ベネッセ、「ミドル・シニア層」の学びに関するインサイト調査を発表

ミドル・シニア層は職や環境適応スキルより、「自分らしく社会とつながるための学び」を求める 全体の8割以上が学び無気力層、性別や年代による意識の差も

 株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市、代表取締役社長:小林 仁、以下「ベネッセ」)は、ミドル・シニア層(ミドル層:45~59歳、シニア層:60~69歳)*1の学びやキャリアへの意識を把握するため、「ミドル・シニア層の学びに関するインサイト調査」(以下「本調査」)を実施しました。

■実施の背景・目的

 2025年は、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、労働力人口の減少など、様々な分野に大きな影響がおよぶ「2025年問題」が懸念されています。また、2013年に改正された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)により、2025年4月からは70歳までの雇用確保の努力義務および雇用保険法に基づく高年齢雇用継続給付の縮小が予定されています。15歳以上の就業者の約7人に1人が65歳以上である現在*2、日本の労働力人口の確保には、ミドル・シニア層がリスキリングをし、活躍できる環境づくりが重要になります。

 一方で、ベネッセが2023年に実施したリスキリングに関するインサイト調査によると、20~30代は「自分を高めることへの関心が高い」ことに比べ、40~50代のミドル層は「リスキリングへの不満が大きく、期待感もない」傾向が見られ、年代による「意識格差」があることが分かりました*3。このような背景から、ベネッセでは、日本の労働力を担うミドル・シニア層についての学びやキャリアに関する意識をより深く把握するため、本調査を実施しました。

■結果サマリー

● ミドル・シニア層の8割以上が働き方やキャリア、人生やライフプランの見直しの検討していない「このままでいいや層」、もしくは検討を行っているが実行できていない「モヤモヤ層」であった。 -①

● 「老後の不安に備えつつ、自分らしい人生の基盤を固めたい」ミドル層に比べ、シニア層は「余生ではなく、自分が主役の人生を開花させたい」意識がうかがえた。-①

● ミドル・シニア層が特に求めているのは職業や環境に適応するスキルよりも、「自分らしく社会とつながる学び」であり、社会や人との関係性の中で新しい可能性を求める「ソーシャル・シニア」志向が強い。-②

● 男性よりも女性の方が学びに対する意欲が高く、性年代別で意識の差がみられた。-②

● 役職が高いほど学びに感じる魅力は高いが、現場に近いポジションのミドル・シニア層では学びに感じる魅力は低い傾向。-③

● 定年後については、働くことに積極的な「再雇用層」「独立層」と個人の裁量や趣味を重視する「セミリタイヤ層」「完全リタイヤ層」で、学びの効果的なアプローチがそれぞれ異なる。-③

①ミドル・シニア層の「働き方やキャリア」と「人生やライフプラン」の見直し状況と人生観

「働き方やキャリアの見直し」と「人生やライフプランの見直し」状況を聞いたところ、どちらもほぼ半数の回答者が「見直しは検討していない」状況の「人生このままでいいや層」でした。また、「検討はしているが、見直しは行っていない」回答者が「働き方やキャリアの見直し」では27.3%、「人生やライフプランの見直し」では39.1%存在し、見直しに踏み込めていない「モヤモヤ層」と合わせるとミドル・シニアの8割以上がキャリアや人生の見直しができていないことが分かりました。特に、「人生やライフプランの見直し」は「働き方やキャリアの見直し」よりも検討をしている割合が高く、自分自身の人生について不安を抱いている回答者が多いことが見て取れます。(n=982)

また、現代のミドル・シニア層は、社会環境の変化で「人生のゴール、モデルケース」が消失し、社会人人生のほとんどが不況であったため、希望の人生を果たせていないことが特徴として見られます。中でも、ミドル層は人生の後半に備えて自分らしい人生の基盤を固めたい傾向が強く、シニア層はただ漫然と余生を過ごすのではなく、「自分が主役の人生」を開花させたい願望が強い傾向がありました。

②性別・年代別の傾向と学びに対するアプローチ

本調査では、男性よりも女性の方が学びに対する意欲が高いという結果が分かりました。男女ともに40~50代では「好きなことで世に役立つ」ことに対して魅力を感じる傾向が最も高く、60代では「個人裁量で社会とつながる」ことに対して魅力を感じる傾向が最も高いという結果となりました。一方、スキル習得に対する関心は、年齢が上がるにつれて低下し、60代は、「社会とのつながり」を求める傾向が強くなります。

45-49歳の男性は、「キャリアに対する不安」が強いものの、50-59歳になると大幅なキャリア変更は難しくなり、「人生の可能性」を模索し、60歳以降は「社会との新たな接点」を求める傾向にあります。自分が好きなことや興味関心を整理しながら、今後の人生の可能性を拡げ、社会とつながる接点にもなるような学びをすることで意欲的に学びを進めることができることがわかりました。

一方、女性は、男性に比べて組織への所属への関心は低く、45-49歳は「キャリアと家庭の両立」を重視し、50-59歳は「スキル習得への強い意識」を持つことが分かりました。60歳以降の「社会とのつながり」を見据え、組織の内外を問わずに活躍できるキャリアや人生設計を叶えられる学びを行うことで、自分らしく社会とつながることができるようになります。

➂役職および定年後の傾向と学びに対するアプローチ

総じて、役職が上がるにつれて学びに感じる魅力は高く、未充足度も低くなっているのに対して、現場に近いポジションのミドル・シニア層では学びに感じる魅力は低く、未充足度も高くなる傾向が見られました。経営層・役員・部長クラスは「組織に変革をもたらす意欲」、課長クラスは「組織内での学びを重視し、異世代と意識共有をしたい意欲」が強いため、自分自身の人生や組織に変革をもたらす学びに積極的です。一方で、係長・主任・リーダークラスおよび一般社員クラスは「個人の裁量を重視」しているため、「自分の好きなこと」を深めるのが学びの第一歩になることが分かります。

 定年後に関しては、現在の組織に軸足を置きつつ「新しいキャリア構築」を志向する「再雇用層」は、自分の可能性を拡げる学び、「スキルを磨く」ことへの関心が高く、学びに対して意欲的な「独立層」には実際のビジネスで役立つスキルの習得が効果的です。「セミリタイヤ層」「完全リタイヤ層」は、「個人の裁量」や「趣味」を重視しているため、「自分軸」に合わせた学びを行うことで人生をより充実させられることがわかりました。

本調査の詳細についてはこちらからご参照ください。: https://ufb.benesse.co.jp/ebooks/2024middle-senior.html

■調査結果に関するコメント

飯田 智紀(いいだ とものり)

株式会社ベネッセコーポレーション 執行役員 社会人教育事業領域担当(Udemy日本事業責任者)

人生100年時代、現代のミドル・シニア層は人生の節目が多様化し、「生涯社会的現役」を当たり前として迎える最初の世代といえます。ミドル・シニア層の約8割が働き方やライフプランの見直しを行っていないという結果が出た一方で、自分らしく社会とつながるための学びに魅力を感じていることがわかりました。学びは、机に向かって勉強することや、業務に直結する資格取得をすることだけではありません。かつて好きだったことに挑戦したり、興味のあることにチャレンジすることも立派な学びであり、自分の可能性や人生の選択肢を広げるきっかけとなります。ミドル・シニア層のさらなる活躍が求められる中、ベネッセは、オンライン動画学習プラットフォーム「Udemy」を中心にサービスを拡充し、多様な学びの機会を通して、より多くの大人が可能性と生きていく社会を目指します。

<「Udemy」および「Udemy Business」概要>

 Udemy(ユーデミー)は、米国Udemy社が運営する世界約7,500万人が学ぶオンライン動画学習プラットフォームです。世界中の「教えたい人(講師)」と「学びたい人(受講生)」をつなげ、最新の生成AIからビジネススキルまで、幅広いテーマを学ぶことができます。法人向けの「Udemy Business」は、Udemyで公開されている世界25万以上の講座から、日本向けに厳選した約15,000の講座を定額で利用できるサービスです。ベネッセコーポレーションは、一生涯の学びを通して社会と人々の人生が豊かになることを目指し、社会人の学び支援を行っており、Udemy社とは2015年より日本における独占的業務提携を締結しています。

・Udemy公式サイト: https://www.udemy.com/ja/
・Udemy Business公式サイト: https://ufb.benesse.co.jp/

<調査概要>

「ミドル・シニア層の学びに関するインサイト調査」
本調査におけるインサイトとは、本人も気づいていない無自覚な欲求や心の奥深くに隠された心理を指します。インサイトは価値・不満・未充足欲求の3種類あり、生活者に直接聞いても答えられないことが多いため、本調査は最初に「学び」に関するポジティブな体験価値から相対的に見た隠れた不満や未充足を抽出する定性調査を実施し、次に不満や未充足に対する共感度と、それらを満たすために提供するべき新しい価値提案への魅力度および現状感じている未充足度を定量調査で検証しています。
・対象:45~74歳の男女306名(定性)/45~69歳の男女982名(定量)
・期間:2024年8月20日~22日(定性)/2024年9月25日~27日(定量)
・方法:インターネット調査(定性・定量)

*1本調査では調査結果の傾向の違いから(ミドル層:45~59歳、シニア層:60~69歳)と定義。

*2 総務省統計局 2024年9月15日「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」

*3「リスキリングに関する生活者理解のためのインサイト調査」

・対象:18~59歳の男女400名(定性)/20~59歳の男女800名(定量)

・期間:2023年9月22日~28日(定性)/2023年11月2日~6日(定量)

・方法:インターネット調査(定性・定量)

・本調査の詳細資料: https://ufb.benesse.co.jp/ebooks/insightresearch2024.html

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会社概要

URL
http://www.benesse.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
岡山県岡山市北区南方3-7-17
電話番号
086-225-1165
代表者名
小林 仁
上場
東証1部
資本金
136億円
設立
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