「たまひよ妊娠・出産白書2025」 母親・父親2,000人調査父親の出産・育児の休暇日数*1カ月以上は3年で2.7倍の約34%に 子どもを「あと1人以上欲しい」人は減少
「産み育てにくい社会」と感じる割合は父母ともに4年で改善みられず 制度浸透するも育児環境・経済的・身体的負担厳しさ続く
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市、代表取締役会長兼社長:岩瀬 大輔、以下:ベネッセ)の妊娠・出産・育児事業を展開する「たまひよ」は、2024年秋に全国の乳幼児を持つ父母約2,000人を対象に、妊娠・出産・育児に関する調査を行いました。この度、調査結果を「たまひよ妊娠・出産白書2025」として公開いたします。
本調査はコロナ禍の2020年秋に開始し、今年で5回目になります。仕事環境やジェンダーの意識、法制度の変更など、妊娠・出産・育児を取り巻く環境は変化し続けており、父母の実態を調査・分析する目的で継続実施しています。


【調査結果サマリー】 ※詳細はP.3以降および「たまひよ妊娠・出産白書」サイト(URL:https://st.benesse.ne.jp/press/content/?id=146241)参照 |
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①父親の出産・育児のための休暇取得の実態
父親が出産・育児にあたり取った休暇日数は年々長期化。産後パパ育休の利用も拡大
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日数:休暇日数の長期化が顕著。「2週間~1カ月未満」「1カ月~3カ月未満」「3カ月~半年未満」「半年~1年未満」「1年以上」が3年連続で増加、2024年は1カ月以上の取得合計が計33.7%。
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「産後パパ育休(出生時育児休業)」の利用:32.4%が利用(昨年比9.5ポイント増)と、制度の利用拡大がうかがえる。
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休暇を取っていない割合:9.8%と、2年連続減少。9割は出産・育児にあたり、なにかしらの休暇を取得している。
②出産・育児に関わる意識
「出産・育児がしにくい」と思う母親は約7割継続。「しやすい」と思う母親は1割に対し、父親は3割と父母間の差が21ポイントに広がる
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「出産・育児がしにくい」と思う母親は昨年とほぼ変わらず72.1%、父親の割合は昨年より減少し50.1%。
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「出産・育児がしやすい」と思う母親は12%に対し、父親は33.7%と、差が昨年の14%から7ポイント増加し21.7%に広がった。
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家族計画:「子どもをあと1人以上欲しい」母親は4年連続減少。「もっと欲しいが難しい」の増加傾向も続く。
➂2024年トピックス
印象に残ったニュースは父母ともに「児童手当の拡充」。国や自治体の制度の認知・利用度は高い
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2024年印象に残ったニュース:父母ともに「児童手当の拡充」の印象は強い様子。次いで「産後パパ育休制度」「年間出生数75万人割れ」が続く。
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里帰り出産の割合:39.6%と、4年前と比べて17.2ポイント減。
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母親の「出産・子育て応援交付金」「妊婦健診の助成」「出産育児一時金」「乳幼児の医療費助成」「児童手当」の利用率は8割を超える。

調査結果を受けて |
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支援は拡充しているのに、孤立した環境と時間のなさに追われる育児世代
父母の時間的貧困(時間の余裕のなさ)への支援強化も課題
世界を震撼させた新型コロナウィルス感染症を機に、2021年(調査は2020年)にスタートした「たまひよ妊娠・出産白書」は、今年で5回目の調査を実施しました。
調査1回目では、妊婦が孤立した出産を余儀なくされている状況が浮き彫りになりましたが、その後4年の間に状況は大きく変化しました。産後パパ育休制度施行の2022年をターニングポイントとして、23年4月のこども家庭庁発足と、妊娠・育児に関連した制度の変更、支援策の拡充がされてきました。ところが4年経つのに、「たまひよ妊娠・出産白書」の経年質問である、「産み育てにくい社会である」のポイントが一向に減っていません。
私は昨年の白書報告時に、今後、「時間がなく、育児と仕事をするので精いっぱいという、父親と母親だけが孤立した育児の現状が想像される」と予測をしましたが、それがさらに現実味を増してきました。今回の調査では里帰り出産の比率もさらに減っていることからも、より夫婦が二人だけで育児を頑張っている姿が現れていると思います。
「時間的貧困」(time poverty)という言葉があります。これは、日中の活動時間から通勤・労働時間を引いた際に十分な家庭時間が確保されないことを言います。育児世代であれば、当然育児の時間も必須ですから、24時間のうち、労働・育児・家事の時間を引くと自分の時間や睡眠を削る一方となり、時間の余裕のなさから生活に心理的貧しさを感じているのではないかと考えます。
子ども向けの支援策は広がっている今こそ、次は父親・母親向けの支援が必要であると強く感じます。それは直接手助けすることだけでなく、思いを寄せる、声をかける、話を聞く、共感することも支援の一つと考えます。社会全体が子育てをポジティブに見守る空気に大転換することが必要です。
米谷 明子
『たまごクラブ』『ひよこクラブ』統括編集長
妊娠・育児系の出版社を経て、2007年ベネッセコーポレーション入社。たまひよ雑誌ディレクターを務めつつ、2013年度ムック『妊活たまごクラブ』を創刊。2022年、6つの時期別雑誌に生まれ変わった、「たまひよ」新創刊をリードする。2023年現職。近年はフェムテックやプレコンセプションケア等のイベントや会議登壇や発信も。


調査結果詳細 |
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①父親の出産・育児のための休暇および取得の実態
休暇日数
父親が出産・育児のために休暇を取得した日数は、「4日~1週間未満」より短い期間が減少し「1カ月~3カ月未満」が最も高い割合に。「2週間~1カ月未満」「1カ月~3カ月未満」「3カ月~半年未満」「半年~1年未満」「1年以上」が3年連続で増加。取得期間が1カ月以上の合計は3割を超え、より長期で出産・育児に携わっている傾向が顕著となった。
Q:女性の方にお伺いします。あなたの配偶者・パートナーは、出産・育児にあたり、合計どのくらいの期間のお休みを取りましたか・取っていますか?
男性の方にお伺いします。あなたは出産・育児にあたり、合計どのくらいの期間のお休みを取りましたか・取っていますか?

父親の休暇取得状況
「育児休業制度を利用し休みを取った」が最も多く、昨年より増加。次いで「産後パパ育休(出生時育児休業)を利用し休みを取った」父親も昨年より9.5ポイント増え、32.4%が利用。
「出産や産前産後のための休みは取っていない」人は昨年より減少し1割をきった。
Q. 「男性の方にお伺いします。あなたは出産・育児にあたり、お休みを取りましたか?」 ※お子さまが複数人いらっしゃる場合は、一番最近の出産に関してお答えください。

②出産・育児に関わる意識
日本社会における出産・育児のしやすさ
母親は、昨年と変わらず「出産・育児がしやすい社会」と思う割合は1割程度で推移。「そう思わない」の合計は昨年同様7割を超える。父親は、「そう思わない」の合計は5割。昨年から「とてもそう思う」「まあそう思う」が微増し、3割が「出産・育児がしやすい社会」だと感じている。父母間に意識の差があることがうかがえる。
Q. 日本の社会は、子どもを産み育てやすい社会だと思いますか?

日本社会における出産・育児のしやすさ:そう思わない理由
母親・父親ともにトップは「経済的・金銭的な負担が大きいから」で8割を占める。制度が進むものの、経済的負担は改善していない状況がうかがえる。また、社会や職場の理解や支援の不足なども出産・育児のしにくさにつながっている。
Q. 前の質問で「あまりそう思わない」「全くそう思わない」とお答えになった理由としてあてはまるものをいくつでもお選びください。

今後の家族計画
子どもを「あと1人以上」欲しいと思う人は母親全体で約7割。4年連続減少傾向にある。「0人(もっと欲しいが難しい)」の増加傾向も続く。
Q. 今後の家族計画についてお伺いします。あと何人、子どもが欲しいとお考えですか?あてはまるものをお選びください。

➂2024年トピックス
印象に残ったニュース
母親・父親ともに「児童手当の拡充」が特に多く、母親・父親ともに5割。次いで「産後パパ育休制度」「年間出生数75万人割れ」が続く。少子化への関心とともに、経済的支援や制度浸透への期待、ニーズがうかがえる。
Q.2024年に妊娠・育児に関連して、印象に残ったニュース・キーワードをお選びください。(いくつでも)

里帰り出産の有無
里帰り出産をした人は4割をきり、減少傾向。「もともと里帰り出産は計画せず、しなかった」も増加傾向。コロナ禍以降、里帰り出産をしない傾向が続いていると思われる。
Q. 里帰り出産について教えてください。里帰り出産をされましたか?※お子さまが複数人いらっしゃる場合は、一番最近の出産に関してお答えください。

妊娠・出産・育児に関する国や自治体の各制度の認知・利用
母親では、「出産・子育て応援交付金」「妊婦健診の助成」「出産育児一時金」「乳幼児の医療費助成」の認知率が高いうえ、8割以上が利用している。父親で利用率が高いのは、「出産育児一時金」「出産・子育て応援交付金」など。
Q. 妊娠・出産・育児に関して、当事者が利用可能な主な国や自治体の各制度についてご存じですか?また、利用したことはありますか?


調査概要 |
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・調査期間:2024年9月5日~11日
・調査方法:WEB調査
・調査対象者:全国の生後0カ月~1才6カ月の子どもを持つ母親・父親(『たまごクラブ』『ひよこクラブ』購読経験者)
・有効回答数:2,062人(母親1,649人・父親413人)
・調査内容:産前産後での父母の意識や、父親の育休取得を含む育児環境や育児への関わりかた等
※調査結果は「たまひよ妊娠・出産白書」サイト https://st.benesse.ne.jp/press/content/?id=146241

補足情報 |
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■「たまひよ チーム育児」が始動!
24時間、休む間もなく大切な命を守るという重圧に耐えながら、孤独な育児につらさを感じている子育て世帯が多く存在しています。たまひよは、「子育てをみんなで。」を掲げ、「育児は当事者のもの・親だけが頑張るべき」といった固定観念を払拭し、妊娠・育児世代に限らず、多くの人が「チーム育児」に共感し、行動できる社会を目指します。
▶「たまひよ チーム育児」サイト https://st.benesse.ne.jp/lp/team/

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