人手不足倒産、初の年間400件超え 3年連続で過去最多を更新 建設業・物流業で高水準 今後は「賃上げ難型」の人手不足倒産に警戒
人手不足倒産の動向調査(2025年)

株式会社帝国データバンクは、従業員の離職や採用難などによる人手不足を要因とする「人手不足倒産」の発生状況について調査・分析を行った。
SUMMARY
2025年の人手不足倒産は427件となり、3年連続で過去最多を更新した。業種別では建設業や物流業が目立ち、規模別では従業員10人未満の小規模企業でも多発した。「年収の壁」引き上げによって主に非正社員の働き控えが緩和されれば人手不足の解消につながるとの期待もあるなか、大企業による賃上げペースは加速しており、今後は追随できない小規模事業者を中心に「賃上げ難型」の人手不足倒産が高水準で発生することが懸念される。
集計期間:2013年1月1日~2025年12月31日
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
2025年の人手不足倒産は427件、建設業・物流業も増加続く
従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする人手不足倒産(法的整理、負債1000万円以上)は、2025年に427件発生し、前年(342件)を85件、24.9%上回った。年間として初めて400件を超え、3年連続で過去最多を更新した。

業種別では、建設業が113件にのぼり、初めて100件を超えた。また、物流業は52件となり、2024年4月から時間外労働の新たな上限規制が設けられた両業種は、いずれも過去最多となった。その他、老人福祉事業(21件、前年比+7件)や労働者派遣業(13件、同+5件)、美容業(11件、同+2件)、警備業(10件、同+4件)など、労働集約型の業種で人手不足を理由とした倒産が増えた。
また、全体(427件)の77.0%に該当する329件が「従業員10人未満」の小規模企業だった。こうした企業では従業員1人の退職でもダメージが大きく、人手不足倒産につながりやすい実態が表れている。
帝国データバンクが発表した「2026年の景気見通しに対する企業の意識調査」(2025年12月22日発表)では、2026年の懸念材料として「人手不足」をあげた企業が44.5%、今後の景気回復に必要な政策として「人手不足の解消」をあげた企業が37.0%(いずれも複数回答)だった。それぞれ項目別で2位にランクされており、多くの企業が人手不足を経営に影響を及ぼす重要課題として認識していることが浮き彫りとなった。こうしたなか、配偶者特別控除が満額受けられる配偶者の所得税非課税枠、いわゆる「年収の壁」は2025年度に103万円から160万円に引き上げられ、2026年度は178万円に引き上げられることが税制改正大綱に盛り込まれた。主に非正社員が年収の壁を越えないようにする「働き控え」の緩和に繋がる可能性があり、人手不足の解消に向けて期待される。

一方で、企業は人材の確保・定着に向けて賃上げを急ぐ。2025年の「春闘」では、民間主要企業の賃上げ率が平均5.52%(厚生労働省調べ)となり、2年連続で5%を上回る過去にない賃上げ率を記録した。2026年も物価高を反映して大企業を中心に賃上げ機運は高まるとみられる。こうした動きに追随できない小規模企業を中心とした「賃上げ難型」の倒産が懸念され、人手不足倒産の件数は当面の間、高水準で発生し続けると予想される。
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