第12回「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」受賞者10名決定 ~未来のリーダーとなる女性研究者を支援し、次世代への裾野を広げる~
資生堂は、「女性研究者サイエンスグラント※1」の受賞者10名を選出しました(応募総数149名)。本グラントは次世代の指導的役割を担う女性研究者を支援することが科学技術の発展につながるという考えのもと設立され、今年で12回目を迎えます。この研究助成金は対象が化粧品関連領域にとどまらない幅広い研究分野であること、応募には年齢制限がないこと、研究を推進する目的であれば女性のライフイベント(出産や育児)のサポートなど幅広く使用出来ることといった特長があります。昨年までの受賞者109名のうち40%以上がその後昇進、昇格されました。資生堂は今後も女性研究者の研究活動を支援することにより、指導的女性研究者の育成に貢献していきます。
なお本年の授賞式は7月5日(金)に開催し、受賞者には各100万円の研究助成金を贈呈します。
※1:グラントとは「研究助成金」の意味
《資生堂 女性研究者サイエンスグラント設立の背景》
STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)領域では、一般的にジェンダー間の格差が大きいことが課題となっています。日本において研究者に占める女性の割合は16.2%で、近年緩やかな上昇傾向にあるものの、世界では29位※2 と諸外国(例:1位アイスランド 47.2%、17位アメリカ 33.4%)と比較していまだ低い水準にとどまっています※3。この背景として、日本は出産・育児・介護などをサポートする環境が十分ではなく、女性の研究活動に及ぼす影響が大きいことも考えられます。資生堂はこうした状況を踏まえ、指導的立場を目指す意欲があり、科学技術発展への貢献が期待できる女性研究者を支援することを目的に、2007年に本グラントを設立しました。
※2:総務省 平成30年科学技術研究調査より
※3:内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書 平成30年版より
《女性研究者を支援》
本グラントの対象研究分野は幅広く、自然科学分野全般の女性研究者を対象としています。また助成金は試薬や機器といった研究費用としてだけではなく、出張時のベビーシッターや研究アシスタントの雇用費などライフイベントの間の研究活動をサポート費用としても、学生の学会参加費など指導者としての活動費に使用できることも特長です。過去の受賞者からは、本グラントの受賞が大学内外でのキャリアアップの一助となったとの声も寄せられています。
当社は新たに定めた企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」の達成に向けた重点活動領域のひとつとして、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の一つでもある「ジェンダー間の平等・公平の実現」を目標にしています。女性がその力を最大限に発揮できる社会の実現に向け、今後も幅広く女性支援活動に取り組んでいきます。
《授賞式概要》
<名称>第12回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント 授賞式
<日時>2019年7月5日(金)10:00~12:30
<会場>資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK) 3F S/PARK ホール
(神奈川県横浜市西区高島1-2-11)
<授賞式次第>
・挨拶 [株式会社資生堂 執行役員 吉田克典]
・記念楯贈呈/受賞者挨拶
・社外審査委員祝辞
[本グラント審査委員、福井工業大学 環境情報学部 環境・食品科学科・学部長、教授 矢部希見子先生]
・基調講演「受賞者へのエール」
[首都大学東京 システムデザイン学部 機械システム工学科准教授 三好洋美先生(本グラント第7回受賞者)]
[山形大学大学院理工学研究科 助教 宮瑾先生 (本グラント第7回受賞者)]
《第12回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント 受賞者一覧》
助成期間:2019年6月~2020年5月
<氏名>稲木 美紀子(いなきみきこ)
<所属>国立大学法人 大阪大学 理学研究科生物科学専攻
<職位>助教
<研究分野・受賞研究テーマ (ひとこと説明)>
【細胞生物学/発生生物学/メカノバイオロジー】
細胞キラリティが内臓器官の左右非対称な形態を誘導する機構の解明
(内臓が左右非対称な形になるための細胞の動きを生きたまま観察する研究)
<氏名>岩越 栄子(いわこしえいこ)
<所属>広島大学 大学院 統合生命科学研究科
<職位>研究員
<研究分野・受賞研究テーマ (ひとこと説明)>
【神経科学】
過食と肥満を引き起こす新しい神経ネットワークの解明
(私達が最近発見した脳内因子を研究することで、過食・肥満を防ぐことが可能になると考えています。)
<氏名>近藤 能子(こんどうよしこ)
<所属>長崎大学 水産学部/大学院水産・環境科学総合研究科
<職位>准教授
<研究分野・受賞研究テーマ (ひとこと説明)>
【化学海洋学】
海洋における鉄の酸化還元状態の制御機構(海洋植物プランクトンの生長に必須な元素「鉄」の海水中の化学形態についての研究)
<氏名>下川 周子(しもかわちかこ)
<所属>国立感染症研究所 寄生動物部
<職位>主任研究官
<研究分野・受賞研究テーマ (ひとこと説明)>
【感染症免疫学】
腸管寄生蠕虫感染モデルから明らかとなった自己免疫疾患の予防、治療補助法の開発
(一型糖尿病を制御しうる新たな抑制性細胞の誘導メカニズムの研究。新規治療法の開発を目指す。)
<氏名>高柳 友紀(たかやなぎゆき)
<所属>自治医科大学 医学部 生理学講座 神経脳生理学部門
<職位>講師
<研究分野・受賞研究テーマ (ひとこと説明)>
【神経内分泌学/分子神経科学】
思春期の社会的遊び行動の神経回路解明(思春期に友人と遊ぶことで活性化される脳の神経回路を解明する研究)
<氏名>南後 恵理子(なんごえりこ)
<所属>京都大学 大学院医学研究科(理化学研究所 放射光科学研究センター)
<職位>助教(客員研究員)
<研究分野・受賞研究テーマ (ひとこと説明)>
【構造生物学/X線結晶解析/生物有機化学】
X線自由電子レーザーを用いたタンパク質触媒機構の分子動画解析
(新しい光であるX線自由電子レーザーを使って、タンパク質が機能する瞬間を原子レベルで解明)
<氏名>馬場 彩(ばんばあや)
<所属>東京大学 大学院理学系研究科物理学専攻
<職位>准教授
<研究分野・受賞研究テーマ (ひとこと説明)>
【高エネルギー宇宙物理学】
宇宙重元素起源の理解に向けた超新星残骸X線画像診断手法の確立
(我々の素である様々な元素が星の中で生まれ、宇宙に散らばる様を解明します。)
<氏名>宮武 由甲子(みやたけゆきこ)
<所属>北海道大学 大学院医学研究院 分子病理学教室
<職位>助教
<研究分野・受賞研究テーマ (ひとこと説明)>
【実験病理学/がん生物学】
マイクロナノバイオデバイスを用いた癌腫瘍組織の免疫回避のダイナミクス
(がん組織が生き物のように動く姿を体外で観察できる培養基板を開発(がんの真の生態を理解して創薬に生かす))
<氏名>森野 佐芳梨(もりのさおり)
<所属>大阪府立大学 地域保健学域 総合リハビリテーション学類
<職位>助教
<研究分野・受賞研究テーマ (ひとこと説明)>
【リハビリテーション医学】
妊婦の姿勢特性による動作不安定性のスクリーニング
(妊婦の静止立位姿勢の評価から、動作の不安定性を予測する。)
<氏名>吉田 賀弥(よしだかや)
<所属>徳島大学 大学院 医歯薬学研究部・口腔保健教育学分野
<職位>准教授
<研究分野・受賞研究テーマ (ひとこと説明)>
【口腔保健学・口腔組織学・分子生物学】
歯周病原菌感染マクロファージの膜小胞による糖尿病重症化機序の解明
(歯周病菌が感染した細胞が作る膜小胞のDNAを解析し、糖尿病重症化を予測する診断方法として応用したい。)
敬称略、氏名五十音順
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▼ 資生堂グループ企業情報サイト
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