ベネッセ、社会人向け学習サービス「Udemy」10年分のデータ分析結果を発表 夕方の学習が多い一方で、学習を継続している人は朝6時~9時に取り組む傾向
検索急上昇ワードの1位は「AIエージェント」
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市、代表取締役会長兼社長:岩瀬 大輔、以下:「ベネッセ」)は、米国Udemy社(本社:米国サンフランシスコ、CEO:ヒューゴ・サラザン、以下:Udemy社)との業務提携開始10年を記念したキャンペーン「Dear Possibility(ディアー・ポッシビリティ)」を本年3月より実施しています。
10周年を記念して、ベネッセは、Udemy社が運営する社会人向けのオンライン動画学習プラットフォーム「Udemy(ユーデミー)」の日本国内10年分の学習データを分析し、学習トピックの変遷や、学習時間と学習スタイルの関係などをまとめたレポートを発表しました。
■分析の背景・目的
2015年、ベネッセはUdemy社と包括的業務提携を締結し、個人向けのオンライン動画学習プラットフォーム「Udemy」の展開を日本で開始しました。2019年には法人向けの定額サービスである 「Udemy Business」 を展開し、現在では国内200万人以上が学んでおり、 「Udemy Business」 の導入企業は約2,000社、導入自治体は100以上に至っています。
このように事業が広がりをみせる背景には、コロナ禍により在宅ワークが普及したことで、学習環境やスタイルに変化があったことのほか、世界経済フォーラムによる「リスキル革命」(2018)、政府によるリスキリング支援の方針の発表(2022)といった、国内外での「リスキリング」への関心の高まりが影響していると考えられます。また、2023年以降では、生成AIの急激な普及が学習方法や生活に大きな影響を与え、大人の学びや環境はこの数年間で大きく変化しました。
ベネッセは、これまでの10年で蓄積された「Udemy」の利用データをもとに、学びの変化や傾向を探り、今後も学びを通して「大人が可能性と生きていく社会」の実現を目指すため、本分析を実施しました。
■分析サマリ

●個人向けの「Udemy」 では、Pythonなどのプログラミング言語やWeb開発スキルが10年を通して人気な学習領域だが、近年ではAWSなどのクラウドサービスや生成AI領域が急成長している。 -① ●「Udemy」および法人向けの「Udemy Business」で学習を行うタイミングについては、夕方の時間帯が最多。一方で、平日の朝6時~9時の時間帯で学習する人の方が、年間の平均学習日数は多い傾向にある。-② ●「Udemy」では、次の講座購入までに、一度購入した講座内の複数レクチャー(講座を構成している各動画)の受講を完了していることが、学習日数に大きく影響している。 -③ ●「Udemy」 内の直近検索ワード上位5位はすべて「生成AI」で、AIエージェント領域を中心に今後需要が拡大していく見込み。 -④ |
① 個人向け「Udemy」10年間の人気学習トピック
日本でのサービス展開当初(2015~2016年頃)では、PythonやJavaといったプログラミング言語やWeb開発スキル等が人気のある学習領域でした。2019年からはAWSが台頭し、2023年以降は生成AIを中心としたAI分野が急成長しています。

2015年~2024年の学習トピックTOP10*¹ |

② 個人向け 「Udemy」 および法人向け 「Udemy Business」 学習タイミングと年間の学習日数の関係
「Udemy」 受講者は、16時~17時によく学習し、特に日曜日に学習する人が多い傾向となりました。また、月曜日~木曜日の22時~24時の学習も相応に見られました。「Udemy Business」 受講者は、休日よりも相対的に平日の11時~12時や15時~17時の業務時間内に学習を行う傾向があり、両サービス共通して、学習タイミングは夕方に集中していました。

受講者全体平均でみる「Udemy」 ・ 「Udemy Business」 利用者の学習時間帯*² |

また、学習継続には習慣化が重要であると言われている*³ことから、繰り返し学習していることを表す年間の学習日数にも注目しました。主な学習時間帯と時間帯別の年間の学習日数を見てみると、両サービスともに平日の6時~9時に学習する人ほど年間の平均学習日数が多い傾向にありました。

学習日数の大小と「Udemy」 ・ 「Udemy Business」 の学習時間帯の関係*⁴ |

③ 個人向け 「Udemy」 学習スタイルと学習日数の関係
「Udemy」での学習の一般的な流れは、検索またはおすすめされた講座を購入→学習→評価という順序です。分析の結果、学習日数に大きく影響しているのは、「次の講座購入までに、一度購入した講座内の複数レクチャー(講座を構成している各動画)の受講を完了していること」でした。ただ購入して満足するのではなく、学習を一定量進めることが、学習日数の増加に影響を与えていると考えられます。また、 「検索を行った日数」 や 「受講講座に付けた評価の平均」 も年間の学習日数に正に寄与しており、受講者の興味と講座内容が上手くマッチングしていることや、満足度の高い講座に出会うといった良い学習体験が学習日数に影響することがわかりました。

学習日数と各要素の関係*⁵ |

④ 直近検索ワードと今後注目される学習領域
個人向け「Udemy」 内で直近検索数を伸ばしているワードとしては、生成AI関連が大部分を占めていました。特に「AIエージェント」の領域は講座の受講数も増えてきています。資格についてもAI領域の需要が拡大しており、AIの基礎的な知識を問うものとして「G検定」やマイクロソフト認定資格の「Azure AI Fundamentals」の検索数が伸長しています。

検索急上昇ランキング*⁶ |

2025年度上半期に注目される学習領域は、社会トレンドと同様にAI領域が中心となり、特にAIエージェント領域で重要なオープンプロトコルである 「MCP」 の学習需要はかなり高まっています。また、エンジニアのコーディング支援を担う 「Cursor」 や、保有情報の情報整理支援を行う 「NotebookLM」 といった特定タスクに特化した対話型の生成AI領域も学習需要が拡大すると考えられます。その他、LMに特化したデータプラットフォームである 「Databricks」 の学習需要も堅調に拡大していくことが予想されます。
本調査の詳細についてはこちらからご参照ください。:https://www.benesse.co.jp/udemy/business/ebooks/japanesemarket.html
■本分析を受けてのコメント
飯田 智紀(いいだ とものり)
株式会社ベネッセコーポレーション 執行役員 社会人教育事業領域担当(Udemy日本事業責任者)

この10年間で、日本の大人を取り巻く学びの環境は大きく変化しました。コロナ禍によるライフスタイルの変化や生成AIの急速な普及は、10年前にUdemy事業を日本で開始した当初には想像もできなかったことです。しかし、今回の分析を通じて、学習内容や学習タイミング等の傾向を明らかにするとともに、私たちも変化に合わせた先進的な学びを提供してきたことを再認識する機会となりました。今後、生成AIのさらなる普及により、仕事のやり方や働き方が大きく変わっていくことで、学びのニーズや学び方にも影響が出ることが予想されます。ベネッセは、グローバルの変化をいち早く捉え、これからも最新の学びを提供できるように、Udemy社とともにサービスの質をさらに高め、「大人が可能性と生きていく社会」の実現を目指していきます。
<「Udemy」および「Udemy Business」概要>
Udemy(ユーデミー)は、米国Udemy社が運営する世界約8,000万人が学ぶオンライン動画学習プラットフォームです。世界中の「教えたい人(講師)」と「学びたい人(受講生)」をつなげ、最新の生成AIからビジネススキルまで、幅広いテーマを学ぶことができます。法人向けの「Udemy Business」は、Udemyで公開されている世界25万以上の講座から、厳選した30,000以上の講座を定額で利用できるサービスです。ベネッセコーポレーションは、一生涯の学びを通して社会と人々の人生が豊かになることを目指し、社会人の学び支援を行っており、Udemy社とは2015年より日本における独占的業務提携を締結しています。
・Udemy公式サイト: https://www.udemy.com/ja/
・Udemy Business公式サイト: https://www.benesse.co.jp/udemy/business/
・10周年特設サイト: https://udemy.benesse.co.jp/10th_anniversary/
*1 2015年1月1日~2024年12月31日の年間受講者数が多い学習トピックを各年で集計し、上位10位までを記載。総受講者数は経年で増加する中でのランキング推移であり、Top10ランク外=不人気ではない。あくまでも各年においてのTop10であり、各トピックの受講生数は増加傾向。
*2 曜日と1時間毎の時間帯で区分を行い、各区分の中で学習を行った受講者を集計し、その人数の多寡を色の濃淡で示した。色が濃いほど受講者の人数が多いことを示している。
*3 Fiorella, L. (2020). The science of habit and its implications for student learning and well-being. Educational Psychology Review, 32(3), 603–625. https://doi.org/10.1007/s10648-020-09525-1
*4 曜日と1時間毎の時間帯で区分を行った。受講者が1年間の中で最も頻度高く学習を行った区分を受講者の属する区分とした。各区分に属する受講者の年間の学習日数の平均を計算し、その値の多寡を色の濃淡で示した。色が濃いほどその区分で主に学習をした人の年間の学習日数が多いことを示す。
*5 「Udemy」 受講者が初めて有料講座購入を行ってから1年間の学習日数 (従属変数) と受講者の行動 (独立変数) との関係性をGLM (負の二項回帰)でモデル化した。対象の図は独立変数を標準化し、偏回帰係数を比較したものである。右に長いものほど従属変数に正に寄与することが意味する。
各独立変数は初めて有料購入を行ってから1年間の実績値であり、その意味は次のようになる。
「次の講座購入までの完了率」:次の購入までに現時点で購入した講座の完了率(全レクチャーのうち、受講が完了したレクチャーの割合)、「講座購入数」:購入された総講座数、 「評価を付けた回数」:講座に評価を付けた回数、 「検索を行った日数」:検索を行った日数、 「同一トピックの学習率」:学習 (購入) した講座の中で連続して同じトピックを学習した割合、 「購入講座のうち実践テストあり講座の割合」:購入した講座の中で実践テストが実装された講座の割合、 「受講講座に付けた評価の平均」:受講した講座につけた評価値(1~5までの0.5刻み)の平均値。
図表内「*」の表記はp値(統計的な有意水準)の値を示す。p値は「偶然にこの結果が出る確率」を意味する指標であり、*** (p < 0.001) なら、「この結果が偶然である可能性は、非常に低い」ということを意味する。
*6 2024年1月1日~2024年4月30日の間の検索者数に対して、2025年1月1日~2025年4月30日の間の検索者数が大きく増加した検索ワードをランキング形式で掲載。一部、学習分野とは異なるワード (講師名等) や極端に検索者数が少ないワードは除外。DWHはデータウェアハウスを指す。
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