東京大学教授・前田健太郎さんによるNHKブックス最新刊『道徳を競う帝国 マイノリティの権利はどこからきたのか』が5月25日に発売
多様性・公平性・包摂性(DEI)の思想は「西洋の伝統」なのか?

NHK出版が刊行する、日本で最も長い歴史をもつ選書シリーズ「NHKブックス」。その最新刊として『道徳を競う帝国 マイノリティの権利はどこからきたのか』が発売となります。
『道徳を競う帝国 マイノリティの権利はどこからきたのか』
それは西洋の伝統なのか?
現代社会で重視されている「多様性・公平性・包摂性(DEI)」の思想に至る道は、実は約100年前に帝国日本の挑戦から始まっていた――。本書は「脱植民地」をキーワードに、アメリカと日本における黒人・女性・外国人の権利が、啓蒙思想や社会運動ではなく「帝国」による国益の追求によって拡大してきたこと、さらに、それは日露戦争での日本の勝利に始まっていたことを明らかにします。
NHK出版デジタルマガジンで、「はじめに」の一部を特別公開中
構成
はじめに
マイノリティの権利は西洋由来か
脱植民地化から生まれたマイノリティの権利
日本から始まった帝国の競争
日本でマイノリティの権利の拡大が遅れた理由
「帝国」と「脱植民地化」について
本書の射程
第一章 人種主義に抗う帝国
一 白人支配への抵抗の力学
(1) マイノリティの権利の出発点
(2) 忘れられた国際関係論
(3) 帝国主義から生まれた人種主義
(4) 日露戦争という転換点
二 帝国の競争の始まり
(1) アジア主義から帝国主義へ
(2) 例外としての日露戦争
(3) 朝鮮半島とバルカン半島
三 人種差別撤廃提案の意味
(1) 日本の動機は何だったのか
(2) 大日本帝国と植民地支配
(3) 日本に対する黒人解放運動の期待
第二章 大日本帝国を揺るがす植民地
一 第一次世界大戦と民族自決
(1) 帝国の競争と民族自決の原則
(2) ナショナリズム論の西洋中心主義
(3) なぜ東アジアでナショナリズムが噴出したのか
二 帝国による国際協調の時代
(1) 弾圧の限界
(2) 協力者との妥協
(3) 妥協の不安定性
(4) 国際協調による封じ込め
三 植民地から生じた帝国の競争
(1) 第二次世界大戦の起源について
(2) 植民地の工業化がもたらす不安定
(3) 大正デモクラシーの没落
第三章 マイノリティの運命の分岐点
一 第二次世界大戦と脱植民地化
(1) なぜ戦争は帝国を崩壊させたのか
(2) 戦局の変化と植民地の独立
(3) 予定されていなかった帝国の解体
二 人種差別撤廃の国際規範
(1) 総力戦が帝国に及ぼす影響
(2) 日本とアメリカの変容
(3) 国連憲章における人種差別の撤廃
三 戦後日本のマイノリティ
(1) 植民地出身者からの国籍の剝奪
(2) 民族自決から住民交換へ
(3) アメリカの人種問題、日本の外国人問題
第四章 日本では起きなかった権利革命
一 アメリカ公民権法への道
(1) 脱植民地化とソ連の批判
(2) 黒人解放運動の弾圧と公民権運動の誕生
(3) 脱植民地化の進展と公民権法の制定
二 旧植民地の批判を免れた日本
(1) 旧植民地の競争
(2) 朝鮮半島の分断から民族運動の分断へ
(3) 北朝鮮への「帰還」
三 権利革命の力学
(1) アメリカの権利革命をどう説明するか
(2) 人種差別と女性差別の交差
(3) 公民権法と第二波フェミニズム
(4) なぜ日本では権利革命が起きなかったのか
第五章 加わり始める外圧
一 マイノリティの権利の国際化
(1) 脱植民地化の曲がり角
(2) 冷戦の展開と人権外交の浮上
(3) 社会主義圏からの挑戦と女性の権利
二 日本に対するアメリカの外圧
(1) 経済大国に対する外圧の力学
(2) 在日コリアンの権利
(3) 女性の権利のための取り組み
(4) 日本の敗因としてのソフト・パワーの欠如
三 日本に対する旧植民地からの批判
(1) 歴史認識問題の発生
(2) 日韓連帯運動と在日外国人の権利
(3) 女性の日韓連帯
第六章 脱植民地化に対する反動の時代
一 冷戦終結とアメリカ帝国
(1) アメリカに対する外圧の消失
(2) 帝国主義が生み出す人種主義の再来
(3) アメリカ帝国論の起点としての沖縄
二 日本政治の「右傾化」への道
(1) 戦後日本政治と脱植民地化
(2) 日本が迫られた謝罪
(3) 旧植民地からの批判と同時に生じた反動
三 安倍政権の逆説
(1) 政策に反映されなかった「右傾化」
(2) 妥協の構図
(3) 「慰安婦」を上書きした「女性活躍」
おわりに
マイノリティの権利は誰の伝統か
歴史の「イフ」を考える
個人の道徳の限界
多様性を尊重する国へ
著者
前田健太郎(まえだ・けんたろう)
1980年、東京都生まれ。東京大学教授。東京大学文学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。首都大学東京准教授を経て現職。専門は政治学、行政学。
著書に、『市民を雇わない国家――日本が公務員の少ない国へと至った道』(東京大学出版会、サントリー学芸賞)、『女性のいない民主主義』(岩波新書)、『権力を読み解く政治学』(羅芝賢と共著、有斐閣)がある。
商品情報

『道徳を競う帝国 マイノリティの権利はどこからきたのか』
前田健太郎 著
2026年5月25日発売
定価:1,980円(税込)
仕様:B6判並製 320ページ
ISBN:978-4-14-091300-0
出版社:NHK出版
ECサイト:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000913002026.html
NHKブックスについて
1964年1月に創刊。新書より少し大きい「選書」シリーズとして日本で最も長い歴史をもつレーベルです。創刊当初から一貫して、「第一線の研究者が、一般の人へ向けて書く教養書」という方針を守り続けています
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