線路メンテナンス用分析プラットフォーム「Viz-Rail」の新機能の実装~モニタリングデータによりレール張り出し現象の予兆を把握~
○JR東日本グループは、「勇翔2034」で掲げる「安全を最優先とした輸送基盤の強化」の実現を目指し、設備故障の未然防止(予防保全)に向けた検査や点検のレベルアップを進めています。
○このたび、社内開発チーム「DICe(ダイス)」と保線技術者が、線路メンテナンス用分析プラットフォーム「Viz(ビズ)-(-)Rail(レール)」に、線路設備モニタリング装置導入線区(当社管内全体の約70%)において夏季の高温時に稀に発生するレールの大きなゆがみ(張り出し現象)を未然に防ぐため、毎日取得するモニタリングデータを自動分析し、その予兆を見つけ出す新機能「HARIBOU(ハリボウ)(張防)」を開発しました。これにより、より安全レベルの高い輸送サービスを実現していきます。
○今後もこのような取組みを継続し、持続可能な設備管理体制の構築を目指します。
1.線路メンテナンス用分析プラットフォーム ~Viz-Rail~
2018年度より線路設備モニタリング装置を導入し、線路の状態(軌道変位)を示すモニタリングデータを毎日取得できるようになり、CBM※1への転換が進んでいます。そこで、第一線の保線技術者の創意を起点にして、2023年から社内開発チーム「DICe」と連携し、判断を支援するプラットフォーム「Viz-Rail」の機能開発を進めてきました。※2第1期・第2期では、軌道変位データが急に変化した箇所の検知や列車動揺の予測機能を開発しました。第3期「HARIBOU」では、最大300日分のレールのゆがみデータを毎日自動で分析し、レール張り出し現象の予兆を捉える機能を実装しました。
Viz-Rail 第1期~第3期機能一覧

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開発期 |
機能名 |
内容 |
|---|---|---|
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第1期 |
軌道変位急進性把握 |
直近15日分の急進性(モニタリングデータが急に変化した)箇所を検知する機能。 |
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第2期 |
列車動揺予測 |
線路の凹凸量を示すデータから列車動揺の発生を予測する機能。 |
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第3期 |
レール張り出し現象の予兆把握(HARIBOU) |
夏季の高温時に稀に発生するレールの大きなゆがみ(張り出し現象)を未然に防ぐため、最大300日分のレールのゆがみデータを毎日自動で分析し、その予兆を見つけ出す機能。 |


※1CBM(Condition Based Maintenance/状態基準保全):設備の状態データをもとに、劣化の兆候を検知した段階で対処する保全方式。定期点検中心の従来のTBM(時間基準保全)と対比される。
※2 「Viz-Rail」の開発は、JR 東日本の Digital & Data イノベーションセンター(DICe)と第一線の保線技術者がタッグを組んだアジャイル開発チームで推進しています。

2.「Viz-Rail」の新機能 ~HARIBOU~
従来は、年4回のEast-iデータや線路の状態・構造、過去の事例等の条件から定めた基準により、都度、人が点検箇所を抽出しておき、高温時に保線技術者が目視で現地を確認していました。そのため、レール張り出し現象の予兆箇所をタイムリーに把握することはできませんでした。
HARIBOUは、線路設備モニタリング装置導入線区全線を対象に、高温時に限らず毎日自動で直近300日分のゆがみの変動幅を判定し、予兆箇所をタイムリーに抽出します。また、変動幅の一覧、地図、ゆがみの変動幅や時系列データを一元的に表示できるダッシュボードにより、保線技術者は毎日タイムリーに状態を確認できます。これにより、現地調査の優先度を漏れなく定量的に判断できるようになることで、無駄の少ない的確な現地調査と効果的な予防保全を実現し、より安全レベルの高い輸送サービスを実現していきます。
従来とHARIBOU導入後の比較一覧

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比較項目 |
従来 |
HARIBOU |
|---|---|---|
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レールのゆがみデータ |
East-iで年4回取得 |
線路設備モニタリング装置で毎日取得 |
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レール張り出し現象の予兆箇所 |
ゆがみの状態や構造、過去事例等の条件から定めた基準により、都度、人が抽出 |
導入線区全線を対象に、毎日自動で直近300日分のゆがみの変動幅を判定して抽出 |
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抽出箇所の確認 |
上記で抽出した箇所を、高温時に人が目視で現地確認 |
抽出された変動幅の一覧にて、定量的に漏れなく優先度を判断し、的確な現地調査を実施。予防保全による安全レベル向上にもつながる |

3.今後の展望
JR東日本の保線部門が描く将来像は「持続可能なメンテナンス体制」の構築です。Viz-Railはその主軸のひとつとして、今後も線路設備全般の状態判定への展開を進めます。さらに、それら判定結果をもとに、AI等を活用した各種システムにより「工事計画調整」から「リソース(ヒト・モノ・カネ)の最適配分」に至る業務プロセス全体をデータとシステムが一元的に実行する「データドリブン管理※3」の体制構築を目指します。
将来的には、本取組みで培ったノウハウを他鉄道事業者にも展開し、業界全体の線路メンテナンスの高度化に貢献していきます。
※3 データドリブン管理:収集したデータをもとに、状態判定・工事計画・リソース配分までを一貫してシステムが自動で最適化し、技術者が最終判断と価値創造に専念できる管理手法。
【参考】関連するこれまでのプレス
2018年7月3日 線路設備モニタリング装置の本格導入について
(https://www.jreast.co.jp/press/2018/20180704.pdf)
2023年6月14日 メンテナンスを共通化!保線管理システム「RAMos+Ⓡ」を開発!
(https://www.jreast.co.jp/press/2023/20230614_ho02.pdf)
2023年9月29日 DXによる価値創造の加速に向けた組織改正を行います(DICe設置)
(https://www.jreast.co.jp/press/2023/20230929_ho01.pdf)
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