東京メトロは変電所電圧の適正化等を実施し回生エネルギーを有効活用します
省エネ施策を実施し鉄道事業における使用エネルギー削減を推進
東京地下鉄株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役社長:山村 明義、以下「東京メトロ」)は、電車がブレーキをかけたときに発生する回生電力※1を有効活用するために、2025年度から変電所電圧の適正化の取り組みを全線展開し、駅補助電源装置※2の制御方式を変更することで、さらなるエネルギーの有効活用を実施します。この2つの取組みにより、CO2換算約4,870トン/ 年の削減効果を見込んでいます。
※1 電車がブレーキをかけた際に電車の運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで回生電力を発電します。発電した回生電力は、付近を走行する電車に供給し、使用エネルギーを削減していますが付近を走行する電車がいない場合、回生電力の行き場がないためそのエネルギーを活用できておりませんでした。
※2 使い切れない回生電力を、照明や空調、エスカレーターなどの駅施設やその他鉄道施設用の電力に変換する装置
回生電力有効活用の取り組み
1 変電所電圧(き電電圧※3)の適正化
き電電圧を下げることで、回生絞り込み※4が発生しにくい状況を作ることができますが、一方で、電車線電圧が一定の電圧よりも降下すると列車の加速性能が低下し、運行ダイヤへの影響が懸念されます。そのため、変電所・車両が保有するビックデータを分析・見える化し、その結果、最も回生効率が高いき電電圧を特定することができました。
2023年12月から、有楽町線飯田橋駅~新木場駅間を対象に実証実験を開始し、当該区間の使用電力量が3%程度削減されたことから、2024年4月以降対象を丸ノ内線、東西線、半蔵門線、副都心線に拡大してきました。拡大した路線においても、一定の効果が得られたことから、2025年度からは、対象路線を日比谷線、千代田線、南北線にさらに拡大し、全線で長期的な実証実験を開始します。この取り組みによってCO2換算約4,500トン/年の削減効果を見込んでいます。
※3 列車が走行に使用する電気の電圧
※4 き電電圧が上昇して、一定の電圧に達した場合、車両設備が故障しないよう、回生電力の発電量を抑制すること

2 回生電力有効活用設備の導入推進及び更なる効率化
東京メトロでは3種類の回生電力有効活用設備(駅補助電源装置、電力貯蔵装置、電力回生インバーター)を導入しています。
これまでに駅補助電源装置20台、電力貯蔵装置4台、電力回生インバーター3台を導入しています。これらの装置は、これまでに得たデータを分析し、逐次フィードバックすることで最適な整定値に見直しをはかり、さらなる回生電力の有効活用につなげています。

また、駅補助電源装置のさらなる回生電力有効活用の検討のため、2024年4月から西船橋駅で実証試験を行ってきました。その結果、制御方式について電車線電圧を検知し制御する方式から、電車線電圧の波形を検知し制御する方式へ変更することによって、活用できる回生電力が40%程度向上できる見通しがたったため、全駅補助電源装置の判定方式を変更します。この取り組みによってCO2換算約370トン/年の削減効果を見込んでいます。




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