新型コロナウイルスの子どもへの影響ー国連による新報告書【プレスリリース】
教育、栄養、暴力、健康
マザーリシャリーフでCOVID-19啓発のためのリーフレットを手にする男の子。(アフガニスタン、2020年4月15日撮影) © UNICEF_UNI321506_Fazel
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが加速するなか、迫り来る世界的な不況は、今年さらに数十万人の子どもの命を奪い、乳児死亡率の低下における近年の成果が大きく覆すおそれがあることを、16日に発表された国連報告書が明らかにしました。
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新たな調査結果に関する声明の中で国連事務総長のアントニオ・グテーレスは、世界的危機の中で子どもたちを支援するための緊急の行動を求めました。「幸いにも、これまでのところ子どもの多くはこの感染症の最も重篤な症状から免れています。しかし、子どもたちの生活は完全に混乱した状態です。世界中の家庭、そしてあらゆるリーダーたちに訴えます。子どもを守りましょう」
本報告書では、パンデミック、そしてその対策が社会や経済に及ぼす影響が、世界の何百万人もの子どもたちにとって深刻なものになる可能性について指摘しています。教育、食料、安全や保健を含む、主要な分野で危機がどのように子どもたちを危険にさらしているのかについて説明しています。
ロックダウン下の教育
臨時休校を受けて閉鎖されたリッジフィールドの小学校の校庭。(米国、2020年3月18日撮影) © UNICEF_UNI312343_McIlwaine
「一部の学校では遠隔学習を行っていますが、これはすべての子どもが利用できているわけではありません」と事務総長は述べたうえで、低速で高価なインターネットサービスを利用している国の子どもたちはひどく不利な状況に置かれていると付け加えました。
数百万人が学校給食を逃している
カイロの自宅で待機している間、父親とスムージー作りを楽しむ女の子。(エジプト、2020年3月27日撮影) © UNICEF_UNI321594_El-Dalil
家庭とオンラインの安全
キエフの自宅でオンライン授業の課題に取り組む7歳のズラータさん。(ウクライナ、2020年4月15日撮影) © UNICEF_UNI321763_Filippov
今週の初め、ユニセフ(国連児童基金)とパートナー団体は、教育と社会との関わりのためにテクノロジーに依存する子どもが増えるにつれ、オンラインでの虐待や搾取のリスクが高まっていると報告しました。事務総長は、ソーシャルメディア企業がネット上で子どもを守る上での特別な責任について強調しました。
子どもの健康への影響
ジュバのNyakuronプライマリ・ヘルスケア・センターで、経口ポリオワクチン(OPV)を投与される生後4カ月のアミンちゃん。(南スーダン、2020年3月24日撮影) © UNICEF_UNI317187_Ryeng
また、ポリオの予防接種キャンペーンが中断されたため、最後のポリオ常在国であるアフガニスタンとパキスタンでは、根絶に向けた取り組みが遅れています。さらに、23カ国で合計約8,000万人の子どもを対象にしていたはしかの予防接種キャンペーンが中断しています。
「世界的な不況が加速すると、2020年にはさらに数十万人もの子どもの命が奪われるおそれがあります」とグテーレスは警鐘を鳴らしました。このシナリオによって、過去2〜3年間の乳児死亡率の低下の進展が大きく覆されます。「この驚くべき数字は、危機によって中断されたサービスを考慮に入れていません。それは経済と死亡率の間の現在の関係を反映しているだけであるため、実際の影響より小さく見積もられている可能性が高いです」と報告書は指摘しています。
子どもたちのための行動
COVID-19のもたらした危機は前例のないものですが、子どもと人類のための「前例のない国際的な連帯」の機会でもあります。政府は、家庭への社会的支援を展開・拡大し、食料品のサプライチェーンと地域の食品市場を安定化し、学校教育、栄養プログラム、妊産婦・新生児ケアなどのサービスの継続性を優先することにより、子どもへの意図しない影響に対処するよう求められています。
本報告書はさらに、移民、難民、少数民族、障がいのある子ども、スラムで暮らす子どもなど、最も弱い立場に置かれた子どもたちの具体的な保護策について提案しています。物理的な距離をとることやロックダウンにおける基本的な戦略を、都市部における低所得地区、難民キャンプ、紛争地帯などの場所でも適用しなければなりません。
本報告書では、国連があらゆる状況下で活動し、子どもたちのために行動する世界の国々を支援する準備があることを強調しています。グテーレスは、次のように述べています。「パンデミックによって、非常に多くの子どもたちが危機に直面しているため、私は緊急の呼びかけを繰り返します。子どもたちを、彼らの幸福を私たちの手で守りましょう」
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■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
30億人が家で手洗いできず: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0047.html
子どもの権利の危機を防ぐために: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0069.html
ユニセフの子育て6つのヒント: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0075.html
子どもの99%が移動制限下: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0079.html
ユニセフ日本人職員ビデオメッセージ: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0068.html
■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )
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