カンボジア: 栄養不良を治療するウエハースを開発~自国生産で普及を目指す【プレスリリース】
【2018年12月17日 プノンペン(カンボジア)発】
ユニセフ(国連児童基金)、フランス開発研究所(IRD)、コペンハーゲン大学とDanish Care Foodsは、カンボジア政府とともに、重度の急性栄養不良の子どもを治療するため、魚を原料とした新しいウエハース食品「ニュートリックス(Nutrix)」を開発しました。
プノンペンに「ニュートリックス」の製造拠点を設置するにあたり、パートナー機関は、カンボジアの子どもを取り巻く栄養不良に対処するため、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)の大規模な製造を行うと発表しました。
「この革新的な栄養治療食の現地での製造開始は、少なくとも年間2万5,000人の重度の急性栄養不良の子どもを治療するという政府の目標を達成するための重要な一歩です」とカンボジアのモム・ブンヘーン(Mam Bunheng)保健大臣は述べました。「製造を開始すれば、重度の急性栄養不良を治療する食品が現地で入手できるようになります。過去5年間にわたり、多くのパートナーが本食品の開発に関わりました。この新しいパートナーシップによって、さらに多くの重度の急性栄養不良の子どもに支援を届けられるようになることを期待しています」
カンボジアでは、子どもの約2.6 %が重度の急性栄養不良と診断されています。在宅での治療を基本とするRUTFが処方されており、これなしでは多くの子どもたちが入院する必要性が出てきます。しかし、調査によると、現在カンボジアの保健施設において提供されている既存の製品を利用している子どもは多くありません。
「東アジアと太平洋地域では、年間500万人を超える5歳未満児が重度の急性栄養不良の影響を受けており、5歳未満の子どもの主な死亡原因となっています。重度の急性栄養不良をなくすことは困難を伴い、社会的、政治的意思が求められます。カンボジア政府がこの問題に優先的に取り組み、すべての場において治療を強化することは喜ばしいことです。カンボジアは本地域において2カ国目の、自国で独自のRUTFを製造する国となりました」と、ユニセフ・東アジア太平洋地域事務所副代表のWivina Belmonteは述べました。
カンボジア政府は、スナック菓子に類似した、安価な栄養治療食「ニュートリックス」を提供することで、現地の保健施設を通し、遠隔地の貧しいコミュニティで暮らす、重度の急性栄養不良の5歳未満児を治療することができます。カンボジアでは、年間推定6万人から9万人の子どもが、栄養治療食を含む専門的な治療を必要としています。
良く知られているRUTFとして、ピーナツと乳製品を原料とするものがカンボジアに輸入されていますが、 「ニュートリックス」の原料は現地で調達しているため、生産費が20%抑えられています。
*栄養治療食「ニュートリックス」について
カンボジアの子どもの口により合う食品として、治療を続ける子どもを増やすことを目的としています。この新しい栄養治療食の治療を受ける子どもたちは、毎月保健スタッフが診察し、成長過程を記録・管理します。ユニセフのサポートの下、36 の病院と100 以上の保健センターで治療を受けた子どもの数は、国全体で1,604 人(2011年)から5,576人(2017年)に増えました。さらに多くのカンボジアの子どもたちが、「ニュートリックス」を通じて治療を受けられるようになります。
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■ 本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。本信の原文は、以下よりご覧いただけます。
https://www.unicef.org/press-releases/new-fish-based-ready-use-therapeutic-food-treat-children-severe-acute-malnutrition
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