~産学金協働による水循環保全イベントを熊本で開催~ グリーンインフラ普及による「熊本ウォーターポジティブ・アクション」を始動
公立大学法人 熊本県立大学(理事長:黒田 忠広)、国立大学法人 熊本大学(学長:小川 久雄)、株式会社肥後銀行(代表取締役頭取:笠原 慶久)、サントリーホールディングス株式会社(代表取締役社長:新浪 剛史)、株式会社日本政策投資銀行(代表取締役社長:地下 誠二)、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社(取締役社長 グループCEO:舩曵 真一郎)は、産学金協働の「熊本ウォーターポジティブ・アクション※1」を始動します。
本アクションは、地下水保全に取り組んできた実績に基づき、6組織が協働で、金融的手法を活用して、熊本地域でのグリーンインフラ※2導入による水循環保全のメカニズムを推進するものです。また、6組織だけでなく、多くの主体が参加できる仕組みを構築します。この取り組みを通じて健全な水循環を維持し、豊かな市民生活と地域経済を支える「水の国くまもと」のさらなる発展を目指します。
※1 本アクションにおけるウォーターポジティブは「流域内での土地改変や取水に伴う水への負(ネガティブ)の影響に対し、水を育む自然の保全や水源涵養、再生水の活用などにより、流域内に同等以上の水を還元すること」と定義します。
※2 自然環境が持つ多様な機能で自然災害や地球温暖化等の社会課題を解決し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める考え方や取組み
1.本アクション始動の背景
水と緑に恵まれた豊かな熊本地域では、これまで市民・行政・企業の協力のもと、地下水の保全と活用に関する取り組みが長らく続けられてきました。同取り組みは世界的にも評価されており、2013年には国連「生命の水」(水管理部門)最優秀賞を受賞しています。
一方、近年、大規模な都市開発や工場進出に伴う田畑等の土地改変による地下水涵養量の減少や水災リスクの高まりなどが懸念されており、水循環の保全(ウォーターポジティブ)とそれを支える自然環境の再生・保全(ネイチャーポジティブ※3)を地域全体で推進することが一層重要となっています。
こうした状況を受けて、6組織は、熊本県、熊本市、公益財団法人くまもと地下水財団をオブザーバーとして、2024年3月から検討を進めてきましたが、この度、さらなる活動の本格化を目指し、本アクションを協働して始動することとしました。
※3 自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること
2.本アクションの概要
本アクションでは、雨庭などのグリーンインフラを用いて、開発が進む地域における水循環の保全に取り組みます。緑を活用した水循環の保全は、地下水の涵養とともに内水・外水氾濫の軽減、ヒートアイランド対策、景観の向上や生物多様性の向上など多面的な効果が期待できるとされています。
企業の自発的なグリーンインフラの設置を支援しながら、自然クレジット※4の原則に基づき、グリーンインフラがもつ地下水涵養量等の価値をクレジット化する革新的な金融手法の研究開発を進めます。こうした金融手法を活用し、官民連携の資金メカニズムでグリーンインフラのさらなる導入を目指します。
6組織がそれぞれの強みを活かし、社会全体での水循環保全の取り組み促進を目指します。
※4 自然の保全、回復、適切な管理活動からもたらされる、生態系や生物多様性への測定可能なプラス成果のこと。自然や生物多様性の改善・向上を目的に資金提供する経済的手段として世界的に注目を集めている。
<6組織の役割>
熊本県立大学
熊本大学
グリーンインフラに関する長い研究実績をもち、地下水涵養をはじめ、地域に還元される多面的なインパクトの評価手法を開発します。
肥後銀行
熊本の宝である地下水の保全活動や環境問題に、永年、積極的に取り組んできました。近年は取引先へのグリーンインフラの導入提案を積極的に進めており、支援の輪を拡大させています。これらの活動を継続するとともに、本アクションと地域をつなぐ役割を担います。また、新たな資金調達手法の研究開発と地域への展開を図っていきます。
サントリーホールディングス
熊本地域の地下水に支えられ、サントリー九州熊本工場を操業し、20年以上前から続く「サントリー 天然水の森」や、「冬水田んぼ」の活動を通じて熊本地域の地下水保全に取り組んできました。また、近年は地下水シミュレーションモデルによる地下水量の将来予測の共同研究を、くまもと地下財団と共に実施しており、これらに基づく経験やデータを元に本アクションによる地下水保全効果の科学的検証に貢献していきます。
日本政策投資銀行
世界で初めて「環境格付」の手法を導入した融資メニューを開始するなど、外部不経済の課題解決に金融のアプローチから取り組むとともに、グリーンインフラ分野では国内外での先進事例を通じて資金調達手法や効果の可視化に関する調査研究を行ってきました。これまでの知見や多様なステークホルダーとの連携が可能である特徴を活かして、新たな資金調達手法の研究開発に貢献していきます。
MS&ADホールディングス
TNFD※5タスクフォースメンバーに社員を輩出しており、ネイチャーポジティブの国際的な枠組みを踏まえ本アクションを設計し、その成果を国際的に発信していきます。
※5 「自然関連財務情報開示タスクフォース」のことで、企業の事業活動における自然環境や生物多様性への影響を評価し、情報開示の枠組みを開発する国際的組織
以上
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