NEC、農業ソリューションCropScopeによる脱炭素効果を算定しCOP30にて発表
EU Green Digital Coalitionが推進するNet Carbon Impact事業に日本企業として初めて採択
NECは、2025年11月10日からブラジルのベレンで開催されているCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)において、農業ICTプラットフォーム「CropScope」が果たす脱炭素効果を発表しました。NECは、国際的な気候コンサルティング企業であるカーボン・トラスト社と共同で、日本の北海道におけるCropScope可変施肥機能の活用事例を題材にケーススタディを実施しました。カーボン・トラストの試算によると、冬小麦への適用時には、このソリューションのネットカーボンインパクトは約-6 tCO2eであり、排出量を23%削減する結果となりました。
本算定はEU Green Digital Coalition(注1)が推進するNet Carbon Impact事業で日本企業として初めて採択され(注2)、社会に与える脱炭素効果のポテンシャルを定量化したものです。

【背景】
EU Green Digital Coalitionが推進するNet Carbon Impact事業は、デジタル技術による環境貢献を科学的に評価するための取り組みであり、NECは気候変動に密接に関わる農業のデジタルソリューションの活用に着想し、本事業に応募、採択されました。CropScopeの可変施肥機能によって、施肥効率向上だけでなく、環境貢献効果があることを、本事業にて初めて定量評価し、ケーススタディレポートとして公開します。
NECのCropScopeは、可変施肥により過剰な施肥を抑制することで、肥料由来の窒素から硝化・脱窒反応を通じて発生するN₂O(亜酸化窒素)の排出量を削減することができます。2022年には北海道の農場で複数の作物を対象とした実証を実施し、そのデータを用い、Net Carbon Impact事業の枠組みでCarbon Trust社の支援を受けて定量的に評価しました。
【NEC CropScopeの特長】
1. 衛星データ解析による高精度な可変施肥マップ生成
可変施肥とは、圃場内の生育状態や土壌の性状に応じて、場所ごとに施肥量を最適化する技術です。CropScopeでは、衛星画像から得られる植生(NDVI)や推定土壌窒素量などのモニタリング情報を解析し、圃場を複数の管理ゾーンに区分します。それぞれのゾーンに最適な施肥量を自動で計算・マップ化します。このマップを活用することで、従来の一律施肥では対応できなかった局所的な過剰・不足を抑え、肥料の効率的な利用と生産性の向上を実現します。

2. 農機連携への対応と現場導入のしやすさ
生成された施肥マップは、対応するトラクターや施肥機と連携することで、ゾーン別の施肥を自動で実行することが可能です。従来、専門的な知識や複雑な設定が必要であった可変施肥を、データ解析からマップ生成、施肥作業まで一気通貫で簡便に利用できるのが特長です。初めての利用者でも操作しやすいユーザインターフェースと実運用を意識した設計により、現場への導入ハードルを大幅に下げています。
NECは、今後CropScopeを通じた脱炭素効果を訴求し、カーボンクレジット創出事業の取り組みを進めていきます。
(注1) 欧州グリーン・デジタル連合(EGDC)は、EU理事会の要請に基づき、欧州委員会と欧州議会が支援する企業によるイニシアチブであり、デジタルソリューションが持つ排出削減の可能性を他のすべての分野に活用することを目的としています
(注2) 2025年11月17日時点
関連リンク
農業ICTプラットフォーム CropScope
https://jpn.nec.com/solution/agri/service/farm_analysis.html
以上
<本件のお問い合わせ先>
NEC GX事業開発統括部
E-Mail:gx-pj@ptg.jp.nec.com
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