「2024年問題」が迫る中、建設技術者の人材動向を探る ~データで見る建設業の人材動向に関する実態調査vol.1~
【本件のポイント】
「2024年問題」が迫る背景を踏まえ、建設業の人材動向について実態を調査
建設業の就業時間は減少傾向だが、他業界と比較し、依然、長時間労働の状態が続く
建設技術者の約17%を65歳以上のシニア層が占め、若手および中堅層の占める割合は大きく減少
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■「2024年問題」を控える中、建設業は依然として長時間労働の状態が続く
2024年4月から時間外労働の上限規制の建設業への適用が間近となる中、建設業で就業する人の労働時間の実態について調査しました。その結果、建設業就業者全体の年間の就業時間は、2018年の約2,117時間から、2022年には約2,026時間に減少となりました。5年間で、年間約92時間、就業時間が短くなりましたが、2020年以降は横ばいの状況が続いています。また2022年において、全産業と比較して年間約207時間、製造業と比較しても年間約62時間、建設業の就業時間が長い結果となりました。全産業と比較して、平均で月17時間ほど、就業時間が長いことになります(図表1)。
また、こうした長時間労働の実態は、2023年に入ってからも大きく変わっておらず、1月から10月までの月間就業時間は前年と大きな差異はみられません(図表2)。旺盛な建設需要などを背景に、建設業では、長時間労働の改善が思うように進んでいない状況であり、いかに従業員の就業時間を削減しつつ、労働力を確保していくかが大きな課題であると考えられます。
(図表1・2)総務省「労働力調査」より作成
■建設技術者の約17%は65歳以上のシニア層、経験豊富な人材の大量離職が大きな懸念
建設業では、就業者の高齢化が進んでおり、特に建設技術者の高齢化は深刻な状況にあります。建設技術者として就業している人を年齢層別に調べると、2000年に3.3%であった65歳以上のシニア層の占める割合は、2020年には16.8%にまで、この20年間で大きく上昇しています。
同時に、若手および中堅層の就業者も減っています。建設技術者として就業している34歳以下の占める割合は、2000年の約3割から、2020年には2割弱まで低下しています。なお、44歳以下でみても、2000年の6割弱から、2020年には4割弱まで落ち込んでいます(図表3)。
経験や知識が豊富な65歳以上の建設技術者が5年以内に退職すると仮定すると、就業者の2割近くが5年以内に減少することになり、シニア層の継続活用は一層重要になると考えられます。
(図表3)総務省「国勢調査」より作成
■建設各社は女性や海外人材など、多様な人材活用を進める
こうした状況を受け、建設各社は、女性や海外人材活用を進めています。建設技術者として就業している人のうち、女性の占める比率は、2000年の3.4%から、2020年は9.0%に上昇しました(図表4)。また、技術者を含む 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で建設業で就業いている海外出身者は、2017年から2022年にかけて3倍以上に増加しています。
(図表4)総務省「国勢調査」より作成
このように建設各社は、労働力確保に向け多方面から取り組みを進めていますが、2024年問題を間近に控える今、多様な人材活用に加えて、DX活用による生産性向上を進めることが重要だと考えます。
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