南スーダン:大洪水で49万人の子どもたちが被災【プレスリリース】
マラリアと下痢急増、命の危険
【2019年10月25日 ジュバ(南スーダン)発】
推定49万人の子どもたちが南スーダンの大洪水の影響を受けていると、ユニセフ(国連児童基金)は本日警鐘を鳴らしました。7月以来、並外れた豪雨が続いており、32郡の約90万8,000人が影響を受けています。この時期に大雨と洪水が起こるのは例年のことですが、洪水の規模は、特に旧称ジョングレイ(Jonglei)州、上ナイル(Upper Nile)州、ワラップ(Warrap)州、北バハル・アル・ガザール(Northern Bahr El Ghazal)州で深刻です。雨は今後も4〜6週間続くと予想されます。
洪水の影響を受けている地域では、複数の保健所が浸水被害に遭い、住民にサービスを提供することができません。稼働している保健所があっても、その一部は、道路が通行止めとなったり橋が崩壊したりしているために、子どもとその家族がたどり着くことのできない場所にあります。南スーダンの保健サービスは、洪水が起こる以前からアクセスが限られていましたが、アクセスの難しさや地域におけるマラリアと下痢の急増により、今はさらに深刻な状況に陥っているのです。
ユニセフ・南スーダン事務所代表のモハメド・アグ・アヨヤは、「南スーダンでは、通常なら生活に欠かせない水が、今では子どもたちの命を危険にさらしています」と述べました。「南スーダンで子どもの主な死亡原因となっているマラリアと下痢などの水に起因する感染症が地域で増加しており、ユニセフは、被災地の子どもの健康を非常に憂慮しています」
洪水により水源が汚染され、7万世帯の住まいが浸水被害に遭い避難生活を強いられています。大量の水が流れ込んだ結果、学校は休校が続いています。教室は避難所として使用され、子どもたちは学校生活を中断せざるを得ません。
洪水の影響を受けた郡の6割では、豪雨が始まる前から栄養不良率が高い状態でした。洪水による、マラリアへの高い感染率、水のアクセス不足や不衛生な環境を原因として、子どもの急性栄養不良のリスクが高まるおそれがあります。42の栄養センターが洪水でサービスを一時停止したため、即時に対処しなければ、すでに深刻な重度の急性栄養不良の状況がさらに悪化し、命の危険が高まります。
適切なタイミングでの支援がなければ、水が引いてからも洪水の影響は長期化してしまうでしょう。田畑や放牧地の冠水被害によって、多くの子どもとその家族は食料が手に入りにくくなり、国内のすでに深刻な食料事情がさらに悪化します。最も大きな影響が及んでいるのは子どもたちです。子どもたちが学校に戻るためには、学校を修復し、復学のキャンペーンを進める必要があります。
「洪水は子どもたちにいくつもの危険を及ぼします」とアヨヤは話します。「それは搾取や虐待のリスクを高め、子どもの健康と教育に影響を及ぼします。即時に対応しなければ子どもたちの命が奪われてしまう危険もあります。ユニセフは、洪水の影響を受ける地域の子どもとその家族に対し、迅速かつ適切に支援活動を実施するために、協力を呼びかけています」
ユニセフは南スーダン政府およびパートナー団体と協力して、以下に取り組んでいます:
- 最善の対応策を策定するために、現地に赴き状況の調査をおこなう
- 水に起因する感染症を予防するための浄水剤と数千の衛生キットの配布
- 急性栄養不良の子どものスクリーニングと治療
- 数百の深井戸と手押しポンプを修理・消毒する
- 一時的な学習スペースの設置
- 予防接種キャンペーンの実施
ユニセフは、洪水の影響を受ける地域の子どもたちの最も差し迫ったニーズに応えるために、550万米ドルの資金を要請しています。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )
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