シリア北西部:子ども50万人避難の人道危機~暴力激化と寒さで1月以降子ども77人死傷【プレスリリース】
【2020年2月18日 ジュネーブ/アンマン/ニューヨーク 発】
シリア北西部における暴力激化により、50万人以上の子どもが避難を強いられています(注)。何万人もの子どもとその家族が、極寒の気候と雨の中、テント生活や野宿をして暮らしています。
「3日間歩き続け、今はテントで暮らしています。持ち物はすべて雨と泥でびしょ濡れになりました」と語るのは、イドリブ県のサラケブ出身で、最近避難しアレッポに暮らす母親のナディア(仮名)です。「緊急手術が必要な病気を患っている子どもがいますが、手術代を払う余裕はありません。息子が死んでも、私にできることは彼を埋めることだけです」
地域での暴力激化により、今年の初めからこれまでに、77人の子どもが死傷(28人が死亡、49人が負傷)したことが確認されました。
「シリア全体の厳しい状況を基準にしても、北西部の現状は到底受け入れられるものではありません」とユニセフ(国連児童基金)事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「子どもと家族は、暴力、厳しい寒さ、食料不足、そして劣悪な居住環境から逃れられずにいます。人々の安全と幸福が軽んじられているこの状態が続いてはなりません」
昨日、ユニセフは、アレッポ県西部に残された最後の2つの病院が攻撃をされたという報告を受けました。そのうちの1つは、母子医療のための病院です。
ユニセフは、現地のパートナー団体と協力し、最近避難を余儀なくされた人々を含む、支援を必要とする家族に命を救う支援を提供し続けています。この支援には、衛生キット、安全な飲料水、冬用の暖かい衣類、栄養不良の検査と治療、および教育と心理社会的サポートが含まれます。
また、特に予防接種の機会を逃した子どもたちのためにワクチンを提供しています。そして、ワクチンの品質を維持するためのコールドチェーンなど、予防接種キャンペーンを実施するために必要な機器も提供しています。
「シリア北西部で起こっている殺りくは、今も子どもたちに過酷な犠牲を強いています。いまこそ銃声と暴力から決別するときです」(フォア)
注記:2019年12月1日以来。国連人道問題調整事務所(OCHA)情勢レポートに基づく。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
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■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )
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