2024年大河ドラマ化で話題、『源氏物語』の作者にして当時最先端を生きた女性の肉声が現代に甦る。一千年の時を繋ぐ魂のトリビュート『紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」』刊行!
「平家物語」の現代語訳で知られる「同業者」によって召喚された紫式部本人が自身の日記を現代人に解説する(!)、奇想天外な「現代語訳」が11月29日(水)に発売されます。
「あなたはいまからわたしの日記をのぞこうとしています」
『源氏物語』の作者の日記には、平安から現代まで、一千年の日本が凝縮されている。
「平家物語」の現代語訳で知られる「同業者」が紫式部を召喚して描く、この国に生きる人々の肖像画。
「さあ、いきます。現代語訳です」
「一千年に一度」と言われる巨大地震が起こり、干支が一巡りした日本。ではその一千年前、この国で何が起こったのか――寛弘5年(1008年)、「日本」を体現する家に赤子=皇子が産まれた。赤子の母である一条天皇の后・彰子に仕える「女房」としてその模様をつぶさに見ていたのは、現在もなお読まれる世界的長篇『源氏物語』の著者・紫式部。彼女が遺した日記には、宮中の様子はもちろん、和泉式部や赤染衛門、そして清少納言といった「ライバル」文学者たちへの率直な評価も書き込まれ、さらには彰子の父親にして当時の最高権力者・藤原道長と自身のあやしい関係にも触れられており……平安時代の最先端女性が記した謎めいた日記が、本人の解説入り(!)で現代にリ・リリース!
本文より
あなたはどんどんわたしの日記を読んでいます。どうですか? もしも「そんなに曲げないで理解できている感じがする」といえるようだったら、わたしは純粋にうれしいです。「理解できるところと、どうにも『うまくイメージができない。わからない』部分とに、はっきり二つに割れている気がする」といわれても、じつはとてもうれしかったりします。とまどいは、あって当然です。ここは――この日記の内側の世界は――少しも「現代」ではないのですから。一千年以上もむかしなんですから!
けれども、こうもかんがえられます。「たかが一千年では、ひとは変わらないよ」と。
■著者紹介
古川日出男(ふるかわ・ひでお)
1966年、福島県郡山市生まれ。98年『13』でデビュー。『アラビアの夜の種族』(2001)で日本推理作家協会賞および日本SF大賞、『LOVE』(2005)で三島由紀夫賞、『女たち三百人の裏切りの書』(2015)で野間文芸新人賞および読売文学賞を受賞。『平家物語』全巻の現代語訳(2016)は後にTVアニメ化され、その現代語訳から生まれた『平家物語 犬王の巻』(2017)もアニメ映画として劇場公開された。戯曲『冬眠する熊に添い寝してごらん』ならびに「ローマ帝国の三島由紀夫」は岸田國士戯曲賞の候補となった。他の著作に『聖家族』『馬たちよ、それでも光は無垢で』『ミライミライ』『おおきな森』『曼陀羅華X』『ゼロエフ』『の、すべて』、長篇詩『天音』など。アメリカ、フランス、イタリア等、海外での評価も高い。
<タイトル>『紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」』
<著者名>古川日出男著
<発売日>2023年11月29日
<造本>四六判変型クレスト装カバー
<定価>1980円(税込)
<ISBN> 978-4-10-306080-2
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