新型コロナウイルス:最も弱い立場の子どもを守り、世界で連携して行動を【プレスリリース】

子どもの権利の危機を防ぐために

保健所に入る前に検温を受けるコートジボワールの親子。(2020年4月1日撮影) © UNICEF_UNI316672_Frank Dejongh保健所に入る前に検温を受けるコートジボワールの親子。(2020年4月1日撮影) © UNICEF_UNI316672_Frank Dejongh

【2020年4月3日 ニューヨーク 発】

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは前例のない規模で広がり、世界中で人々の命が奪われています。医療システムが崩壊し、国境が閉鎖し、人々はなんとか生計を立ててこの状況を乗り越えようとしています。

ウイルスと日々闘っている医療従事者から、手洗いなど公衆衛生のメッセージを革新的な方法で発信している若者まで、世界各国で人々はこの課題に立ち向かっています。

一部の国では感染の伸びが鈍化しているとしても、社会には急速かつ甚大な影響が及ぶおそれがあります。多くの場所で、最も弱い立場にいる子どもたちが犠牲になるかもしれません。

今行動を起こさなければ、この健康危機は子どもの権利の危機になるリスクがあります。社会の混乱は、子どもたちに大きな影響を与えます。子どもたちの安全、幸福、未来に。私たちが連携して取り組むことによってのみ、紛争で避難を強いられている子ども、障がいのある子ども、暴力の危険にさらされている女の子といった、何百万人もの子どもたちの健康、安全、学びを守ることができるのです。

ユニセフ(国連児童基金)は、以下の行動を迅速に行うことを世界に呼びかけます:

1.子どもの健康を保つ
 

 

南スーダンの地域住民に新型コロナウイルスについて周知する様子。(2020年4月2日撮影) © UNICEF_UNI317962_Chol南スーダンの地域住民に新型コロナウイルスについて周知する様子。(2020年4月2日撮影) © UNICEF_UNI317962_Chol

保健システムを強化するための国際的な取り組みは、ウイルスと闘う上で大きな役割を果たします。具体的には、物資や防護具を影響を受けるコミュニティに確実に届くようにすることや、COVID-19を予防、診断、治療することにおいて医療従事者を訓練することが含まれます。しかし、過度な負担がかかった医療システムは、COVID-19の感染者よりも脅威にさらされているとも言えます。

世界の最も貧しい地域では、肺炎、マラリア、下痢などの病気から身を守るためのサービスを含む、基本的かつ不可欠なサービスを必要とする子どもたちが、それを受けられないリスクがあります。保健医療システムの対応能力が限界をむかえると、乳幼児は予防可能な原因で命を落としてしまいます。

ユニセフは、政府とパートナー団体に向けて、妊産婦や新生児、子ども向けの保健サービスを維持することを求めます。これは、COVID-19による緊急のニーズを引き続き満たしながら、子どもの生存と成長を保障する予防接種への資金確保など重要な取り組みを推進することを意味します。COVID-19への対応は、長期的に保健システムを強化するものでなければなりません。

2.子どもたちの継続した学びを支援する
 

全国放送のテレビ教室プログラムを通して、自宅で勉強する北マケドニアの子どもたち。(2020年3月25日撮影) © UNICEF_UNI314062_Nikolovski全国放送のテレビ教室プログラムを通して、自宅で勉強する北マケドニアの子どもたち。(2020年3月25日撮影) © UNICEF_UNI314062_Nikolovski

COVID-19の蔓延を防ぐため、世界中の学校が休校措置をとっています。保護者や教育関係者は、子どもたちが勉強を続けられるように新たな方法を模索し、対応に追われています。しかし、それでもすべての子どもがインターネット、本や学用品を利用できるわけではありません。

すべての子どもが平等に教育を受け続けられるようにするためには、もっと多くのことに取り組まなければなりません。ユニセフは、新技術がなくとも実現できる手段を含め、家庭学習の手段を拡充し、遠隔地および農村地域でのインターネット接続に優先して取り組むよう政府に求めます。 8億人以上の子どもが学校に通えていない今、教育予算を別の目的に転用するべきではありません。ユニセフはパートナー団体とともに、デジタル・ディバイドを埋め、子どもたちがどこにいても学習を続けられるよう、取り組みを継続します。

3.子どものいる家庭を支援する
 

米国・コルチカット州で、遠隔授業の合間に母親とサッカーをする男の子。(2020年3月19日撮影) © UNICEF_UNI313407_McIlwaine米国・コルチカット州で、遠隔授業の合間に母親とサッカーをする男の子。(2020年3月19日撮影) © UNICEF_UNI313407_McIlwaine

COVID-19の社会経済的影響は、世界で最も弱い立場に置かれた子どもたちに最も強く及んでいます。以前より貧困状態にあった多くの子どもたちは、COVID-19への対応の結果、さらなる困難に直面するリスクがあります。

何百万人もの保護者が生計を立てるのに苦労しています。政府は社会保障、つまり命を守る保健ケア、栄養、教育支援を得られるプログラムや施策を拡充しなければなりません。

社会保障には、現金給付、食料や栄養面でのサポートが含まれます。これには、政府が雇用を守り、働く親を適切に支援するため企業と協力することも含まれます。

COVID-19の流行とそれへの対応による社会や経済への影響を軽減するために直ちに行動をとらなければ、すでに苦難に直面している数千万人の子どもたちが貧困に陥るでしょう。

4.暴力、搾取、虐待から子どもを守る
 

両親と祖父母が新型コロナウイルス感染で入院し、ひとり家に取り残された中国の女の子。病院のスタッフとボランティアが彼女の面倒を見ている。 (2020年2月17日撮影) © UNICEF_UNI304656_Cui両親と祖父母が新型コロナウイルス感染で入院し、ひとり家に取り残された中国の女の子。病院のスタッフとボランティアが彼女の面倒を見ている。 (2020年2月17日撮影) © UNICEF_UNI304656_Cui

社会や経済の混乱によって、すでに暴力、搾取、虐待の危険にさらされている子どもたちは、さらに脆弱になります。孤立していると、家庭やオンラインで暴力に直面している子どもたちは助けを得にくくなります。そして、感染症と経済的困難によるストレスや偏見・差別は、家族の置かれている不安定な状況をさらに悪化させます。

このパンデミックが子どもの保護の危機になることを防がなければなりません。政府は、社会的距離およびその他のCOVID-19への対応を計画する際に、偏見・差別に直面している子どもたちを含む、弱い立場に置かれた子ども特有のリスクを考慮する必要があります。また、この病気により一時的に親から離れることになる子どもを支援し、暴力からの保護やこころの健康へのサポートを求める子どもたちの増加にも対応できるよう、連携する必要があります。

5.弱い立場に置かれた子どもに水と衛生の支援を提供する
 

正しい手洗いの実演をするバヌアツの子どもたち。(2020年4月1日撮影) © UNICEF_UNI316542_Pacific正しい手洗いの実演をするバヌアツの子どもたち。(2020年4月1日撮影) © UNICEF_UNI316542_Pacific

適切な手洗いと衛生習慣を通じて自分自身と他の人を守ることは、これまでになく重要になっています。しかし、多くの子どもにとって、基本的な水と衛生設備は手の届かないところにあります。

遠隔地や、水が未処理または汚染されている場所に暮らし、安全な水を得ることができない子どもたちがいます。また、家がなく、スラム街や路上に暮らし、水や衛生設備を利用できない子どもたちもいます。

ユニセフは、これらの子どもを優先して支援するよう政府に呼びかけます。また、より多くの子どもたちが基本的な水と衛生設備を利用できるように、資金と支援を緊急に要請しています。

6.難民や移民の子ども、紛争の影響を受ける子どもたちを保護する
 

黄疸の症状でユニセフが支援するクリニックを訪れたシリアの赤ちゃん。(2020年2月13日撮影) © UNICEF_UNI310541_Romenzi黄疸の症状でユニセフが支援するクリニックを訪れたシリアの赤ちゃん。(2020年2月13日撮影) © UNICEF_UNI310541_Romenzi

難民・移民の子ども、そして紛争の影響を受ける子どもは、パンデミックがなくても、日々、安全や幸福への言い表せないほどの脅威に直面しています。これらの多くの子どもたちにとって、基本的な保健ケアと施設へのアクセスは非常に制限されているとともに、密集した生活環境によって社会的距離を保つことが難しくなっています。

国連事務総長は、世界がCOVID-19という国境を知らない「共通の敵」に立ち向かうことに集中するため、世界のあらゆる場所での即時停戦を呼びかけました。紛争で破壊された国々の医療制度はすでに崩壊の危機に瀕しています。家族や家から引き離された、最も弱い立場にある子どもたちを支援し、ウイルスの蔓延から子どもたちを守るために、世界で連携して取り組まなければなりません。

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■ 本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。原文は以下のURLからご覧いただけます。 
https://www.unicef.org/coronavirus/agenda-for-action

■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
正しい手洗いで感染予防: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0023.html
30億人が家で手洗いできず: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0047.html
中南米、休校で9割以上が学校通えず: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0056.html
コンゴ民、医療システムの崩壊: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0063.html
移民・難民の子どもへの感染防止を: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0064.html

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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