カリブ海諸国:気候変動にともなうハリケーンの強大化~家を追われた子ども、5年間で76万人【プレスリリース】

ユニセフ、新報告書発表

アンティグア・バーブーダでハリケーン「イルマ」の被害を受け、母親とテントで暮らす5歳の男の子。(2019年11月6日撮影) © UNICEF_UN0345624_LeMoyneアンティグア・バーブーダでハリケーン「イルマ」の被害を受け、母親とテントで暮らす5歳の男の子。(2019年11月6日撮影) © UNICEF_UN0345624_LeMoyne

【2019年12月6日 ニューヨーク/パナマ発】
カリブ海諸国(注1)で暴風雨や洪水により避難を余儀なくされた子どもの推定数は、過去5年間で6倍に増加したと、ユニセフ(国連児童基金)は、本日、新しい報告書のなかで述べました。

ユニセフのチャイルド・アラートシリーズ『ふるさとを奪われたカリブ海の子ども:気候変動にともなうハリケーンの強大化によって避難する子どもたち(原題:Children Uprooted in the Caribbean: How stronger hurricanes linked to a changing climate are driving child displacement)』では、カリブ海諸国で推定76万1,000人の子どもが、もっとも被害の集中した5年として記録された2014年から2018年の間に、暴風雨を理由として国内避難したことを指摘しています。その前の2009年から2013年までの5年間に避難した子ども17万5,000人と比べ、約60万人の増加です。(注2)

「この報告書によって、気候危機は子どもの権利の危機であることがはっきりと思い起こされます」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「世界中の、暴風雨や洪水に見舞われやすい国の子どもたちは、自らの生活と権利を守ることにおいてもっとも弱い立場に置かれています。彼らがすでに気候変動の影響を感じているなかで、政府と国際社会は今、もっとも壊滅的な結果を回避するために行動しなければなりません」
 

ユニセフの報告書『ふるさとを奪われたカリブ海の子ども:気候変動にともなうハリケーンの強大化によって避難する子どもたち』ユニセフの報告書『ふるさとを奪われたカリブ海の子ども:気候変動にともなうハリケーンの強大化によって避難する子どもたち』

報告書では、強制的な避難が劇的に増えた主な原因は、2016年から2018年の間に、4つのカテゴリー5と2つのカテゴリー4の嵐を含む、一連の壊滅的な熱帯低気圧あるいはハリケーンであることを指摘しています。2017年だけで、カリブ海諸国の40万人以上の子どもたちが、ハリケーンによって家を離れることを余儀なくされました。

また、気候変動の影響を緩和するために緊急に行動しなければ、深刻な暴風雨の割合が高まり、今後数十年の間、同様の大規模な強制避難をもたらす可能性が高いと警告しています。

ハリケーンからの強制的避難は、コミュニティが家、道路、橋、電力網、農業、学校、病院、および水と衛生システムを再構築するために要する時間に応じて、比較的短期間で済むか、あるいは数年間続く場合があるでしょう。子どもが親を失っていたり、家族と離ればなれになっている場合、避難の間は特に弱い立場に置かれます。避難している子どもは、はしかや呼吸器感染症などの日和見感染症のリスクが高くなります。これらの感染症は、過密状態の避難所で流行する恐れがあります。

さらに、避難している子どもたちは、教育、保護、保健ケアなど、成長するために不可欠なサービスへのアクセスが限られているか、まったくアクセスできないままになっている可能性があります。

報告書はまた、政府に対し、コミュニティへの支援(壊滅的な暴風雨への備え、またその被害からの回復)を促し、気候変動にともなう災害によって避難した子どもたちを保護するための措置を講じるよう求めています。その内容の一部は次のとおりです:
  • 子どもを気候変動戦略と対応計画の中心に据える。
  • 二酸化炭素排出量と汚染を削減する。
  • 気候変動と環境の悪化の影響から子どもを保護する。
  • 避難している子どもたちに保護と教育や保健ケアなどの不可欠なサービスへのアクセスを提供する。
  • 避難した家族が一緒にいられるよう支援する。
  • 国境を越えることを余儀なくされた場合、難民となった子どもたちが法的地位を持てるようにする。
 

バハマ・アバコ島にある家がハリケーン「ドリアン」の被害を受け、首都ナッソーまで避難する4歳と11歳の兄妹。(2019年9月撮影) © UNICEF_UN0341859_Moreno Gonzalezバハマ・アバコ島にある家がハリケーン「ドリアン」の被害を受け、首都ナッソーまで避難する4歳と11歳の兄妹。(2019年9月撮影) © UNICEF_UN0341859_Moreno Gonzalez

ユニセフは、災害の発生前、発生中、および発生後、カリブ海諸国全域のパートナー団体と協力しながら、子どもたちを守り、支援しています。気候変動の緩和、開発政策、レジリエンス(回復力)計画により、ユニセフは子どもに焦点を当て、強制的避難を少なくし、復興期間を短くし、そして家族が家に帰ることができるよう災害リスク削減戦略の確立に取り組んでいます。この取り組みには以下が含まれます:
  • アンギラ、アンティグア、バーブーダ、キューバ、ドミニカ、ドミニカ共和国、ハイチ、そしてカリブ海全域で、2017年の大西洋のハリケーンシーズンの影響を受けた子どもと家族に命を救う人道支援を提供する。
  • 影響を受けた島々のパートナー団体と協力し、保健、水と衛生、教育、子どもの保護などの公共サービスとインフラを修復する。
  • 気候変動とその影響を緩和する政策を提唱するために政府と協力する。データと研究に投資する。病気を追跡し、ワクチン接種率を高める。現金送金、公共事業スキーム、その他の社会保護セーフティネットを促進する。

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(注1)報告書では、カリブ海の以下の小島嶼開発途上国における避難を調査しています:
アンギラ、アンティグア、バーブーダ、アルバ、バハマ、バルバドス、ベリーズ、バミューダ、英領バージン諸島、ケイマン諸島、キューバ、キュラソー、ドミニカ、ドミニカ共和国、グレナダ、グアドルーペ、ガイアナ、ハイチ、ジャマイカ、マルティニーク、モントセラト、プエルトリコ、セントクリストファーネイビス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、シントマールテン、スリナム、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、および[AK1] 米領バージン諸島。

(注2)これらの推定値は、ユニセフと国内避難モニタリングセンター(Internal Displacement Monitoring Centre)によるデータに基づいています。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )
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