資生堂、リッチなコクとなじみの良さを両立する成分の開発に成功 ― 開発期間約6年!使い続けたくなる心地よいテクスチャー ―
資生堂は、心地よい使用感触を実現する化粧品の研究開発を進めています。この度”塗布中にリッチなコクがありながらもスッと肌になじみ、塗布後の肌がべたつかない”という特徴をもった、これまでにない心地よい感触を実現する成分(新規水溶性高分子)の開発に成功しました。
化粧品の感触を調整するなど用途に合わせて幅広く使用される高分子は、単一の分子を結合させること(重合)で長短様々な大きさを作り出すことができます。一般的により大きく長い方がリッチなとろみ・感触を出すことができます。しかし従来の重合法では、高分子中に様々な長さの分子が混在してしまい、ぬめりやべたつきが生じてしまう問題がありました。今回は特殊な重合法を用いることで、高分子の長さを適度に揃えることが可能になり、リッチなコクとなじみの良さを両立する高分子をつくりだすことができました。
また、本高分子配合基剤が心地よい感触であることを、感性工学・脳科学を用いて定量的に確認しました。
なお、本研究成果は「第84回SCCJ研究討論会」(日本・大阪)(2019/7/18)にて発表しました。
《新規水溶性高分子の開発》
今回”塗布中にリッチなコクがありながらもすっと肌になじみ、塗布後の肌がべたつかない感触”を実現するためには、求める使用性を妨げてしまう超巨大分子の存在をコントロールすることが重要と考えました。高分子中に超巨大分子が混在するのは、一般的な重合法では速度を制御できないことが原因です。そこで、特定の重合制御剤を添加し重合速度をコントロールすることで、高分子の長さを制御することを可能にしました。(図1)
その結果、分子量が大きいながらも、超巨大分子をほとんど含まない新規水溶性高分子の開発に成功し、塗布中にリッチなコクを感じながらすっと肌になじみ、塗布後の肌はべたつかない、心地よい感触を生み出すことができるようになりました。(図2)
《高分子とは》
高分子とは、モノマーと呼ばれる分子が多数結合して鎖状や網状となった化合物の総称で、その化学構造や物理構造によりさまざまな機能を発現します。化粧品においては、基剤にとろみをつけたり感触を調整する増粘剤、乳化粒子や粉末の均一分散を助ける補助剤、毛髪をコートして保護したり、ヘアスタイルを整える皮膜剤などの多くの目的で使われています。
《心地よさの測定》
資生堂では、感性工学・脳科学を用いて、口紅やファンデーションを塗る時の心地よさを定量的に評価することに成功しています。* 今回開発された新規水溶性高分子を配合することで最適なテクスチャーに調整した化粧水は、当該手法を用いた評価により、目的とした感触を持つことに留まらず、その使用によって脳の快適度も上昇することが確認されました。
今後もこうした知見をよりよい製品やサービスの開発に応用していきます。
*参考) M. Tanida et al., Adv. Exp. Med. Biol., 977, 215~220 (2017)
▼ ニュースリリース
https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002724&rt_pr=tre22
▼ 資生堂グループ企業情報サイト
https://www.shiseidogroup.jp/?rt_pr=tre22
化粧品の感触を調整するなど用途に合わせて幅広く使用される高分子は、単一の分子を結合させること(重合)で長短様々な大きさを作り出すことができます。一般的により大きく長い方がリッチなとろみ・感触を出すことができます。しかし従来の重合法では、高分子中に様々な長さの分子が混在してしまい、ぬめりやべたつきが生じてしまう問題がありました。今回は特殊な重合法を用いることで、高分子の長さを適度に揃えることが可能になり、リッチなコクとなじみの良さを両立する高分子をつくりだすことができました。
また、本高分子配合基剤が心地よい感触であることを、感性工学・脳科学を用いて定量的に確認しました。
なお、本研究成果は「第84回SCCJ研究討論会」(日本・大阪)(2019/7/18)にて発表しました。
《新規水溶性高分子の開発》
今回”塗布中にリッチなコクがありながらもすっと肌になじみ、塗布後の肌がべたつかない感触”を実現するためには、求める使用性を妨げてしまう超巨大分子の存在をコントロールすることが重要と考えました。高分子中に超巨大分子が混在するのは、一般的な重合法では速度を制御できないことが原因です。そこで、特定の重合制御剤を添加し重合速度をコントロールすることで、高分子の長さを制御することを可能にしました。(図1)
その結果、分子量が大きいながらも、超巨大分子をほとんど含まない新規水溶性高分子の開発に成功し、塗布中にリッチなコクを感じながらすっと肌になじみ、塗布後の肌はべたつかない、心地よい感触を生み出すことができるようになりました。(図2)
《高分子とは》
高分子とは、モノマーと呼ばれる分子が多数結合して鎖状や網状となった化合物の総称で、その化学構造や物理構造によりさまざまな機能を発現します。化粧品においては、基剤にとろみをつけたり感触を調整する増粘剤、乳化粒子や粉末の均一分散を助ける補助剤、毛髪をコートして保護したり、ヘアスタイルを整える皮膜剤などの多くの目的で使われています。
《心地よさの測定》
資生堂では、感性工学・脳科学を用いて、口紅やファンデーションを塗る時の心地よさを定量的に評価することに成功しています。* 今回開発された新規水溶性高分子を配合することで最適なテクスチャーに調整した化粧水は、当該手法を用いた評価により、目的とした感触を持つことに留まらず、その使用によって脳の快適度も上昇することが確認されました。
今後もこうした知見をよりよい製品やサービスの開発に応用していきます。
*参考) M. Tanida et al., Adv. Exp. Med. Biol., 977, 215~220 (2017)
▼ ニュースリリース
https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002724&rt_pr=tre22
▼ 資生堂グループ企業情報サイト
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