就労している高齢者は、幸福感が高く、死亡リスクも低い傾向に ―全国の要介護認定を受けていない地域在住高齢者を対象に検証―

国立大学法人千葉大学

                                      

 千葉大学予防医学センターの竹内寛貴特任研究員、井手一茂特任准教授、近藤克則特任教授、中込敦士准教授らのチームは、65歳以上の高齢者を対象に、就労頻度と3年後の健康・ウェルビーイングとの関連を46の指標で検証しました。就労している人を就労頻度別(月1〜3回または年数回、週1〜3回、週4回以上)に分け、就労していない人を基準として比較しました。その結果、週1~3回または週4回以上就労している高齢者では、幸福感や生活満足度などのウェルビーイングが高く、死亡リスクや認知症・要介護リスクが低いという関連がみられました。一方で、週4回以上働いている高齢者では、スポーツや趣味といった社会参加が少なく、喫煙や飲酒のリスクが高いことも示されました。
 本研究成果は、2026年9月6日に学術誌Archives of Gerontology and Geriatricsでオンライン公開されました。

 (論文はこちら:10.1016/j.archger.2026.106401)


■研究の背景 

 これまでの研究によると、高齢期の就労は、うつ症状の軽減、認知機能・身体機能の維持、死亡リスクの低下、主観的健康感や幸福感の向上などと関連する一方で、長時間の労働や仕事上のストレスは健康リスクを高めることが報告されています。しかし、就労頻度別に身体的・精神的・社会的側面を包括的に検証した研究はありませんでした。

■研究成果のポイント

·  日本老年学的評価研究のデータを用い、要介護認定を受けていない65歳以上の地域在住高齢者を分析しました。対象は、2016年・2019年・2022年の3時点の調査に参加した25自治体の41,758人と、2016年・2019年の調査に参加し、2019年から2022年までの介護賦課データ(注1)を結合できた21自治体の56,153人です。

·  非就労者に比べて週1~3回程度働いている人では、3年後の幸福感や生活満足度が高く、死亡リスクで29%、認知症リスクで43%、要介護リスクで40%低く、24指標で好ましい関連が示されました。


·  週4回以上働いている人では、週1~3回程度働いている人と同様に幸福感や生活満足度は高く、死亡リスクで40%、認知症リスクで46%、要介護リスクで45%リスクが低いなど、25指標と好ましい関連が示されました。一方で、高齢者の健康に良いとされているスポーツや趣味の会などへの社会参加が少なく、喫煙や飲酒をするリスクが高いなど、4指標で好ましくない傾向も示されました。ただし、週4回以上働いている人でスポーツや趣味の会への参加が少ないのは、社会とのつながりが失われたためではなく、就労に時間を充てた結果と考えられます。

■今後の展望(研究者コメント)

 本研究により高齢者の就労と幸福感や生活満足度の関係性を測るためには、就労の頻度も考慮する必要があると示されました。本研究では、健康状態を統計学的に考慮した分析や、就労状況を把握する前の時点で健康だった人に限定した分析を実施し、同様の結果を得ました。ただし、就労の質や負荷、就労条件については十分に把握できていません。今後の研究では、これらも測定することで、高齢者が健康に働ける環境整備につながる知見を示していきたいと思います。

 

■用語解説

注1)介護賦課データ:自治体(市区町村)が65歳以上の高齢者(第1号被保険者)などの「介護保険料」を正しく算出(賦課)し、徴収するために保有しているシステムデータのこと。本研究では、要介護認定情報などの提供について協力が得られた21自治体の2019年から2022年までのデータを用いた。

■論文情報

タイトル:Work frequency and subsequent health and well-being among older adults in Japan: An outcome-wide study

著者:竹内寛貴、井手一茂、近藤克則、中込敦士

雑誌名:Archives of Gerontology and Geriatrics

DOI:10.1016/j.archger.2026.106401

■研究プロジェクトについて

本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業(JSPS科研費、課題番号25KJ0720)の助成を受けて実施されました。

参考資料はこちら

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会社概要

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URL
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業種
教育・学習支援業
本社所在地
千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33  
電話番号
043-251-1111
代表者名
横手 幸太郎
上場
未上場
資本金
-
設立
2004年04月