貢献
自動運転…運転士が存在しなくなる日はそれほど遠くない
7章 設備の増強に寄与した鉄道技術
荷物輸送事業…見直されつつある貨物列車・荷物列車の利便性
営業車検測…ドクターイエローに代わる新時代の動的設備検測とは
列車電話…画期的だった、列車内からの「モシモシ」
ホーム安全柵…「欄干のない橋」の追放へ。各社による整備が進む
つり手の進化…握り方は人それぞれ。でも、使いやすい「つり手」に
『鉄道〈超〉技術史 探究読本』本文を一部紹介!





著者紹介
富田松雄 とみた・まつお
1973年、山口県生まれ。鉄道会社に入社後、駅員を経て新幹線車掌、新幹線運転士としての乗務を経験する。2014年に退職後、ライター・カメラマンに転身し、精力的に活動を行なっている。著書に『新幹線車両大全2025-2026』『新幹線用語集』『新幹線歴代車両ハンドブック』『新幹線車両大全2023-2024』『先を見過ぎた鉄道車両たち』(以上、イカロス出版)がある。
書誌情報

書名:鉄道〈超〉技術史 探究読本
著者:富田松雄
仕様:四六版/並製/224ページ
発売⽇:2025年12月19日
税込定価:1,892円(本体1,720円)
ISBN:978-4-309-29561-9
装丁:スタジオ・ファム
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