エボラ出血熱/南スーダン:隣国コンゴ民主共和国での集団発生から1年、国境での感染食い止めに尽力【プレスリリース】
住民の意識向上と参加が予防のカギ
【2019年7月29日 ジュバ(南スーダン)発】
エボラウイルスの感染からどのように身を守るかという重要な情報が、人々の命を守ります。2019年1月以降、パートナーとともに南スーダンの300万人以上にエボラ予防のための情報を届けたことを、本日ユニセフ(国連児童基金)が発表しました。
南スーダンの隣国、コンゴ民主共和国において、1,700名の犠牲者を出し現在も続くエボラウイルスの大流行が始まってから、今週で1年を迎えます。コンゴ民主共和国は今なお、史上2番目にのぼる規模での流行の渦中にあります。エボラの脅威は、国境を越えた南スーダン国内で、高まり続けています。
ユニセフは、南スーダン政府や他国連機関、パートナー団体とともに、予防に関するメッセージを広め、コミュニティを巻き込んで彼らが感染予防に取り組めるよう支援しています。
ユニセフは、南スーダンの国を挙げてのエボラ対策を支援しています。十分な資金があれば、この国でエボラが蔓延したとしても、迅速かつ効率的に対応することができます。ユニセフは、政府と共同で、危機管理広報、社会的動員、コミュニティの積極的関与に関する作業部会をリードし、コミュニティにこの病気についての知識を伝え、人々が予防活動に参加するよう働きかけています。さらに、ユニセフと政府は、感染症の予防とコントロールに関する作業部会もリードし、保健員をはじめ前線で活動するスタッフが安全に活動できるよう支え、保健施設や学校など公共施設で水と衛生環境を整える支援もしています。
「エボラの脅威は、以前よりも南スーダンに近づいてきています。手をこまねいている時間はありません。私たちはこの国での集団感染に対応できるよう備えておく必要があります。しかし、何よりもまず、南スーダンにエボラが入り込むことを防ぐために、あらゆる手を尽くさなくてはなりません。」とユニセフ・南スーダン事務所代表モハメド・アヨヤは強調しました。「コミュニティの人々の積極的な関与が、感染を食い止めるカギとなります。我々は、感染経路についての理解を促し、もっとも有効な予防法である手洗いや衛生的な生活習慣を促進するために、コミュニティの人々と緊密に連携して活動しています」
ユニセフ南スーダン事務所は、コンゴ民主共和国やウガンダとの国境の州に暮らす感染リスクの高い人々に焦点を当て、また彼らを巻き込んで活動しています。これまでに、コミュニティで戸別訪問や住民の会合をおこなったり、宗教的リーダーや地域のリーダーを通じて命を守るためのメッセージを広める活動員450人を育成しました。
「コミュニティの中で活動するユニセフのチームやパートナー団体は、エボラ出血熱という病気について、そしてその予防方法について、知っている住民が増えてきたことを確認しています」とアヤラは話しました。「人々の意識の向上が、今年6月にウガンダで見つかった3件の症例の早期発見と封じ込めにつながったことからも、コミュニティの人々と共に予防に取り組むことの真価を表しています。エボラが私たちのすぐ目の前にあるかぎり、休むことなく取り組み続けなければなりません」
2019年1月から7月にかけて、ユニセフはパートナーと共に、
- 450人のコミュニティ活動員による個別の、またはグループでの啓発により、85万人以上に情報を届けました。
- 6つの言語の計18局のラジオ局において、エボラ出血熱に関するCMやトークショーを毎週流し、200万人にメッセージを届けました。
- エボラ感染リスクの高い地域の保健施設70カ所、4カ所の隔離ユニット、そして7カ所の経過観察ユニットを対象に、感染予防・コントロールと、水と衛生の物資やサービスを提供しました。
- 感染予防・コントロールに関する研修を前線で活動する保健員200人以上に行いました。
- 手洗い場の設置、石けんの配布、衛生習慣の促進やエボラ啓発の活動を、学校、教会、市場を含む公共の場で行いました。
ユニセフ南スーダン事務所は、2019年9月末までのエボラ予防・対策の活動に430万米ドルの資金を必要としていますが、現在までに確保できたのは14%に過ぎません。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )
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