中東・北アフリカ:5歳未満児死亡、5万人増加のおそれ~COVID-19で医療ひっ迫【プレスリリース】

アデンの病院で重度の急性栄養不良の治療を受けるサレハちゃん。(イエメン、2020年2月9日撮影) © UNICEF_UNI313433_アデンの病院で重度の急性栄養不良の治療を受けるサレハちゃん。(イエメン、2020年2月9日撮影) © UNICEF_UNI313433_

【2020年6月15日 アンマン(ヨルダン) 発】

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、中東・北アフリカ地域における5歳未満児の死亡数が2020年末までにさらに5万1,000人増えるという研究結果を受け、ユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所代表のテッド・チャイバンはWHO(世界保健機関)と共同で以下の声明を発表しました。

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COVID-19の流行により、中東・北アフリカ地域では医療システムがかつてないほどひっ迫しています。プライマリ・ヘルスケア・サービスは、複数の国で減少または中断されています。
 

北東部のハサカの避難所でユニセフの保健員に診察してもらう男の子。ここでは、母親への栄養指導も行っている。(シリア、2020年3月31日撮影) © UNICEF_UNI322636_Hasen北東部のハサカの避難所でユニセフの保健員に診察してもらう男の子。ここでは、母親への栄養指導も行っている。(シリア、2020年3月31日撮影) © UNICEF_UNI322636_Hasen

地域の子どもたちの間でCOVID-19の症例は多くありませんが、パンデミックが子どもの健康に直接影響を及ぼしていることは明らかです。不可欠な保健と栄養サービスの混乱が長期化し、栄養不良の子どもが増加した場合、地域の5歳未満の子どもの死亡が2020年末までにさらに5万1,000人増加するおそれがあります。

これが現実となった場合、COVID-19の流行前の数値と比較して40パーセント近い増加となり、地域での子どもの生存における約20年間の成果が覆ってしまうでしょう。
 

 

さまざまな要因が重なり、この逆行に拍車をかけるでしょう。過度の医療ひっ迫によって、個人用防護具やその他の必要な物資が不足しており、第一線で働く医療従事者の多くは、COVID-19の対応が妨げられています。また、ロックダウン、移動制限や経済的障壁により、人々の医療へのアクセスがさらに妨げられるおそれがあります。多くの人が保健施設にいる間にウイルスに感染することを恐れています。子どもと母親は、予防接種、新生児感染症や小児疾患の治療、妊娠中や出産時のケア、消耗症の増加を防ぐためのサービスなどの予防的ケアを受けられない可能性があります。
 

ミニヤー県にある高校で、課題の受け渡しをする間に手を消毒する男の子。(エジプト、2020年5月11日撮影) © UNICEF_UNI329197_Mostafaミニヤー県にある高校で、課題の受け渡しをする間に手を消毒する男の子。(エジプト、2020年5月11日撮影) © UNICEF_UNI329197_Mostafa

しかし、私たちはこのシナリオを回避し、何万人もの子どもたちが家族や友人に囲まれて5歳の誕生日を迎えられるようにすることができます。

ユニセフとWHOは、以下の行動を求めるとともに、これらを実行するために地域の医療システムを支援します:
  • 感染防止のための厳格な予防措置に従い、個人用防護具を使用し、過密を回避し、医療施設内での物理的な間隔を守った上で、予防接種キャンペーンおよび栄養サービスの完全かつ安全に再開する
  • 医療従事者と物資を確保し、特に最も弱い立場に置かれた子どもたちのためのプライマリ・ヘルスケア・サービスへのアクセスを優先し、促進する。
  • 地域のコミュニティ・アウトリーチチームの、標準的な予防対策や個人用防護具の装備を含む、感染予防・管理(IPC)の最低条件を満たす
  • 効果的なコミュニケーションと地域社会での取り組みに資金を投入し、公衆衛生システムへの信頼を高め、人々の適切な受療行動を促進する

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注記:
  • アルジェリア、ジブチ、エジプト、イラク、ヨルダン、モロッコ、シリア、スーダン、チュニジア、イエメンを含む10カ国が調査対象である。これら10カ国の5歳未満の子どもの人口は約4,100万人で、中東・北アフリカ地域の5歳未満の子どもの総数の約75パーセントを占める。
  • 6カ月間の5歳未満児死亡率の基準値は、約13万3,000人。さらに5万1,000人増えた場合、合計約18万4,000人が死亡することになる。
  • 本共同記者説明会の数値は、『低・中所得国におけるCOVID-19パンデミックの母子死亡率への間接的影響における初期の推定』(原題:Early estimates of the indirect effects of the COVID-19 pandemic on maternal and child mortality in low-income and middle-income countries)という研究に基づいている。ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院(JHU)が上記の研究を実施し、2020年5月に医学専門誌ランセット(The Lancet)グローバルヘルスジャーナルに発表した。この研究は、COVID-19によって、不可欠な保健サービスが中断され、栄養不良の子どもが増加した場合の開発途上国における子どもと妊産婦の死亡への潜在的な影響の大きさに関する指標を提供する。 https://www.thelancet.com/journals/langlo/article/PIIS2214-109X(20)30229-1/fulltext

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■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
各種ガイドライン: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/info/

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

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会社概要

URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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