山本文緒『無人島のふたり120日以上生きなくちゃ日記』が「読書メーター OF THE YEAR 2023-2024」のジャンル別ランキング、【エッセイ・ノンフィクション部門】で第1位となりました!
■「明日また書けましたら、明日」
21年春、突然がんと診断され、自宅で緩和ケアをうけることにした山本さんは、コロナ禍で病気になって、「夫とふたりで無人島に流されてしまったよう」と感じます。大好きな本や漫画を読み、日常生活を静かに楽しむ日々でも、「今は安らかな気持ちだ……、余命を宣告されたら、そういう気持ちになるのかと思っていたが、それは違った。そんな簡単に割り切れるかボケ! と神様に言いたい気持ちがする」(6月6日)と葛藤も綴っています。
そして「夫が可哀想でつらい。なんとかしてあげたいけれど何もできない」(6月2日)、「別れの言葉が言っても言っても言い足りない」(9月7日)、「親より先に要介護の申請をするとは思っていなかったな」(9月9日)、「やはり終わりを目前にしても「書きたい」という気持ちが残っていて、それに助けられるとは思ってもいなかった」(9月11日)と刻み、最後の小説集『ばにらさま』の発売日(9月13日)を迎えて「明日また書けましたら、明日」と記した10月4日までの慟哭の手記です。
常に読者のことを考え、最後まで書くことを手放さなかった作家による闘病記が、こうして読者の投票によって選ばれる「読書メーター OF THE YEAR 2023-2024」の1位になることは、山本さんにとって何よりうれしいことだと思います。
■読者から寄せられたコメント
・誰にだって間違いなく訪れる死を私も文緒さんのように過ごしたい。(50代女性)
・相当な覚悟と強さがなければ書けない文章。あちこちに散りばめられたお別れの言葉が切ないですが、読んで勝手に救われたような気がしました。(40代女性)
・別れの間際ってこうなんだ。父も母も、きっとこんなふうに感じていたんだ。亡くなっていく人の心の中を文章にしてくれて感謝の涙が止まりません。(60代女性)
・私も現在がん治療中なので手に取りました。一人で色々考えていたけれど同じ気持ちだったとわかり安心し、寄り添ってもらったと感じました。(50代女性)
・病気になったパートナーの互いを思いやる気持ちが切なくて、お二人の愛を感じた一冊でした。(50代女性)
一気読みして読んで苦しいけれど明るさも感じ、とても読みやすいけれど胸にずしんと落ちる内容でした。忘れられない本です。(30代女性)
・「うまく死ねますように」という言葉に震え、1日1日を懸命に生きた文緒先生の息づかいを感じました。でもやはり寂しい、その一言に尽きます。(40代女性)
■本書の内容
これを書くことをお別れの挨拶とさせて下さい――。思いがけない大波にさらわれ、夫とふたりだけで無人島に流されてしまったかのように、ある日突然にがんと診断され、コロナ禍の自宅でふたりきりで過ごす闘病生活が始まった。58歳で余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった作家が、最期まで綴っていた日記。
■著者紹介
1962年、神奈川県生れ。OL生活を経て作家デビュー。1999(平成11)年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、2001年『プラナリア』で直木賞、2021(令和3)年、『自転しながら公転する』で島清恋愛文学賞、中央公論文芸賞を受賞した。著書に『絶対泣かない』『群青の夜の羽毛布』『落花流水』『そして私は一人になった』『ファースト・プライオリティー』『再婚生活』『アカペラ』『なぎさ』『ばにらさま』『残されたつぶやき』『無人島のふたり』など多数。2021年10月13日、膵臓がんのため58歳で逝去。
■書籍データ
【タイトル】無人島のふたり120日以上生きなくちゃ日記
【著者名】山本文緒
【発売日】2022年10月20日
【造本】四六判176ページ
【定価】1,650円(税込)
【ISBN】978-4-10-308013-8
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