資生堂、脳血流反応測定を用いた使用感の評価法を開発 ― お客さまの化粧品塗布中の使い心地評価は価値判断と相関することを発見 ―
資生堂は、脳血流反応を測定する技術fNIRS※1 を活用し、リアルタイムの測定を通じてお客さまが好む最適な使用感を客観的に評価する新たな手法を開発しました。一般的に化粧品開発では、お客さまによる価値評価や使い心地の評価を行う場合、アンケートやインタビューなどの化粧品塗布後に評価する手法を用いますが、今回開発した新たな手法では、脳血流反応をリアルタイムで測定するため、お客さまが塗布中に感じていることを可視化することが可能となりました。今後、この評価法を商品の開発に活用していきます。
なお、本研究成果(中央大学との共同研究)の一部は「Applying Neuroscience to Business」(日本・横浜)(2019/9/26-28)にて発表しました。
※1 fNIRS=functional Near-Infrared Spectroscopy(機能的近赤外分光法) : 近赤外線光を生体に照射し、透過してきた光を解析することで、脳活動に連動した脳血流変化に伴う血中のヘモグロビン濃度の変化を脳活動としてとらえる方法。お客さまが自ら化粧品を塗布している最中の脳血流反応をリアルタイムで測定することが可能となる。
《化粧品の使用感と脳血流反応の関係》
日常的に口紅を使用している一般女性30名に6種類の柔らかさの異なる口紅のサンプルを使用してもらい、塗布中の脳血流反応を測定しました。この結果、使用感が柔らかすぎる、または硬すぎるといったように、期待する使用感と異なる場合は脳の右下前頭回(IFG)部位の脳血流反応が有意に高まる一方で、適度な使用感が得られた場合には他のサンプルと比較してIFG部位が反応しないことを発見しました(図1)。この研究結果から、脳血流反応をリアルタイムで測定することによって化粧品の使用感を評価することが可能となりました。
さらに、適度な使用感を感じる場合には、WTP※2 の値が上昇し、化粧品の価値判断を示す右背外側前頭前野(DLPFC)の脳血流反応も有意に高くなることが示されました(図2)。このことから、化粧品塗布中の使い心地評価は価値判断と相関することが示唆されました。
※2 WTP(Willingness To Pay) : 商品やサービスに対してどのくらいの金額を支払いたいかの最大金額。行動経済学などにおいて商品やサービスへの支払い意思額の指標に用いられる。
《化粧品の価値判断と脳血流反応》
当社はこれまでに、人が価値判断を行う際に重要であるとされる右背外側前頭前野(DLPFC)の脳血流反応と、行動経済学などにおいて商品やサービスへの支払い意思額の指標に用いられるWTPの値に相関性を発見しています。この研究では、日常的に化粧品を使用している日本語以外を母国語とする女性25名に、使用感の異なる6種類の口紅を使用してもらい、塗布中の脳血流反応をリアルタイムで測定するとともに、WTPによる価値づけを行いました。この結果を日本人女性が口紅を使用した時の結果と比較したところ、WTPと脳血流反応測定結果に同様な傾向が認められることを見出しました。
これにより、脳血流反応を観察することによるお客さまの価値判断評価において、使用する言語を問わず同様の結果が得られることが示唆されました。
今回得られた新たな知見を従来の化粧品評価と組み合わせることにより、お客さまがより価値を感じる最適な使い心地の化粧品の開発を目指していきます。
【参考資料】関連する過去の技術リリース
・2019年:資生堂、脳血流測定を用いた化粧品評価法の開発に成功
https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002729&rt_pr=tre79
▼ ニュースリリース
https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002782&rt_pr=tre79
▼ 資生堂グループ企業情報サイト
https://www.shiseidogroup.jp/?rt_pr=tre79
なお、本研究成果(中央大学との共同研究)の一部は「Applying Neuroscience to Business」(日本・横浜)(2019/9/26-28)にて発表しました。
※1 fNIRS=functional Near-Infrared Spectroscopy(機能的近赤外分光法) : 近赤外線光を生体に照射し、透過してきた光を解析することで、脳活動に連動した脳血流変化に伴う血中のヘモグロビン濃度の変化を脳活動としてとらえる方法。お客さまが自ら化粧品を塗布している最中の脳血流反応をリアルタイムで測定することが可能となる。
《化粧品の使用感と脳血流反応の関係》
日常的に口紅を使用している一般女性30名に6種類の柔らかさの異なる口紅のサンプルを使用してもらい、塗布中の脳血流反応を測定しました。この結果、使用感が柔らかすぎる、または硬すぎるといったように、期待する使用感と異なる場合は脳の右下前頭回(IFG)部位の脳血流反応が有意に高まる一方で、適度な使用感が得られた場合には他のサンプルと比較してIFG部位が反応しないことを発見しました(図1)。この研究結果から、脳血流反応をリアルタイムで測定することによって化粧品の使用感を評価することが可能となりました。
さらに、適度な使用感を感じる場合には、WTP※2 の値が上昇し、化粧品の価値判断を示す右背外側前頭前野(DLPFC)の脳血流反応も有意に高くなることが示されました(図2)。このことから、化粧品塗布中の使い心地評価は価値判断と相関することが示唆されました。
※2 WTP(Willingness To Pay) : 商品やサービスに対してどのくらいの金額を支払いたいかの最大金額。行動経済学などにおいて商品やサービスへの支払い意思額の指標に用いられる。
《化粧品の価値判断と脳血流反応》
当社はこれまでに、人が価値判断を行う際に重要であるとされる右背外側前頭前野(DLPFC)の脳血流反応と、行動経済学などにおいて商品やサービスへの支払い意思額の指標に用いられるWTPの値に相関性を発見しています。この研究では、日常的に化粧品を使用している日本語以外を母国語とする女性25名に、使用感の異なる6種類の口紅を使用してもらい、塗布中の脳血流反応をリアルタイムで測定するとともに、WTPによる価値づけを行いました。この結果を日本人女性が口紅を使用した時の結果と比較したところ、WTPと脳血流反応測定結果に同様な傾向が認められることを見出しました。
これにより、脳血流反応を観察することによるお客さまの価値判断評価において、使用する言語を問わず同様の結果が得られることが示唆されました。
今回得られた新たな知見を従来の化粧品評価と組み合わせることにより、お客さまがより価値を感じる最適な使い心地の化粧品の開発を目指していきます。
【参考資料】関連する過去の技術リリース
・2019年:資生堂、脳血流測定を用いた化粧品評価法の開発に成功
https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002729&rt_pr=tre79
▼ ニュースリリース
https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002782&rt_pr=tre79
▼ 資生堂グループ企業情報サイト
https://www.shiseidogroup.jp/?rt_pr=tre79
すべての画像