3月8日は国際女性デー:第4回世界女性会議から25年、なくならない女の子への暴力【プレスリリース】

マリで生後2カ月の赤ちゃんを抱くファトゥさん。13歳で母親になり、学校にも通えていない。(2019年6月撮影) © UNICEF_UN0332611_Roseマリで生後2カ月の赤ちゃんを抱くファトゥさん。13歳で母親になり、学校にも通えていない。(2019年6月撮影) © UNICEF_UN0332611_Rose

【2020年3月4日 ニューヨーク 発】

学校に通う女の子の数はこれまでで最も多い一方、そうした教育分野の著しい向上にも関わらず、女の子にとってより平等で暴力の少ない環境づくりへの前進はほとんど見られないと、ユニセフ(国連児童基金)は本日、プラン・インターナショナル、UNウィメンと共同で発表した報告書で警告しました。

第64回国連女性の地位委員会に先立って発表された本報告書は、過去20年間で学校に通っていない女の子の数が7,900万人減少したことを指摘しています。実際、過去10年間で女の子は男の子よりも中等学校に通う可能性が高くなりました。

しかし、女性と女の子に対する暴力は今でも日常的に起こっています。例えば2016年には、世界で報告された人身売買被害者の70%が女性と女の子で、そのほとんどが性的搾取でした。驚くべきことに、15〜19歳の女の子の20人にひとり、約1,300万人がレイプを経験しています。これは、女性と女の子を苦しめる最も暴力的な性的虐待のひとつです。

「25年前(1995年)に北京で開催された第4回世界女性会議(北京会議)で、各国政府は女性と女の子の権利の実現を誓いましたが、今もその約束を部分的にしか果たしていません。各国は、多くの女の子を学校に送り出すという政治的意志を結集しましたが、彼女たちが自身の手で運命をひらき、安全と尊厳の中で生きるために必要なスキルの提供や支援があまりにも足りませんでした」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「教育へのアクセスは十分ではありません。女の子に対する人々の行動や態度も変えなければなりません。真の平等は、すべての女の子が暴力から守られ、権利を自由に行使し、人生で平等な機会を享受できてはじめて実現します」
 

報告書「女の子のための新時代:25年の進歩をたどる」(原題:A New Era for Girls Taking stock on 25 years of progress)報告書「女の子のための新時代:25年の進歩をたどる」(原題:A New Era for Girls Taking stock on 25 years of progress)

報告書「女の子のための新時代:25年の進歩をたどる」(原題:A New Era for Girls: Taking stock on 25 years of progress)は、「Generation Equality(平等を目指す全ての世代)」キャンペーンの一環として発行され、女性と女の子の権利をさらに進展させるための歴史的なロードマップとなった北京宣言および北京行動綱領の採択25周年を記念するものです。

今日の女の子たちは、インターネット、教室、家庭、コミュニティなど、あらゆる場で驚くほど暴力のリスクに晒されており、身体的、心理的、社会的影響を受けています。本報告書は、児童婚や女性性器切除(FGM)などの有害な慣行が世界の数百万人の女の子の人生と可能性を壊し、損害を与え続けていることを指摘しています。毎年、1,200万人の女の子がおとなになる前に結婚し、400万人がFGMの危険に晒されています。世界の15〜19歳の女の子は、同年齢の男の子と同じくらい妻への虐待を正当化する傾向があります。

報告書はまた、栄養と保健に関する女の子の負の傾向についても指摘しています。これらの多くは、25年前には想像もできなかったことです。例えば、グローバル化、伝統的な食事から加工された不健康な食事への移行、子どもを対象とした積極的なマーケティング手法の急速な拡大により、不健康な食品や砂糖入り飲料の消費が増加しています。これは、小児期および青年期の過体重や肥満の増加につながっています。1995年から2016年の間に、5歳から19歳の女の子の過体重率は9%から17%にほぼ倍増し、その数は1995年(7,500万人)の約2倍(1億5,500万人)になりました。
 

FGM根絶に向けた啓発活動を行うため、コミュニティーリーダーのトレーニングを受ける女の子と女性。(2019年12月撮影) © UNICEF_UNI287351_MostafaFGM根絶に向けた啓発活動を行うため、コミュニティーリーダーのトレーニングを受ける女の子と女性。(2019年12月撮影) © UNICEF_UNI287351_Mostafa

一方、過去25年間で、インターネットやスマートフォンといったデジタルテクノロジーの過度な使用が一因となって、心の健康の低下への懸念も高まっています。本報告書では、自殺は現在15〜19歳の女の子の死因の第2位であることに触れています(1位は妊娠に関連する合併症)。女の子はまた、HIVを含む性感染症のリスクが高く、10〜19歳の女の子97万人がHIVと共に生きています(1995年は74万人)。今も、世界で新たに感染する10代の子どもの4人に3人が女の子です。

本報告書は、以下の分野での行動を呼びかけます:
  • あらゆる背景、民族、収入、社会的地位の女の子が、力強く意欲的なチェンジメーカーやソリューションデザイナーになることを祝福し、その機会を拡大する。彼女たちの意見やアイディアを、自身の身体、コミュニティ、教育や未来に関わる対話やプラットフォーム、プロセスの中で積極的に採用する。
  • 政策やプログラムへの投資を増やし、第4次産業革命における技術開発や、ジェンダーに基づく暴力、児童婚、FGMを終わらせる世代の運動など、今日の世界の現実に合った10代の女の子の権利を促進するのに有効なモデルを拡大する。
  • ジェンダーに基づく暴力、21世紀型スキルの習得、10代の子どもの栄養、心の健康など、知識が限られている分野での性別および年齢別の高品質データの作成、分析、使用への投資を増やす。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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