交通安全向け地理空間分析プラットフォーム「APAS Platform」を提供開始
〜歩行者・自転車特有の課題を解決する独自技術を基盤に、児童の登下校や放課後の交通事故を防ぐ取り組みを産官学連携で本格展開へ〜
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(以下、「当社」)は、歩行者や自転車といった「交通弱者」の行動データに特化し、交通事故リスクを可視化・分析する地理空間分析プラットフォーム「APAS Platform(エーパス プラットフォーム)」の提供を開始します。
本サービスは、当社およびソニーグループ株式会社が2024年より見守りGPS端末を用いた歩行者先進安全支援システムの実証実験を重ねて開発されました。歩行者・自転車の事故リスク、特に児童の登下校や放課後における交通事故リスクを低減するため、産官学の各ステークホルダーと連携し、「APAS Platform」およびそこから創出した各種サービスの社会実装を推進することで、誰もが事故なく安全に暮らすことのできる社会の実現に貢献します。

■ 地理空間分析プラットフォーム「APAS Platform」とは
「APAS Platform」は、見守りGPS端末やスマートフォンアプリ等から収集される動的な人流データと、事故情報や交通量、地形、建築物、人口データなどの静的な地理空間データを包括的に掛け合わせ、AIが潜在的な事故リスクを算出する高度な分析基盤です。自動車の交通量に依存しがちで、データがまばらに点在する交通事故多発地点情報や、自動車のプローブデータ※1を用いた従来の手法とは異なり、自動車目線、歩行者目線に合わせた道路リンク単位※2でのリスク検知を可能にします。
※1 プローブデータとは、自動車やスマートフォンなどの端末を、移動するセンサー(プローブ)として捉え、その走行履歴や移動情報を収集・蓄積したデータです。
※2 道路リンクとは、道路ネットワークにおける「道路区間」を表す線データで、ノード(交差点や分岐点)と組み合わせて道路のつながりや交通情報を管理する基本単位です。
■「APAS Platform」の特徴
① 行動データの収集と「見えないリスク」の可視化
児童が登下校や放課後に持ち歩く見守りGPS端末やスマートフォンのセンサーを活用し、「急な飛び出し」や「ふらつき」などの危険行動を検知します。これを隣接する車道側のリスクとして記録・変換・解析することにより、車両側からは見えにくい潜在的リスクを可視化します。
② データ統合・分析と空白地帯の補完
微細な道路リンクに対して「トポロジカル・クラスタリング※3」を用いることで、センサーのない生活道路(通学路などの細街路)での交通量を統計的に逆推計するロジックや、地図上にない動線(公園、学校などの敷地内の抜け道など)を推論する仮想歩道推定機能を備え、精度の高い分析を実現します。また、建築物データなどを活用した死角検知機能など、多様なデータを活用した評価を行います。
※3 データ同士の距離ではなく、全体の“形やつながり方”に基づいてグループ分けする手法です。
③ 多様なシステムへの情報提示と安全教材の自動生成
分析結果は、自動車(ADAS・自動運転システム)やナビゲーションシステムに向けた情報連携に活用できるほか、地域や学校独自の通学路の危険箇所を反映したデジタル教材や、安全学習マップアプリの自動生成にも活用することが可能です。
■ 「APAS Platform」とその分析データを活用した児童向けの事故低減教育推進への貢献
当社は、「APAS Platform」を通じて得られるデータやツールを活用した、児童向けの事故低減のための教育推進にも取り組んでいます。
① 交通安全学習用教材「Smart Safety Map」
各学校専用のアプリ「Smart Safety Map」は、児童の事故低減を目的に開発された、インタラクティブな地図アプリです。学校や自宅周辺の交通安全に関する様々なデータを調べることができるほか、自分たちで発見した危険箇所なども登録・共有できるため、安全学習やまち探検用の学習教材としての活用や、地域の安全マップとしても利用することも可能です。
また、本アプリはスマートフォンやタブレットの他、児童のGIGAスクール端末での利用も想定しております。オフライン環境下でも利用可能なため、校外学習としてGIGAスクール端末を持ち歩きながら、本アプリを使って交通安全について調査、学習することができます。

② 「わたしたちのまちの安全研究教室」
「わたしたちのまちの安全研究教室」は、「APAS Platform」と「Smart Safety Map」を活用し、児童自身が「自分たちの街の交通安全を研究する研究者」となって自分の通学路や遊び場の危険箇所を調査する探究学習プログラムです。これまでに全国11校での実施実績があり、従来の座学だけでは難しかった「自分ごととしての安全意識の向上」を科学的アプローチで支援します。
【主な特徴】
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客観的データに基づく科学的な安全教室
児童の実際の行動データを分析し、その知見を基に事故リスクを減らすための効果的な振る舞いや交通安全に対する主体的な意欲を育成するプログラムを提供します。
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見守りGPS端末等を活用した「安全学習アシスト」
2週間程度の期間に見守りGPS端末やスマートフォンアプリを活用し、児童の飛び出しや不規則行動などの事故リスクが高い行動を自動的に検知・記録します。保護者側の見守りアプリでは、児童の歩行状況を「安全スコア」として表示します。この結果を親子で一緒に振り返ることで、家庭における安全行動の習慣化を促します。
また、集約分析したデータを安全教室の教材として活用することで、教育の側面からも安全行動の習慣化を支援します。
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学習指導要領に沿った幅広い学年への対応
小学1年生から6年生までを対象とし、生活科、社会科、総合的な学習の時間など、各学年の関連単元に合わせた柔軟な授業が可能です。


■ 「APAS Platform」や「わたしたちのまちの安全研究教室」を活用したサービス展開
これまでの実証実験や安全研究教室の実績と「APAS Platform」の分析基盤を活かし、産官学の各ステークホルダーと連携した新たなサービス展開を開始いたします。
① 損害保険ジャパン株式会社との連携による「安全研究教室」の全国展開
2026年2月より、当社が開発した教育プログラムおよび分析基盤をベースに、損保ジャパンの交通安全啓発ワークショップ「交通ジャパンダ~きけんをさがせ!~」を組み合わせ、小学生の交通事故防止を目的とした新たな体験型交通安全プログラム「みんなでつくる!次世代型交通安全マッププロジェクト」として全国の小学校および自治体向けに提供を開始します。なお、この活動は両社のCSR活動の一環として展開されます。
② 東京都西東京市への包括的支援の開始
2026年度より東京都西東京市に対し、「APAS Platform」を活用した交通安全分析データの提供に加え、データに基づいた独自教材の提供や安全研究教室の実施など、包括的な交通安全に関する支援を開始いたします。地域と連携し、小学校での安全学習、効果的な児童の見守りについての検討支援や「APAS Platform」を活用した交通安全システムの実証を進めます。
③ 能動的な通学(AST)を研究テーマとする専門家グループとの共同実証
科学研究費助成事業(科研費)基盤研究(A)の採択プロジェクトにおいて「Active School Travel(AST:徒歩や自転車による能動的な通学)」の安全性向上を研究している東京大学大学院の樋野公宏教授を代表とする都市デザインや交通安全の専門家グループと、本プラットフォームを用いた共同研究を2026年2月から開始いたしました。また、福岡県宗像市で共同での実証実験を開始しており、実証実験を通じて得られた学術的な分析結果をテクノロジーと融合させることで、客観的で科学的根拠に基づいた交通安全システムの社会実装を推進します。
<連携する主な専門家・研究機関>
国士舘大学 理工学部 教授 寺内 義典 氏
国土技術政策総合研究所 都市研究部 室長 石井 儀光 氏
熊本大学 くまもと水循環・減災研究教育センター 准教授 吉城 秀治 氏
■ 開発背景
近年、市販車への実装が進むADAS (Advanced Driver-Assistance Systems) や自動運転システムは、交通事故の防止に寄与することが期待されています。しかし、走行する自動車が停止するまでの空走距離と制動距離、自動車側からの死角、道路インフラ構造の制約などから、自動車の機能向上のみによる事故防止には限界があります。そこで、ソニーグループ株式会社が2019年より、歩行者先進安全支援システム (Advanced Pedestrian-Assistance Systems、以下APAS) の研究開発を開始し、2024年より当社と見守りGPS端末を用いた歩行者先進安全支援システムの実証実験を重ねてまいりました。
当社は歩行者や自転車などの交通弱者主体の安全システムを実現し、歩行者と自動車、インフラの連携により交通システム全体での安全最適化を目指します。

■ 今後の展望
本プラットフォームを活用したサービスの導入や「安全研究教室」の実施、ならびに本技術を活用した共同研究・サービス開発に関心をお持ちの自治体、企業、教育・研究機関と連携し、データとテクノロジーを通じた共創により、交通事故のない社会の実現に貢献します。
■ お問い合わせ先
本技術を活用した共同研究・サービス開発や「安全研究教室」実施等のご相談については、以下からお問い合わせください。
サービス問い合わせ、ご相談窓口:contact_apas_pj@sony.com
※記載されている会社名および商品名、サービス名は各社の商標または登録商標です。
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