ユニセフ「父の日」キャンペーン:父親の役割を支える政策を【プレスリリース】

乳児3人に2人は父親の有給育児休業のない国に暮らす

 

生後7カ月の男の子を抱き上げる父親。(コートジボワール) 2017年11月撮影 © UNICEF_UN0149872_Dejongh生後7カ月の男の子を抱き上げる父親。(コートジボワール) 2017年11月撮影 © UNICEF_UN0149872_Dejongh

【2018年6月14日 ニューヨーク 発】

 本日ユニセフ(国連児童基金)は、世界の1歳未満の子どもの約3分の2にあたる約9,000万人は、父親に1日も有給の育児休業が法律で認められていない国で暮らしているとする新しい分析結果を発表しました。

 世界の92カ国では、父親たちに産まれたばかりの赤ちゃんと一緒にいるための適切な有給育児休業を確保するための国の制度がありません。それらの国には、インドやナイジェリアといった乳児人口が多い国が含まれます。一方、やはり乳児人口の多いブラジルやコンゴ民主共和国等の国々には、その期間が比較的短いながらも、父親の有給の育児休業に関する制度があります。

 「子どもが生まれてすぐの時期から母親と父親との前向きで意味のあるふれあいを持つことが、子どもの脳の成長と生涯にわたる発達を形づくることに寄与し、彼らをより健康に、より幸せに、また学習能力を高めることに繋がります」とユニセフ(国連児童基金)のヘンリエッタ・フォア事務局長は述べました。

 父親は、赤ちゃんが生まれてすぐの時期から絆を結ぶことで、子どもの発達の課程においてより積極的な役割を担えるようになることを示唆するデータがあります。また、調査では、子どもたちは父親と前向きにふれあうことで、長期的により精神的に健康で、より高い自尊心を持ち、より人生の満足感を得られるとも示されています。

 ユニセフは各国政府に対して、子どものケアに必要な時間、資源、および情報を親たちが得られるよう支える、父親の有給育児休業を含む、子どもの早期ケアと教育を支援する家族にやさしい政策の実施を強く求めます。
 

 

病院で生まれたばかりの赤ちゃんを抱き、涙する父親。(タイ) 2018年3月撮影 © UNICEF_UN0203758_Zehbrauskas病院で生まれたばかりの赤ちゃんを抱き、涙する父親。(タイ) 2018年3月撮影 © UNICEF_UN0203758_Zehbrauskas

 ユニセフは今年に入り、父親の育児休業に関する内規を刷新し、世界のすべての事務所で有給育児休業を16週間に延ばしました。国連機関として初めて、それまで標準だった4週間を延長しました。

 「私たちが『すべての子どもたちに』を追求するためには、『すべての親のために』も追及しなければなりません。私たちが父親や母親に、特に子どもの人生の最初の時期において、子どもを育てるために必要な時間と資源を与えるためには、政府にも雇用主たちにもより多くのことを求めていかなければなりません」(フォア事務局長)

 世界中で家族にやさしい政策への勢いが高まっています。例えば、インドでは、議員たちが次の国会での審議を目指して、父親に3カ月の有給育児休業を認める父親利益法案(Paternity Benefit Bill)を提案しています。

 しかし、まだ仕事は山積みです。約400万人の乳児が暮らす米国を含む世界8カ国には、母親あるいは父親のための有給の育児休業制度は存在しません。

 今年2年目を迎える、乳幼児期の子どもの発達において父親が積極的な役割を果たすことを妨げている障壁を取り除くことを目指したユニセフの「父の日」キャンペーン(‘Super Dads’)の一環として、この新たな分析は発表されました。

 このキャンペーンは世界の90カ国近い国で認められている「父の日」に時期を合わせて、乳幼児の脳の健全な発達に欠かせない、愛情、遊び、保護、および適切な栄養の重要性に重点を置いています。

 神経科学の進歩により、子どもたちは人生の最初の数年間を、特に胎児期から2歳までの最初の1,000日間を、育児に適した刺激のある環境で過ごすことで、新たなシナプス結合が最適速度で形成されることが証明されています。脳内のシナプス結合は、子どもの認知能力、どのように学び考えるか、ストレスに対処する力を決定づける要素となり、将来どのくらいの収入を得られるかにも影響を及ぼします。

 2016年10月に発表された医学雑誌ランセットの論文シリーズ『Advancing Early Childhood Development: from Science to Scale』は、約2億5,000万人の5歳未満児が、発育阻害(Stunting-スタンティング)や極度の貧困によって、十分に発達できないリスクに直面していると指摘しています。さらに、保健、栄養、ふれあい育児、安心・安全、早期学習などの子育て支援推進プログラムにかかる費用は、既存の保健サービスを併用することで、1人当たり1年間に50セントに過ぎないとしています。

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■データに関して
 ユニセフが使用した父親の有給の育児休業制度に関する国別データは、カリフォルニア大学ロサンジェルス校 WORLD Policy Analysis Center から入手。人口統計は2017年国連開発計画(UNPD)から。父親の有給の育児休業制度がない国の完全リストは下のURLからご覧いただけます。
https://www.worldpolicycenter.org/policies/is-paid-leave-available-to-mothers-and-fathers-of-infants/is-paid-leave-available-for-fathers-of-infants

■父親が長期にわたり子どもの発達に関与しやすくする、父親の長期の有給育児休業制度、または父親が長期の休業の取得を財政的に支援する制度が整っている国:ドイツ、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、韓国、およびスウェーデン。

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■ユニセフ本部の父の日キャンペーン特設サイトは、 https://www.unicef.org/early-moments からご覧いただけます。※日本語版ページ: https://www.unicef.or.jp/ecd/father.html

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■ユニセフについて
 ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
 公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 ( www.unicef.or.jp

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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