前作『数学する身体』から8年。人工知能の時代にヒトという存在の根幹を問う独立研究者、森田真生さんの『計算する生命』文庫版刊行! 下西風澄さんが解説を寄稿
株式会社新潮社は11月29日、森田真生さんの『計算する生命』の文庫版を刊行します。本作品は初の著書『数学する身体』で小林秀雄賞を史上最年少で受賞した著者による新著で、刊行後大きな反響を呼び、第10回河合隼雄学芸賞を受賞。岩宮恵子氏、中沢新一氏、山極壽一氏からなる選考委員からは「数学を直観において概念を構成していくダイナミックなプロセスととらえ、そこに生み出された拡張的な認識を解説し、生命の秘密に迫ろうとした力作」という評価を得ました。
私たちは膨大な量の計算を実行しながら日々を送っています。コンピュータの父たちが想像もしなかった能力をもつ「スマートフォン」という名の計算機を肌身離さず持ち歩き、それはあらかじめ定められた規則と人間が入力した指示にしたがって計算結果を出力し、私たちは友人とメッセージを交わしたり、ゲームを楽しんだりしています。莫大な電力を消費しながら人工知能から驚くほど正確な回答を得たり、気象を予測したりする作業も計算によるものです。
では、それらの計算は指やペンを使う足し算や筆算と何が異なるのでしょうか。機械が人間の能力を遥かに越える水準で日夜休まず計算し続けるいま、私たちヒトには一体何が残されるのでしょうか。何か大切なものを譲り渡しているのではないかと不安になることもあるでしょう。
著者は計算の歴史をメソポタミア文明まで遡り、さらにユークリッドやデカルト、リーマン、ウィトゲンシュタインといった先人たちの足跡を辿りながら、最新の認知科学研究や人工生命研究をも参照しながら、いつしか生命や生きることの根源まで到達し、新たな地平が切り拓かれていきます。
【下西風澄氏が寄稿】
本書には『生成と消滅の精神史』が話題となった気鋭の哲学者、下西風澄さんが6000字を超える力のこもった解説を寄稿しています。
〈人工知能が世界を席巻し計算が加速する時代にあって、計算をただ推し進めるのでもなく、しかし計算を止めるのでもなく、立ち止まって計算の意味を問い直し、わかり直そうとすること。そのことによってまた別の方向へ進むかもしれない計算を想像すること。本書が描いてきた数学の歴史における計算の多様性は、わたしたちに「計算する生命」であるという矛盾がもたらす危険と魅惑を投げかけている〉
■文庫版刊行記念イベント
本書の刊行を記念し、以下のイベントが企画されています(開場時間などの詳細は追って主催者から発表されます)。
12月3日(日)
会場:ピアノバーアドリアーナ(名古屋)https://club-adriana.jimdofree.com/
主催:一本ゲタ大使館 http://asoco.in.coocan.jp/
12月5日(火)
会場・主催:青山ブックセンター(東京)https://aoyamabc.jp/
12月8日(金)
会場・主催:ふるえる書庫(大阪)https://www.instagram.com/furueru_shoko
2月4日(日)
会場・主催:寄り道バザール(山口県・周防大島)https://www.yorimichibazar.com/
■著者紹介
1985(昭和60)年東京都生れ。独立研究者。京都に拠点を構えて研究・執筆するかたわら、国内外で「数学の演奏会」「数学ブックトーク」などのライブ活動を行っている。2015(平成27)年に発表した初の著書『数学する身体』で小林秀雄賞を最年少で受賞。他の著書に『数学の贈り物』、『計算する生命』(河合隼雄学芸賞受賞)、絵本『アリになった数学者』、編著に岡潔著『数学する人生』がある。
【目次】
はじめに
第一章 「わかる」と「操る」
第二章 ユークリッド、デカルト、リーマン
第三章 数がつくった言語
第四章 計算する生命
終章 計算と生命の雑種[ハイブリッド]
あとがき
文庫版あとがき
註・参考文献
解説 下西風澄
■書籍データ
【書名】計算する生命(新潮文庫刊)
【著者】森田真生
【発売日】2023年11月29日、電子書籍も同日配信開始
【定価】630円(税込)
【ISBN】978-4-10-121367-5
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