「複合発酵技術を活用した循環型トイレの都市での実装」が「東京ベイeSG プロジェクト 令和7年度先行プロジェクト」に採択されました。
~循環型社会の実現に向けて、東京ベイエリアで循環型トイレの実証事業を行います~
株式会社長大(代表企業)、株式会社RQ、高光産業株式会社、株式会社アストゼイン、東急株式会社の5社で構成するコンソーシアムが応募していた「複合発酵技術を活用した循環型トイレの都市での実装」実証事業が、東京都主催の「東京ベイeSG プロジェクト 令和7年度先行プロジェクト」※ に採択されました。
この実証事業は、複合発酵技術を活用した循環型トイレの有効性を確認するとともに、植栽や壁面緑化への緑化効果・ヒートアイランド対策への効果を検証します。平時は水資源の有効活用と都市環境の改善を可能にし、かつ災害時も通常の生活環境と同等レベルで利用できる循環型トイレの技術の確立を図ります。実証事業の後半は、東急線沿線の駅に循環型トイレを設置し、生活に身近な場所から循環型社会に貢献できる仕組みづくりとレジリエンスの向上につなげます。
5社はこの事業を通じて、複合発酵技術を活用した循環型トイレの運用スキームを確立し、これまで地方部に多く導入されてきた循環型トイレを、都市でも活用し、東急線沿線をはじめとしたさまざまなエリアの施設への導入を促進することで、循環型社会の実現に貢献していきます。

※自然と便利が融合した持続可能な都市の実現に向け、東京のベイエリアを活用し、最先端テクノロジーの社会実装に取り組むプロジェクト。
詳しくはこちら >「東京ベイeSGプロジェクト」公式HP
https://www.tokyobayesg.metro.tokyo.lg.jp/priorityprojects
1. 概要

・今後のスケジュール

2. 体制

3. 将来展開
長大とRQ は複合発酵技術を活用した循環型トイレを、2024 年1月に発生した能登半島地震の復旧・復興プロセスにおいて、長大から能登町へ4基を無償で提供しました。被災された多くの地域住民に、水道インフラが使用不能な環境下でも快適にトイレが利用でき、衛生環境の改善にもつながったことを喜んでいただきました。
また、長大と東急は、これまで約2年にわたって沖縄県宮古島市にある東急グループ施設「まいぱり」宮古島熱帯果樹園で、複合発酵技術を活用した水循環システムに関する実証実験を実施してきました。本年4月からは、東急が渋谷で運営するオープンイノベーションラボ「SOIL」に同システムを導入し、都心エリアでの稼働検証を行っています。
生活に身近な場所に循環型トイレを設置することで、循環型社会への貢献と災害への備えを普及展開し、環境への配慮とレジリエンスを両立したまちづくりを実現したいと考えています。
4. 循環型トイレについて
循環型トイレは、排泄物を含む汚水を施設内で浄化し、その浄化した水を洗浄水として再利用する自己完結型のトイレです。これまで循環型トイレやおがくずトイレを代表とするバイオトイレは上下水道インフラの整っていない山間部等の地域で活躍してきましたが、本実証事業では都心部での有効性を確認いたします。
5. 複合発酵技術について
複合発酵技術は微生物による発酵作用を活用し、ノンケミカルな排水処理を実現します。また、通常の排水処理で発生する汚泥を抑制することが可能で、ゼロエミッションの取り組みにも貢献する、自然と調和したサスティナブルな環境技術です。
※ゼロエミッションとは・・・人間の活動から発生する廃棄物や温室効果ガスをゼロにすること
6. 過去の取り組み実績
■能登半島地震の被災地へ循環トイレの無償提供
・期間
2024 年1 月24 日~避難所閉設までの約半年間
・場所
当目地区多目的研修集会センター(石川県鳳珠郡能登町当目38−153)
神野公民館(石川県鳳珠郡能登町鶴町11−13−1)
岩井戸公民館(石川県鳳珠郡能登町黒川26−11)
・内容
2024 年1月に発生した能登半島地震により、、被災を受けた能登町において、特にトイレ環境が厳
しい 3 箇所の避難所に対し無償提供し、通常の生活環境と同等レベルの安心で快適なトイレを利用で
るよう、衛生環境の改善に取り組みました。能登町は当目地区多目的研修集会センターの循環型トイ
レを町内のやなぎだ植物公園に移設し、災害対応トイレとして使用を継続しています。
■渋谷「SOIL」への導入の概要
・期間
2025 年4 月2 日~2026 年3 月31 日(予定)
・場所
SOIL(Shibuya Open Innovation Lab)(東京都渋谷区渋谷三丁目6番14号 渋谷金王第二ビル)
・検証項目
(1)水循環におけるマテリアルバランスの検証
不特定多数の利用者がいる環境において、汚水を水循環システムで浄化して再利用する過程で、汚水
の排出量、再生可能量、再生水の使用量のバランスが安定的に維持できるかを確認し、導入施設の環
境に応じて循環量の調整を柔軟に設定できるシステムの構築を目指します。
(2)再生水の水質安定性の確認および数値化による証明
複合発酵技術で浄化された再生水の水質検査を定期的に実施し、より精緻なデータを収集。水質の安
定性、安全性を証明するエビデンスを蓄積します。
・SOIL(Shibuya Open Innovation Lab)について
SOIL は、東急が運営する社会実装に特化した招待会員制のオープンイノベーションラボです。オー
プンイノベーションの土壌(SOIL)として、新技術の開発、展開を目的とした国内外のスタートアッ
プ、大企業、投資家、メディア、官公庁などのプレーヤーがつながる場を提供し、日本社会にイノベ
ーションを興していきます。
※過去リリース https://www.chodai.co.jp/news/docs/20250407_2.pdf
■まいぱり実証実験の概要
・期間
2023 年2 月27 日~2025 年3 月31 日
・場所
「まいぱり」宮古島熱帯果樹園(沖縄県宮古島市下地字与那覇1210)
・検証項目
(1)「まいぱり」敷地内の施設から排出される汚水を、塩素などの化学薬品を使用せず、複合発酵設
備で処理することで、再利用が可能なレベルまで浄化し、施設のトイレの洗浄用水として循環利用。
(2)再生水は農作物の成長を向上させるための土壌改良材となることが期待されるため、まいぱり果
樹園に再生水を散水し、安全な農作物の成長の向上、土壌や海洋環境の改善、生物多様性保全への効
果を測定。
すべての画像