豊臣秀吉と弟・秀長の関係をはじめ、歴史の中心にいた人物たちの「家族関係」や「血縁」が、いかに時代を動かしてきたのか――。その知られざる力学を、東大教授 本郷和人先生が軽妙かつ鋭く描き出す!
株式会社扶桑社は、『日本史の血脈』 本郷和人(著)を2025年12月18日(木)に発売いたします

「豊臣兄弟」が血でつながるか、家でつながるか――。
天皇から武士、戦国大名、そして明治の元勲まで、日本の歴史は「血縁」と「家」のせめぎあいの連続でした。
本書では、平安貴族の婚姻制度から鎌倉幕府を支えた「平氏」たちの実像、室町・戦国時代の大名の家の論理、江戸の格式社会、そして明治維新後の華族制度までを縦断し、日本人がどのように「血」と「家」で権力を組み立ててきたかを読み解きます。
ときに「血ではなく家だ!」と叫ばれ、ときに「万世一系」の神話が強調される。血筋にこだわる日本の姿と、それを相対化するダイナミズムの両方が浮かび上がります。
さらに、本書は2026年放送予定のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』とも響き合います。豊臣秀吉と弟・秀長の関係をはじめ、歴史の中心にいた人物たちの「家族関係」や「血縁」が、いかに時代を動かしてきたのか――。その知られざる力学を、本郷和人先生が軽妙かつ鋭く描き出します。
「血縁」という視点から読むと、日本史はここまで面白くなる!
これまでの定説を揺るがす発見と、人間くさいドラマに満ちた一冊です。
著者メッセージ
この本の中で取り上げるのは、「血」と「家」が日本の歴史に与えてきた具体的な事例やその影響についてです。
歴史を知るとは、過去の人間と向き合うことです。善悪の物差しを一方的に押しつけるのではなく、当時の人々の常識に目を向けること。そのとき初めて、歴史を「生きた現実」として理解することができるのだと私は思います。
本書を通じて、史料の奥に潜む歴史の実像に目を向け、血脈と権力のダイナミズムを共に考えていただければ、研究者としてこれ以上の喜びはありません。 本郷和人
(『日本史の血脈』はじめにより一部抜粋)
[目次]
第一章 名前から日本史の変遷を読み解く
•名前の変遷は日本社会の変化そのもの
•「苗字」「姓」「氏」はどう違う?
•長く政治の中心に君臨する「藤原」の出発点
•藤原不比等の活躍で一族の未来は盤石に
•「蔭位の制」導入で日本社会は「氏」から「家」へ
•八種類の姓を序列化した「八色の姓」
•栄華を誇った藤原氏によって苗字が生まれた
•藤原定家は「ふじわら“の”ていか」か「ふじわらさだいえ」か
•貴族の家名が「家」の意識へとつながっていく
•領地に結びついた家名を基盤とした武家社会の「家」
•「諱」の代わりに使われたのが「通称」
•鎌倉時代の名付けの方法が戦国時代には曖昧になっていた
•中国の名付けによって「家」を表す文化とは
•義経が頼朝に無断で官職を引き受けて大きな亀裂
•なぜ武士は大金を払ってでも官職を欲したのか
•豊臣秀吉の「豊臣」は「氏」か「苗字」か
•水戸黄門は「水戸光圀公」ではない
•“キラキラネーム”が流行した江戸時代
•秀吉の正室の名は「ねね」ではなかったかもしれない
•秀吉に愛された側室の「茶々」は「茶」だった?
•お墓から見る夫婦別姓の歴史
•一か所に納骨できる「家の墓」が生まれた理由
•夫婦別姓を取る北条政子は自由な存在だったのか
第二章 天皇家という「家」の存続が尊重された平安時代
•真に重んじられたのは天皇家という「家」の存続
•奈良時代には女性天皇が何人も存在した
•女性で唯一「皇太子」として天皇に即位した孝謙天皇
•天皇家には由緒正しき「血筋」が求められた
•“一般人”から天皇になった唯一の存在・宇多天皇
•「臣籍降下」が生まれた切実な理由
•女系で受け継がれていた平安時代の「家」
•家族形態の過渡期にあった「招婿婚」
•平安時代末期、家族と政治の変化は表裏一体
•中央の貴族、軍事貴族、地方武士という三つの「平氏」
•軍事貴族平氏の清盛と堂上平家の時子の結びつき
•軍事貴族平氏の清盛と堂上平家の時子の結びつき
•在地領主である平氏たちの存在が鎌倉幕府を生んだ
•「源氏と平氏は宿命の天敵である」という誤解
•「氏」は武士たちの「筋」を表す誇りだった
第三章 婚姻関係が重んじられた鎌倉時代
•「物語」は「生まれ」を凌ぐ
•身分の高い人が地方をさ迷う「貴種流離譚」
•自らの正当性を担保する存在だった貴種の存在
•貴種流離譚を利用してのし上がった大浦為信
•『尊卑分脈』に載せられた頼朝の意外な息子たち
•頼朝の青年期を支えた藤九郎盛長
•頼朝の蛭ヶ小島での日々は賑やかだった?
•波多野家の女性だった大友能直の母・利根局
•蛭ヶ小島で頼朝と利根局はともに生活していた?
•貴種を尊ぶ文化があったからこそ、頼朝は保護された
•『吾妻鏡』にある新婚の嫁を頼朝に差し出した話
•「頼朝の落胤だ」と家系の正統性を誇示
•頼朝と義経の仲違いで亡くなった河越重頼
•誇り高き武士として命を落とした毛利季光
•「三浦の犬は友を食らうぞ」
•北条家はなぜ将軍にならなかったのか
•計算された戦略で約150年、鎌倉幕府を支配した北条家
•家父長権の強さを象徴する「親の悔返」
•鎌倉時代における女性の財産権とは
第四章 「物語」と「実力」がなければ生き残れない室町時代
•室町時代の主従関係は「人」でなく「家」同士
•「天皇家は万世一系ゆえに刷新がない」
•源氏がリーダーと呼ばれる理由を示した『源威集』
•守護大名たちが共有する原理
•名誉を欲した赤松家が系図を操作した可能性
•応仁の乱以降、「生まれではなく力で勝負する」時代へ
第五章 徹底した実力主義の戦国時代
•実は「下剋上」ではなかった戦国時代
•なぜ「親殺し」はタブーだったのか
•兄殺しも許されていなかった
•儒教と家父長制がまじりあった日本特有の感覚
•跡継ぎ争いで重要視された「母親」の身分
•三男だった頼朝が跡継ぎになった理由
•母親の家格の差がのちの家柄を分けた
•武田家滅亡の背景にあった後継者問題
•上杉謙信の優柔不断がお家騒動に発展
第六章 独立できるかが命運を分けた天下人の時代
•下剋上を果たした武将・立花宗茂
•宗茂が幾度も名を変えた心理とは
•津軽為信の忠義に見る、独立大名の価値
•大名になったばかりに家が潰れた伊集院忠棟の悲劇
•秀吉が語った、天下取りに必要な三つの要素
•鍋島家から見る、下剋上の難しさ
•神様になろうとしていた信長
•秀吉が選んだ「関白」という選択肢の真意とは
•居候先の大名と命運を共にした貴族たち
•なぜか「藤原」を名乗った徳川家康
•家康の逆鱗に触れた岩松家の系図事件
•ヘタウマがかわいい?猫絵の殿様
•家康でさえ自らの正当性を示すために系図を気にした
•系図の真贋を見極める手がかりとは
第七章 後継者問題に揺れた安土桃山時代から江戸時代
•大名にとって「子を認知するかしないか」は大問題
•日本史上の大きな謎の一つである「秀頼の父親」
•甥っ子に粛清を加えた秀吉の心理とは
•秀吉にとって「血が尊いから守られる」という発想は幻想
•本当に秀吉は血統を大事にしていたのか
•実の妹や弟を容赦なく殺した秀吉
•恩を仇で返された秀吉の部下たち
•「築き上げた地位をどう守るか」を何より優先した秀吉
•農民出身でも「血」を大事にした福島正則
•冷酷無比な秀吉が弟の秀長をなぜ殺さなかったのか
•秀吉に排除されなかった秀長の人物像とは
•次男の存在を認めなかった家康の心境
•「家の存続」を重んじる江戸時代の感覚
•秀忠が家康に高く評価されていた証拠とは
•家光以来始まった長子相続のルールは家康がつくった
•お家騒動を回避するための世襲システム
•「家」の連続性優先で将軍になれなかった六代将軍・家宣の弟
•大名も「血の純粋さ」より「家が続くこと」を重視
•「名門の家は存続させるべき」という一線を守った家康
第八章 「家」が無視された明治時代、そして「地位よりも人が大事」と考える現代
•明治の元勲たちの家に「政治的な世襲」は存在しなかった
•華族制度から再び始まった世襲
•安定した時代になると顔を出す「世襲」の傾向
•なぜ日本では「世襲」が成立したのか
•日本社会で「世襲否定」を主張する難しさ
•「地位よりも人が大事」と考える日本社会
•科挙で官僚を選んだ中国、世襲の役人を継がせた日本
•「世襲」を打破する方法とは
•品の良さを感じさせる世襲政治家は少なくない
•時代に応じて「名前」「家」「血」は姿を変えてきた
■著者プロフィール・本郷和人(ほんごう かずと)
1960年、東京都生まれ。
東京大学史料編纂所教授。
専門は、日本中世政治史、古文書学。『大日本史料 第五編』の編纂を担当。
著書に『空白の日本史』『歴史のIF(もしも)』『議論の日本史』(扶桑社文庫)『最期の日本史』『愛憎の日本史』『宗教の日本史』(扶桑社新書)、『東大教授が教える シン・日本史』(扶桑社)、『日本史のツボ』『承久の乱』(文春新書)、『軍事の日本史』(朝日新書)、『乱と変の日本史』(祥伝社新書)、『考える日本史』(河出新書)、『歴史学者という病』(講談社現代新書)など多数。
【書誌情報】
【書誌情報】
タイトル:『日本史の血脈』
定価:1045円(税込)
発売:扶桑社
発売日:2025年12月18日(木)
ISBN:978- 4594101510
■Amazon
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株式会社扶桑社 宣伝PR宛
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