次世代通信基盤「IOWN」を活用した、距離的制約を超える新たなデータプラットフォームの共同実証を開始
〜データセンターの地方分散、実現に向けて前進〜
株式会社ブロードバンドタワー(本社:東京都千代田区、代表取締役:中川 美恵子、以下「ブロードバンドタワー」コード番号:3776 東証スタンダード)と、NTT東日本株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:澁谷 直樹、以下「NTT東日本」)は、共同実験協定を締結し、長距離(東京~北海道)のデータセンター拠点間で、次世代通信基盤「IOWN※1」におけるオールフォトニクス・ネットワーク(以下「APN※2」)を活用したストレージシステムの共同実証を、本日2025年11月17日(月)より開始いたします。ブロードバンドタワーの提供するストレージサービス内通信にAPNを活用し、1,000kmを超える長距離データセンター間で同一ファイルシステムを構成する初めての取り組みとなります。
1. 背景
近年、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が加速する中、IoT、エッジ、クラウド、リモートワークなど多様な環境で、日々膨大なデータが生成されております。さらに、生成AIや機械学習、自然言語処理といったAI技術の急速な進展により、データの利活用はこれまで以上に重要性を増しております。このような環境変化の中で、ストレージは単なるデータの保存領域にとどまらず、企業活動や生産活動を支える「データプラットフォーム」へと進化を遂げつつあります。
また、ストレージを設置するデータセンターにおいては、東京一極集中の是正、地方創生の推進、エネルギーの効率的活用といった観点から、データセンターにも分散化が求められており、インフラ全体に変革が必要とされております。
このようにデータ利活用の重要性が増す一方で、データセンター間でのシステム分散によるデータ共有の障壁や、ストレージ管理の複雑化といった新たな課題が顕在化しており、それらを解決することが今後の企業競争力を左右する重要な鍵となっております。
2. 顕在化している課題
・分散環境におけるデータ利活用
近年では、一つのデータに対して分析・生成AI学習・映像処理など、多様なワークロードが求められるようになっております。しかしながら、「データの格納場所(ストレージ)」と「利用者(アプリケーションや分析環境)」が必ずしも同一拠点に存在するとは限らず、共有するために拠点間のデータ移動が頻発しております。
大容量化するデータの転送に膨大なネットワーク帯域、時間、運用工数が必要となり、データ利活用の大きな障壁となっており、生産性へも大きな影響を与えております。
・ストレージシステムの個別運用による管理負荷の増大
データの大容量化と高速化が求められるストレージ環境においては、低遅延性が重要視されるため、多くの企業では拠点ごとにストレージが設置されております。
また、企業にとって重要なデータを格納するストレージは、事業継続性を考慮したデータ保護、バックアップ、ディザスターリカバリー対策や、昨今急激に対応が求められているランサムウェア対策を含むセキュリティ対策など、多面的な管理が求められております。
この結果、管理者は各拠点の環境ごとに個別の対応が必要となり、管理負荷の増大や運用の非効率化が課題となっております。
3. 概要
本共同実証では、東京拠点「ブロードバンドタワー 新大手町サイト」と、北海道拠点「NTT東日本 札幌市内データセンター」(2026年開設予定の「石狩再エネデータセンター」を想定し、NTT東日本札幌市内データセンターを利用。距離は約1,000km超)にまたがる、一貫したストレージシステム(ワンボリューム)を構築いたします。
従来は遅延の観点から、同一拠点内に限定されていたストレージ間通信に対して、高品質・大容量・低遅延の特性を持つIOWN APN(NTT東日本の「All-Photonics Connect powered by IOWN」)を活用することで、東京~北海道間の長距離にわたるストレージ空間へ統合いたします。

■各社の役割
・ブロードバンドタワー: データセンター・ストレージの提供、ストレージの性能検証/機能検証の実施
・NTT東日本: データセンターの提供、IOWN APN技術提供および実証回線の提供
■検証内容
・長距離拠点間で構成されたストレージシステムの正常性確認
・映像制作やAIのワークロードを想定したストレージ性能検証
・セキュリティやデータ保護に関するストレージ機能検証
■検証構成
・場所: ブロードバンドタワー 新大手町サイト、NTT東日本 札幌市内データセンター
・東京~北海道間のネットワーク: All-Photonics Connect powered by IOWN
・ストレージ: Dell Technologies PowerScaleシリーズ
・ランサムウェア対策ソフトウェア: Superna Eyeglass
■時期
2025年11月17日(月)~2026年3月31日(火)を予定
4. 今後の展開
本共同実証では、次世代通信基盤「IOWN APN」を用いて長距離データセンター間を接続し、離れた拠点に設置されたストレージを、あたかも一つのストレージシステムのように利用できる仕組みを実現いたします。この仕組みにより、データの配置場所や距離を意識することなく、最寄りの拠点からストレージへアクセスし、遠隔地拠点とデータをリアルタイムに共有することが可能となります。
高品質なデータ送受信が求められる映像制作や、大規模な学習データ活用が不可欠なAI開発など、多様な分野で課題となっていたワークロードの最適化に寄与し、企業の生産性向上とデータ利活用のさらなる推進に貢献いたします。
また、増大するデータセンターの電力需要やインフラ効率化といった社会的課題への対応により、柔軟で持続可能なデジタル社会の基盤構築を後押しいたします。
今後も、「石狩再エネデータセンター」をはじめとするデータセンターの地方分散実現をめざし、地方と都市をつなぐ新たなデジタル基盤の構築を通じて、社会全体の持続的な発展に貢献してまいります。
<用語解説>
※1 IOWN
IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想とは、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、光を中心とした革新的技術を活用し、高速大容量通信ならびに膨大な計算リソースなどを提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想です。詳しくは次のホームページをご覧ください。
●IOWN構想とは
https://www.rd.ntt/iown/index.html
※2 APN
APN(All-Photonics Network)とは、ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入し、これにより現在のエレクトロニクス(電子)ベースの技術では困難な、圧倒的な低消費電力、高品質・大容量、低遅延の伝送を実現いたします。詳しくは次のホームページをご覧ください。
●オールフォトニクス・ネットワークとは
https://www.rd.ntt/iown/0002.html
*「IOWN®」は、NTT株式会社の商標又は登録商標です。また、「All-Photonics Connect®」は、NTT東日本株式会社およびNTT西日本株式会社の登録商標です。
その他、記載されている会社名および商品名は、それぞれ各社の商標および登録商標であります。
■ お客さまからのお問い合わせ先
株式会社ブロードバンドタワー 営業本部
電話: 03-5202-4801 E-mail: bbtower-sales-web-j@bbtower.co.jp
NTT東日本株式会社 経営企画部 IOWN推進室
E-mail: iownlab-ml@east.ntt.co.jp
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