ロヒンギャ危機/バングラデシュ:土砂災害と洪水の危険が高い状況続く【プレスリリース】
コックスバザール、24時間降水量463ミリ
【2018年7月27日 コックスバザール(バングラデシュ)発】
ここ数日間、バングラデシュ南東部のロヒンギャ難民キャンプはモンスーンの豪雨に見舞われ、そこに暮らす10万人以上の子どもたちが危険に晒されていると、ユニセフ(国連児童基金)は警鐘を鳴らしています。
コックスバザール地区では今週前半降り続いた雨による土砂災害で、バングラデシュ人の子ども5人が犠牲に、その他にも負傷者が出ました。この出来事は、近隣の難民キャンプの多くも土砂崩れが起こりやすく、ロヒンギャ難民の子どもたちは脆弱で危険な環境で暮らしていることを明らかにしています。
今週前半、コックスバザールでは24時間降水量が463ミリメートルに達しました。ユニセフ職員によると、何百もの難民の仮設住居が損壊・損傷し、大勢の子どもを含む少なくとも4,000人の難民が被害を受けています。
雨が止んでも、地面に水が浸透しさらに不安定になり、丘陵地に面した100万人が暮らす難民キャンプの土砂災害の危険は続きます。
「モンスーンは、この人道危機で子どもたちが直面するすべての問題をさらに悪化させます」とユニセフ(国連児童基金)バングラデシュ事務所代表エドゥアルド・ ベイグベデルは述べました。「通常でも、難民キャンプの環境は脆弱です。ロヒンギャ難民が暮らす密集した仮設居住地は、子どもたちの健康と安全に対するリスクが高いのです」
「降り続く雨は、仮設住居などの施設を損傷させる以外にも、洪水で道路が冠水し、下痢やコレラといった水を起因とする危険な病気のリスクを高めます。バングラデシュに来ることで身の安全を確保できた子どもを含む難民の多くは、土砂災害や洪水の高い危険のために再び家を後にすることを余儀なくされています。
ユニセフとパートナー団体で運営する「学習センター」や「女性と子どもにやさしい空間」を含むいくつもの施設も危険に晒されています。
人道支援機関は難民を一時的に避難させるための緊急対応計画を策定しました。難民を受け入れている難民キャンプ近くの丘陵地帯に暮らすバングラデシュの人々に対しても避難警告が出されています。
ユニセフとパートナー団体は、「学習センター」などの施設の雨の被害を最小限に抑えるために防水シートなどの物資を提供して、主な活動を強化しています。
「私たちはキャンプに滞在して、ユニセフの施設が受けている影響を確認し、いかなる問題も早期に発見し対応することでモンスーン季節を通じて子どもたちが学習し続けられるよう努めています」とユニセフ緊急支援調整官のピーター・バメスは述べました。
モンスーンの影響を和らげるための努力は過去数カ月間集中的に行われています。人道支援機関はすでに最もリスクの高い3万6,000人の難民たちをより安全な場所へ移動させました。しかし、移動先の土地が不足していることが深刻な問題となっています。
難民で2児の母親のアノワナ・ベグムさん(45歳)には、雨が降った時に仮設住居を守る術は、自身の素手くらいしかありません。彼女はショベルを使って、家の外の水の流れを変えようとしますが、あまり効果はありません。
「雨が激しく降るたびに、丘の上から流れてきた土嚢や水が仮設住居の中に入ってきます。洪水からは逃れられたとしても、土砂災害に襲われる可能性が高いと思っています」(ベグムさん)
ベグムさんは、ひとつ慰められるのは、下の息子が週に6日、ユニセフとパートナーが運営する学習センターに通っていることだと言います。ミャンマーでは、ここに暮らす多くの難民の教育や学習の機会が厳しく制限されてきました。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 ( www.unicef.or.jp )
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