外国人労働者、企業の4社に1社が雇用 14.3%は採用「拡大」 「教育・コミュニケーション」の課題は依然高水準 円滑な労使関係を構築する仕組みづくりが必要

外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査(2025年8月)

株式会社帝国データバンク

株式会社帝国データバンクは、全国2万6,162社を対象にアンケート調査を実施した。なお、外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査は、前回2024年2月に実施し、今回で2回目。

SUMMARY

今回の調査によると、現在、外国人を「雇用している」企業は24.7%となり、前回調査(2024年2月)から1.0ポイント上昇、採用拡大の意向がある企業は14.3%だった。外国人労働者の雇用・採用における課題では、「スキルや語学などの教育」「コミュニケーション」が依然として高い。外国人労働者の受け入れを推進する政府主導の下、円滑な労使関係を構築する仕組みづくりが必要であろう。

                        

※調査期間:2025年8月18日~8月31日(インターネット調査)

調査対象:全国2万6,162社、有効回答企業数は1万701社(回答率40.9%)


外国人を雇用している企業は24.7% 個人向けサービス業で採用拡大の傾向

外国人の雇用・採用について尋ねたところ、現在「雇用している」企業は24.7%となり、前回調査(2024年2月)から1.0ポイント増加した。一方で、現在「雇用していない」企業は58.1%(前回比1.1ポイント減)となり、現在「雇用していない」の低下分が現在「雇用している」の上昇分にシフトする結果となった。

また、今後の採用に関しては、現在外国人を雇用しており、かつ採用を増やす意向の企業は前回調査から1.4ポイント低下し、3.1%にとどまった。また、現在雇用していないが、今後新たに採用する企業は11.2%(前回比1.0ポイント減)だった。両者の合計14.3%(同2.4ポイント減)の企業が外国人労働者を採用開始・拡大する意向があることが分かった。

                

業種別の外国人労働者の採用の拡大については、「人材派遣・紹介」が36.6%(同2.8ポイント増)でトップとなり、次いで「各種商品小売」(29.5%、同7.8ポイント増)、「飲食店」(28.2%、同15.8ポイント減)が続いた。上位10業種では、サービス業や小売業を中心とした個人向けサービス業が多くを占めている。また、前回調査と比較すると、51業種中16業種で外国人労働者の採用拡大の割合が上昇し、35業種が低下した。

なお、これら上位10業種のうち、「飲食店」「運輸・倉庫」「農・林・水産」「パルプ・紙・紙加工品製造」「メンテナンス・警備・検査」の5業種が特定技能の分野に指定されている。

 外国人雇用の課題、「教育・コミュニケーション」が突出するも 具体的な解決策に欠ける 

外国人雇用の課題、「教育・コミュニケーション」が突出するも 具体的な解決策に欠ける

外国人労働者を雇用する際の課題について尋ねたところ、「スキルや語学などの教育」(55.8%、前回比0.7ポイント増)と「コミュニケーション」(55.7%、同0.7ポイント増)が50%を上回り、前回調査に引き続き突出して高かった。企業からは、「現在、技術者候補の方に従事してもらっているが、語学面に関しては会社側だけでなく、本人も苦労している部分が大きい」(専門サービス、三重県)のように、具体的な解決策を講じられず、労使ともに苦労しているといった声が多く聞かれた。

また、「宗教による生活様式などの違いへの配慮」は24.3%であり、およそ4社に1社が課題を抱えている結果となった。実際、「過去に雇用したこともあるが、文化の違いから既存社員と融和できなかった。連絡なしでの欠勤やすぐに辞めてしまうなどの問題もあった」(建設、愛知県)といった声も多かった。


本調査の結果、外国人労働者の採用を拡大する意向のある企業は14.3%だった。とりわけ、人手不足感の強い個人向けサービス業などでは採用拡大に意欲的な傾向が表れた。また、2024年9月に特定技能の分野に自動車運送業が指定されたことにともない、運送業において外国人の採用拡大への意向が高まっている。これらの業種では人手不足のが高止まりしている現状を踏まえると、特に外国人労働者を雇用するニーズは強まると予想される。

また、外国人労働者の雇用・採用における課題では、「スキルや語学などの教育」「コミュニケーション」が大きな障壁となっている。今後も外国人労働者は増加していくとみられるが、個々の企業で具体的な解決策を講じるには限界もあるなかで、外国人労働者の受け入れを推進する政府が主導し、円滑な労使関係を構築する仕組みづくりが必要であろう。

<参考>外国人労働者・雇用事業所の推移

 

主な企業からの声:業種51分類

 雇用・採用が順調に進んでいる、または前向きな意見

 

  • インドネシアからの技能実習生を採用している。地方は人口減少が著しく、新卒採用が見込めないため、実習生の労働力に頼っている(鉄鋼・非鉄・鉱業)

  • 受け入れ機関がしっかりと対応してくれるので安心している(自動車・同部品小売)

  • よい人材は外国人にもいるので、機会を逃さず採用を継続している(専門サービス)

 

雇用・採用に困難がある、または否定的な意見

  •   当社での取扱貨物が多品種のため、業務の平準化が困難。業務の遂行上、コミュニケーションが重要であり採用に至っていない(運輸・倉庫)

  • 人材不足のため採用をしたいと思っているが、なかなか通常の求人では応募がない(飲食店)

  • 現在の就労ビザにおけるルールでは、外国人を現場作業員として正社員で採用するのは非常にハードルが高い(建設)

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


キーワード
外国人
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

株式会社帝国データバンク

207フォロワー

RSS
URL
https://www.tdb.co.jp/index.html
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区南青山2-5-20
電話番号
03-5775-3000
代表者名
後藤 信夫
上場
未上場
資本金
9000万円
設立
1987年07月