TNFD自然移行計画パイロットプログラムに参加 New Belgium Brewingにおける水リスクの高い醸造所で自然移行計画を立案

 キリンホールディングス株式会社(社長 COO 南方健志、以下、キリンホールディングス)は、TNFD※1の自然移行計画パイロットプログラムに参加し、キリングループ内で水リスク※2の高い醸造所の一つであるNew Belgium Brewing(CEO Shaun Belongie)のFort Collins breweryにおいて、自然移行計画を立案しました。

※1 Task Force on Nature-related Financial Disclosures の略。自然資本に関するリスクと機会について企業が報告し行動するための、リスク管理に向けた情報開示の枠組みである自然関連財務情報開示タスクフォース
※2 物理リスク(水不足や洪水など)および批判リスク(評判に関するリスク)などの水に関するさまざまなリスクを指す

 Fort Collins breweryは、水リスクの高いCache La Poudre流域から取水しており、その依存度と影響度は自然に関連する優先課題の1つとなっています。この貴重な水資源は、醸造所以外にも、地域コミュニティ、農業、工業でも多く使用されているため水の需要が高く、水資源の確保は流域の複数のステークホルダーにとって共通課題となっています。近年、気候変動や人口流入の影響で水の需要が高まるなど、この地域の取水コストは2006年以降少しずつ上昇しています。この流域で生活する人や自然にとって、今後も水リスクがより大きくなることが想定されています。

 当社は、今回のTNFDのパイロットプログラムに参加し、Fort Collins breweryを対象として自然移行計画を立案しました。本計画は、パイロットプログラムを通じてNew Belgium Brewingの事業運営に係るリスクを低減することを目的としています。これまで実施してきた醸造所自体の用水使用原単位の削減に加え、流域という広い範囲でのステークホルダーとの連携や、流域自体のレジリエンス強化といった、ランドスケープアプローチ※3の必要性が明らかになりました。

なお、Fort Collins breweryは、キリングループの中で自然への依存とビジネスの関係が最も特徴的な拠点です。2023年にシナリオ分析ワークショップを実施し、物理的な水ストレス※4だけでなく、批判リスクの低減も含めて事業運営を社会や環境と共存が重要であると認識したことが立案の背景にあります。

※3 環境省(2021年6月作成)によれば、ランドスケープアプローチは、「一定の地域や空間において、(土地・空間計画をベースに、)多様な人間活動と自然環境を総合的に取扱い、課題解決を導き出す手法」であり、「持続可能な発展や人々の生活など、多様で総合的な観点なしには対応できない課題を解決し、生物多様性保全と気候変動や持続可能な消費と生産など、関連する課題解決プロセスの架け橋にもなる、成熟した社会づくりにとって重要な考え方」であるとしている

※4 水不足

 流域のステークホルダーにとって水資源の確保は共通課題ですが、それぞれ置かれている立場や状況が異なるため、直面している問題やその要因も異なってきます。課題の一側面から解決策を実施しても、他のステークホルダーにとっては重要ではなく、むしろ逆効果となる可能性もあります。効果的かつ責任ある行動として、今後、流域のステークホルダーを招集し、共通認識に基づいて実行可能な対策と、健全な流域のためにビジネス上のKPI(主要業績評価指標)を設定し、運用の検討を進めます。こうした協働的な取り組みは、流域全体の課題に対する包括的な理解を促し、流域固有の方法で流域の生態系サービスをステークホルダーと協力して保全・強化していくうえで、非常に重要な活動となります。

 なお、この取り組みは、TNFDの自然移行計画ガイダンスの“ランドスケープ、河川流域、シースケープのエンゲージメント”部分のケーススタディとして掲載※5されました。ケーススタディでは、TNFDから評価された、「事業運営を社会や環境と共存させるという目標に向けて計画を立案したところ、流域のステークホルダーへの働きかけや協同活動、つまりランドスケープアプローチが必要である、と再認識した経緯」について記載されています。

※5 移行計画における自然に関するガイダンス – TNFD

 自然の恵みを原材料に、自然の力と知恵を活用して事業活動を行っているキリングループは、複合的に発生し相互に関連する環境課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)に統合的に取り組み、豊かな地球の恵みを将来にわたって享受し引き継ぎたいという思いをバリューチェーンに関わるすべての人々とともにつなぐべく、自然と人に「ポジティブインパクト」を与えるさまざまな取り組みを積極的に進めていきます。

<参考>

・キリングループ環境ビジョン2050  https://www.kirinholdings.com/jp/impact/env/mission/ 

・キリングループ「環境報告書2025」 https://www.kirinholdings.com/jp/investors/library/env_report/

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会社概要

URL
https://www.kirinholdings.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都中野区中野4-10-2 中野セントラルパークサウス
電話番号
03-6837-7000
代表者名
南方 健志
上場
東証1部
資本金
1020億4579万円
設立
1907年02月