【開催レポート】廃校を活用した「避難生活疑似体験プログラム」を社員向けの防災研修として実施
~KNTーCTホールディングス 70周年事業 記念イベント~
KNT-CTホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区 社長:小山佳延)は、70周年記念事業の一環として、「廃校活用防災事業」を新たに開始します。地域の有効活用が課題とされる「廃校」と「防災」を結びつけた取組みで、廃校施設にて実際の避難生活に近い環境を提供することで、平時からの備えの見直しや防災意識の向上を促す「避難生活疑似体験プログラム」を10月17日(金)から発売します。これに先立ち、社員の防災研修として、群馬県の旧・桐生南高校(現 KIRINAN BASE)にて同プログラムを10月15日(水)に実施しました。

1.「避難生活疑似体験プログラム」とは
首都直下型地震や南海トラフ地震の懸念に加え、台風や集中豪雨など、日本における自然災害のリスクはますます高まっており、その備えとして防災意識の向上が一層重要となっています。そこで本事業では、「防災」と、地域で有効活用が課題とされる「廃校」を結びつけ、廃校を活用して実際の避難所生活を体験できる防災教育プログラムを「避難生活疑似体験プログラム」として展開します。体育館などを避難所に見立て、インスタントハウスや簡易トイレの設置、災害食の試食、浄水や発電体験などを通じて、避難生活を体感することで、被災時のストレス軽減や非常時における生活環境改善の重要性を学ぶことを目的としています。企業・学校・自治会などを対象に本プログラムを販売し、地域資産の有効活用と防災意識の向上を図ることで、社会全体の安全と防災力向上に寄与することを目指します。
2.防災研修の実施背景
お客様が旅先で被災する可能性もあることから、旅行会社としても防災意識の向上は重要です。社員自らが防災を学び、実践に関わることで、お客様の安心・安全への理解を深める機会とすべく、まずは社員研修として本プログラムを実施しました。当日は、有志社員36名が参加。地震の発生頻度が高い地域や、過去に大きな災害を経験した地域を担当する社員も体験に臨みました。
3.当日の体験プログラムについて
今回の防災研修では、本プログラムの監修を務める名古屋工業大学大学院の北川啓介教授(建築デザイン・被災時の空間設計専門)をはじめ、NTT東日本株式会社 防災研究所(以下、NTT東日本 防災研究所)の全面協力のもと、避難生活疑似体験や備蓄品に関する体験型ワークショップ、さらに災害食・サバイバルご飯作りや、水作り、シェルター作り、発電サイクリングなど、多様なプログラムを通して、組織および個人の防災力を高める実践的な体験学習を行いました。
①防災のプロによるセミナー:避難生活の実態と海外の先進事例
まずは、NTT東日本 防災研究所 笹倉聡所長より、国内の避難所の実情について解説いただきました。笹倉所長は「国内では、何十年にもわたり、地域防災や避難所運営の基本形態が変わっていない」と指摘。
また名古屋工業大学大学院の北川啓介教授は、トルコの条例では発災から72時間以内に避難所へ大道芸人を派遣すること、イタリアの条例ではイタリア料理のシェフやワインのソムリエを派遣することが定められているなど、海外の先進的な事例に触れ、避難所生活の「心地よさ」や「快適さ」の向上が重要だと力説。さらに北川教授が開発したインスタントハウスが被災した方の「第2の家」となり、家を自ら作るという体験こそが希望につながるなど、避難所に対する一人ひとりの意識と創意工夫の重要性を訴えました。
②インスタントハウス・簡易トイレの組み立て体験
実際の避難所生活を疑似体験するプログラムとして、北川教授が開発したインスタントハウスの設置体験を実施しました。インスタントハウスとは、災害時に体育館などの屋内避難所でプライバシーや安心感を確保するための簡易居住ユニットで、約15分と短時間で設置・撤去が可能な設計であることが特長。実際に参加した社員が組み立てや装飾を体験し、避難所における課題や空間づくりの重要性を学びました。体験した社員からは「想像以上に段ボールハウスの組み立てが簡単で、個室空間の必要性を感じられた」といった声が寄せられ、インスタントハウスの有用性を実感する機会となりました。
さらに、避難所生活の衛生環境を大きく左右するのが“トイレ”の問題。避難所では断水によりトイレが使えないケースも多く、携帯トイレや簡易トイレの活用が重要になります。そこで本プログラムでは、一般社団法人日本トイレ協会に協力いただき、簡易トイレの設置体験も行いました。


③ 災害食・サバイバルご飯作り
災害時における「食の備え」をテーマに、一般社団法人日本防災キャンプアウトドア協会(以下、日本防災キャンプアウトドア協会)の協力のもと「災害食・サバイバルご飯作り」を実施しました。火を使わずに加熱できるパック調理、紙食器作りなどの体験を通じ、保存食でも温かい食事をとれることの安心感や、限られた資源で調理する工夫の大切さを体感。参加者からは、「災害食の印象が変わった」「自宅でも備蓄を見直したい」などの声が寄せられ、非常時における“食の重要性”を実感する機会となりました。

④備蓄ワークショップ
本ワークショップではNTT東日本 防災研究所より、避難所における物資配布の現状について解説。避難所で配布される物資には限りがあることから、参加者が「自分にとって本当に必要なもの」を事前に把握し、必要に応じて携行品を準備しておくことの重要性を学びました。2人1組で6種類の役割(単身者:成人男性・高齢男性・成人女性/複数避難者:女性+乳幼児、女性+子供、男性+ペット)を割り当て、それぞれの立場に応じた「備蓄品セットづくり」を体験。「自分が想定していなかった必需品に気づいた」といった声も聞かれ、より現実に即した防災意識を高めるきっかけとなったようです。
⑤未来型の避難生活体験
「未来型の避難生活体験」とは、最新の防災テクノロジーを実際に体感しながら、災害時における“自助・共助の力”を学ぶプログラムです。水作り・シェルター作り・発電サイクリングという3つのテーマを15分ずつ体験。
ミヤサカ工業株式会社の協力による「水作り体験」では、断水時に河川や雨水などを浄化できる浄水器を使用し、デモを実施。実際に墨汁入りの水から浄水し、その場で試飲も行いました。また、ENELL株式会社の空気中の水分から飲み水を生成するウォーターサーバーも体験しました。
「シェルターづくり体験」では、日本防災キャンプアウトドア協会の指導のもと、ブルーシートやロープなど身近な物資を活用して屋外に避難用シェルターを設営。限られた資材でも工夫次第で安心できる空間が作れることを体感しました。
さらに太陽誘電株式会社による「発電サイクリング」では、自転車をこぐことで電力を生み出す回生電動アシスト装置を使い、電源が確保できない状況下での発電体験を実施。非常時におけるエネルギー確保の大切さを学びました。参加者からは「最先端の技術を体験でき、災害を“自分ごと”として考えるきっかけになった」といった声が多く寄せられ、テクノロジーと体験を融合させた“未来型の防災教育”として、高い関心を集めました。

4.「廃校活用防災事業」担当者および参加者(当社社員)の声
【事業担当者】 KNT-CTホールディングス株式会社 社長室(未来創造事業担当) 岩本彩夏
NTT東日本株式会社 防災研究所様および名古屋工業大学大学院 北川啓介教授に全面監修いただき、各プログラムには多くの関係企業様にご協力いただき、今回のプログラムをようやく形にすることができました。
当日は、参加社員が実際に避難生活を体験する姿を見て、準備の成果を実感する場となりました。段ボールハウスの組み立て体験や簡易トイレの設営体験、災害食の実食体験など、一つひとつのプログラムに真剣に取り組む姿から、日頃の備えの重要性を改めて認識いたしました。
今回の体験を通して、単なる防災訓練ではなく、被災生活に特化した体験を提供することの大切さを確認することができました。社員からの意見やアドバイスを反映しながら、今後もプログラム内容の改善に努めてまいります。
【参加者】 近畿日本ツーリスト株式会社 公務・地域共創事業部 中村凛香
今回のプログラムに参加し、避難生活の現実を肌で感じることで、これまで自分が“想像の範囲”でしか防災を捉えていなかったことを痛感しました。避難所の限られたスペースやプライバシーの少なさを実際に体験し、いざという時のために、こうした経験を積んでおくことの重要性を強く感じました。本プログラムは、体験を通して防災の本質を学べる貴重な機会です。今後はこの価値をしっかりと伝え、多くの方に体験していただけるよう積極的に発信していきたいと思います。
5.「廃校活用防災事業」の今後の展開について
群馬県は関東の中でも地震発生率が低く、また、東京圏の企業が本社機能を一部移転する等、防災との親和性が高い土地柄であること、また旧桐生南高校(現:KIRINAN BASE)は、地域の指定避難所にもなっており、体育館などの空間は実際の避難所環境を再現するのに最適であることから、第1弾の会場として採用させていただきました。
今後は、本事業の「避難生活疑似体験プログラム」を「出張プログラム」として全国に展開し、地域ごとの防災課題に応じて体験内容をカスタマイズして実施します。防災の学びを広げると同時に、地域活性化にもつなげ、安心して暮らせるより良い社会の実現に貢献してまいります。
※KNT-CTホールディングス株式会社について
当社グループは「未来」を見据えた「変化対応企業」として、絶えず変化し、多様化する社会からのニーズに対して「本物の価値を創造する企業」として「当社グループだからできること」に挑戦をしてまいります。これからも「旅」と「旅を超えた」さまざまなサービスをお届けし、皆さまへの感謝を胸にグループ一丸となって、よりよい明日を創ってまいります。

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像