新型肺炎:30億人が家で手洗いできず~世界の4割、ユニセフが警告【プレスリリース】
【2020年3月13日 ニューヨーク 発】
石けんを使って正しく手洗いをすれば、新型コロナウイルス(Covid-19)との闘いに効果的であるものの、何百万人もの人々が、手を洗う設備をすぐに利用できないと、ユニセフ(国連児童基金)は本日明らかにしました。最新のデータによると、基本的な手洗い設備が自宅にあるのは、世界で5人のうち3人に限られています。
パンデミックの拡大が続く中、ユニセフは、Covid-19の主要な予防策として手洗いの重要性を強調し、この最も基本的な公衆衛生策が世界中で実現できるよう、支援をさらに強化しています。
「石けんによる手洗いは、コロナウイルスや他の多くの感染症から自分や他者を守るためにできる、最も安価かつ効果的な手段のひとつです。しかし、この最も基本的な対策でさえも、手の届かない人が何十億人もいるのです」とユニセフのプログラム局長、サンジェイ・ウィジェセケラは述べました。「病気を治療する特効薬にはなり得ませんが、基本的な衛生環境を誰もが利用できるようにするための長年の取り組みを今後も続けながら、自分と家族の安全を守るためにとるべき対策を人々に知ってもらうことが大切です」
世界の多くの地域では、子どもや保護者、教師、医療従事者、その他コミュニティの人々は、自宅、医療施設、学校などで基本的な手洗い設備を利用できません。最新の推定によると:
- 世界人口の40パーセント、30億人が、石けんと水で手を洗う設備が自宅にありません。開発途上国の4分の3近くの人々は、基本的な手洗い設備が自宅にありません。
- 47パーセントの学校には石けんと水で手を洗う設備がなく、9億人の学齢期の子どもたちに影響を及ぼしています。世界の学校の3分の1以上、および開発途上国の学校の半分には、子どもが手を洗う場所がまったくありません。
- 医療施設の16パーセント、あるいは6分の1には、患者が治療を受ける場所にまともなトイレや手洗い設備がありません。
都市で暮らす人々は、人口密度の高さに加え、市場や公共交通機関、礼拝所など人の密集した場所に集う機会が多いため、特にウイルス性呼吸器感染症のリスクに晒されています。都市部で貧困層が密集して暮らすスラムは、非公式居住区の最悪の形態であり、特にリスクが高くなっています。結果として、手洗いがさらに重要になります。しかし:
- サハラ以南のアフリカでは、都市部の63パーセント、2億5,800万人が手洗い設備を利用できません。例えば、南アフリカの都市部の約47パーセント、1,800万人の人々は、基本的な手洗い設備が自宅になく、都市居住者の最富裕層は手洗い設備の利用率が約12倍に上がります。
- 中央および南アジアでは、都市部の22パーセント、1億3,500万人が手洗い設備を利用できません。例えば、バングラデシュの都市部で暮らす人口の約半数にあたる2,900万人、また、インドの都市部の20パーセントである9,100万人は、基本的な手洗い設備が自宅にありません。
- 東アジアでは、インドネシアの都市部人口の28パーセントに相当する4,100万人、そして、フィリピンの都市部の15パーセントにあたる700万人が基本的な手洗い設備が自宅にありません。
さらに、手洗いは医療従事者を感染から守り、医療施設でのCovid-19およびその他の感染の拡大を防ぐためにも重要です。コロナウイルスは国の医療体制にも打撃を与えるなかで、石けんでの手洗いは、一般的な呼吸器や下痢性疾患を防ぐ上でも重要です。
子どもと保護者が適切な手洗い設備を利用できるように、ユニセフは世界で取り組んでいます。さらに、90カ国以上で手洗いを推進しており、政府と協力して手洗いの方針、戦略や行動計画を策定しています。また、マス・メディア、地域の保健員や普及員と協力して手洗いを促進すること、学校や教師と協力して子どもたちに手洗いの重要性を教えることなど、各国での手洗いキャンペーンを支援しています。
コロナウイルスへの対応の一環として、ユニセフはまた、正しい手洗い方法を伝えています:
- 流水で手をぬらす
- 手を覆うのに十分な石けんの量をとる
- 20秒以上かけて、手の甲、指の間、つめなど、手のすべての表面をこする
- 流水ですべて洗い流す
- 清潔なタオルまたはペーパータオルで手をふく
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )
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