マリ危機:子どもへの深刻な暴力が急増~今年前半で、子ども150人以上が殺害【プレスリリース】
ユニセフが警鐘
【2019年8月13日 バマコ(マリ)、ダカール(セネガル)、ニューヨーク 発】
ユニセフ(国連児童基金)と子どもの保護に関わるパートナー団体は本日、マリ共和国で、子どもに対する深刻な暴力、特に殺害されたり重傷を負うケースが、2019年になり急激に増加している、と警鐘を鳴らしました。
国連による予備データによれば、2019年前半で殺害された子どもの数は150人以上にのぼり、さらに75人が暴力的な攻撃によって負傷しています。武装グループによる子どもの徴用、あるいは実際に子どもを兵士として使用するケースも、2018年の同期間に比べて倍増しています。そして、900校以上の学校が、安全上の理由から閉校したままとなっています。
「マリで暴力が蔓延していくにつれて、より多くの子どもたちが、死や重傷を負う危険、あるいは、武装グループに徴用されるリスクにさらされます」と、ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べています。「私たちはこうした子どもたちの苦痛を、ニューノーマル(新たな常態)として受け入れてはなりません。すべての関係者は、国際人権法および国際人道法に則って、子どもに対する暴力を止め、危険な状態にある子どもたちを守るためにあらゆる手を尽くさなければなりません。子どもは、学校に行き、友だちと遊ぶべきです。攻撃されたり、あるいは戦闘に強制的に参加させられたりすることを心配すべきではないのです」
マリ国内の北部と中部では、深刻な暴力が急増しており、子どもの保護に対するニーズが非常に高まっています。中部に位置するモプティ州では、コミュニティ間における暴力が増加し、武装グループの存在感が増す中で、襲撃が繰り返し起きています。その結果、子どもたちが殺されたり、重傷を負わされたり、あるいは、避難を余儀なくされて、家族と離ればなれになったり、また、性的暴力の被害に遭い心的外傷(トラウマ)を負っています。マリでは、37万7,000人を超える子どもたちが保護を必要としていると推計されています。
ユニセフは、地元当局やパートナーとともに、紛争に巻き込まれた子どもたちに、医療と心理社会的ケアを提供しています。子どもたちを武装グループから解放し、地域社会に戻し、離れ離れになった家族と再会できるようにする支援や、性的暴力を含めた暴力の被害にあった子どもを対象にケアを提供しています。2019年、ユニセフは、紛争の影響を受けている子ども9万2,000人以上に、心理社会的支援を提供することを目指しています。
「マリで最も弱い立場に置かれた子どもたちが必要とする、保護のニーズは計り知れません」と、ユニセフ・マリ事務所のルシア・エルミ代表は強調します。「ユニセフとパートナーは、保護を最も必要としている子どもたちに不可欠なサービスを提供するため、さらなる支援を必要としています」
マリにおける危機は、支援に必要な資金が世界で最も足りていない危機のひとつです。ユニセフが、2016年から2018年にかけてマリで行った子どもの保護の緊急支援プログラムでは、寄せられた資金は必要額に対してわずか26%でした。2019年、ユニセフは、マリの子どもと女性のニーズに応える子どもの保護支援に必要な資金として400万米ドルを必要としています。
ユニセフは、マリ政府、国連組織、人道支援団体、子どもの保護に関わる関係者とともに、紛争の影響を受けている子どもたちを保護し、必要な支援を提供するために、マリにおいて活動を続けています。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )
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