シリア:支援を必要とする子ども600万人【プレスリリース】
「人道アクセスとは命を守ること」
【2018年7月19日 アンマン(ヨルダン)発】
国連安全保障理事会によるシリアに関する会合を26日に控え、ユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所代表ヘルト・カッペラエレは、シリア全土で、必要とする子どもたちに支援を届けるための人道アクセスの許可を求める、以下の声明を発表しました。
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シリア南部での暴力から、推定18万人が避難しました。ユニセフはその半数を子どもが占めると推定しています。報告によると、これらの子どもと家族の多くは、命を守るために必要な基本的な人道支援を受けられずにいます。
過去数年間、シリアにおける人道的アクセスは厳しく制限され、条件をつけられ、ときには完全に拒否されてきました。その結果、多くの子どもたちの命が奪われてきました。16歳のアリさんは、彼の住む地域への支援が拒否されたとき、重度の栄養不良で命を落としました。彼はこの7年半に命を落とした多くの子どもたちのうちのひとりにすぎません。
シリアで失われた多くの命は、人道支援が迅速かつ無条件で提供できていれば、簡単に救うことができたはずです。
人道的アクセスとは命を守ることです。男の子と女の子の、そして罪のない女性と男性の。それは人道的に不可欠なもので、交渉の対象ではありません。子どもに対する人道的アクセスを拒否することは、国連安全保障理事会が優先事項としている子どもの権利に対する6つの甚大な侵害のひとつにあたります。意図的あるいは 任意的に人道的アクセスを拒否した紛争当事者は、その責任を問われます。
イドリブの2つの包囲された村への人道的アクセスは、厳しく制限されてきました。約3年間の包囲の末に、ようやく子どもたちと家族が村を出てより安全な場所に移ることができるようになったとする報告を歓迎します。
このような困難に直面しながらも、人道支援従事者は、シリアの最も厳しい状況にある人々に対して、命を守る重要な支援を提供し続けています。度重なる人道支援従事者への攻撃の報告は大変憂慮すべきことです。彼らは攻撃対象ではなく、いかなるときも保護されなければならないのです。
シリア全土で、600万人の子どもたちが支援を必要としていす。ユニセフはこれらの子どもたちを代表して、シリアのどこにいようとも、すべての子どもたちに対する迅速な、継続的な、安全な、無条件の、妨げられることない人道的アクセスを求めます。人道的アクセスとは支援物資を届けるにとどまらず、現場での医療ケア、子どもたちの保護、保健、心理社会的ニーズを診断し、人道的状況の評価を行うことも含みます。
ユニセフは安全保障理事会のすべてのメンバー国に対して、紛争当事者に圧力をかけ続けるよう求めます。人道支援従事者と人道支援団体がシリアで保護され、無条件に活動をすることを許可すること。人道支援チームが、必要とする子どもたちに対して、彼らがどこにいようとも、また誰の管理する地域に暮らしていようとも、支援することを認めること。これらは、決して過ぎた要求ではないはずです。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 ( www.unicef.or.jp )
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