気象予報士と寿司職人が”海水温の上昇”をテーマに授業 海なし県やまなし発「海洋環境を考える特別授業」
2022年11月15日 【甲州市立菱山小学校/山梨県】
このイベントは、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環で開催するものです。
- イベント概要
・開催概要:日本近海での水産の変化の原因の一つといわれる【海水温の上昇】について、小学5・6年生を対象に気象予報士と寿司職人が講師となり、特別授業を実施しました。
・日程:11月15日(火)午前8:45~9:45
・開催場所:山梨県甲州市勝沼町 菱山小学校
・参加人数:児童14人 教員4人 来賓3人 計21人
- 実施背景:海洋ごみの量が魚の量を上回るという2050年、海水温上昇や海の酸性化も深刻に
“サンマが記録的な不漁で価格が高騰”、”天然ブリの水揚げ、北海道でピーク迎える”等、日本近海での水産の変化を報じるニュースをよく耳にします。毎年800万トンを越えるプラスチックごみが流出している世界の海では、2050年にはプラスチックごみが魚の量を越えると予測されています。さらに世界の海では海水温の上昇や、海の酸性化が問題となっており、日本近海においても、魚介類の漁獲量の減少や、魚の小型化、漁場の移動といった変化がみられます。海からの警鐘に対して、子どもたちと未来の海を想像し、今からできることを考えるため、気象と食のプロを招いて、特別授業を開催しました。
- 海水温の上昇がおよぼす影響について、気象のプロと寿司職人が解説
特別授業は山梨のテレビやラジオではおなじみの気象予報士、保坂悟さんによる海水温上昇の講義でスタート。地球の表面の約7割を覆う海が、森とともに二酸化炭素を吸収して大気のバランスを取っていることを解説したのち、海水の冷水と温水が入った2本のペットボトルに二酸化炭素を注入して、それぞれのボトルの変化を見る実験を実施。冷水は二酸化炭素を吸収し、ボトルが瞬時に大きくへこんだ一方、温水のボトルは二酸化炭素を注いでも変化がない様子を見て、水温が高い水は、二酸化炭素を吸収できないことが目で見てわかり、海水のはたらきについて想像することができました。
2人目の講師は、山梨県鮨商生活衛生同業組合の理事長で、寿司職人の山田栄一さん。
冒頭で「2050年に獲れなくなるかもしれない魚介類」についてクイズを出題。 大好きな寿司ネタが食べられなくなるかもしれないと知った児童からはため息が漏れる場面もありました。
クイズの後は、50年以上寿司を握ってきた山田さんが今感じる海と魚の異変について紹介。海水温が高いとサンマの回遊ルートが日本の漁場の外に移ってしまったり、富山県ではブリの漁獲量が落ちて、北海道で豊漁となっている変化を説明しました。また生きた魚を扱うときは、人の手の温度で魚を傷めてしまわないように注意が必要なことや、店に設置している生け簀の温度設定の難しさにもふれながら、魚介類にとって水温は重要であることが紹介されました。
- 参加した児童・教諭からの声
・魚にとって温度が重要であることがわかった
・AIを活用して未来の海の様子や海洋生物について分析したらどうか
・菱山小で毎年実施している植林活動を継続して川や海の環境を守りたい
・普段の授業では聞けないプロの話が聞けてよかった
<団体概要>
団体名称:海なしやまなし発!海ごみZEROプロジェクト実行委員会
URL:https://www.ybs.jp/umigomi0/
活動内容:海洋ごみの8割が陸から河川などをつたって運ばれます。富士川、相模川、多摩川の源流となる山梨も他人事ではないと捉え、海の無い山梨からも海洋ごみゼロに向けた取り組みを、自治体、民間団体、企業などと連携して行っています。
CHANGE FOR THE BLUE
国民一人ひとりが海洋ごみの問題を自分ごと化し、”これ以上、海にごみを出さない”という社会全体の意識を向上させていくことを目標に、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として2018年11月から推進しているプロジェクトです。
産官学民からなるステークホルダーと連携して海洋ごみの削減モデルを作り、国内外に発信していきます。
https://uminohi.jp/umigomi/
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/
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