新型コロナウイルスの影響:就学前教育を逃す子ども、4,000万人【プレスリリース】

ユニセフ調査レポート発表

グジャラート州・サンジェリの自宅で、母親と一緒に絵本を見る3歳のドゥビちゃん。(インド、2020年6月27日撮影) © UNICEF_UNI346399_Panjwaniグジャラート州・サンジェリの自宅で、母親と一緒に絵本を見る3歳のドゥビちゃん。(インド、2020年6月27日撮影) © UNICEF_UNI346399_Panjwani

【2020年7月22日 ニューヨーク 発】

ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した新しい調査レポート『世界的危機の中の保育:COVID -19の仕事や家庭生活への影響』(原題:「Childcare in a global crisis: The impact of COVID-19 on work and family life」)によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって乳幼児期の子どもの保育や教育を担う施設が閉鎖されたことで、世界中で少なくとも4,000万人の子どもたちが、入学前の重要な年に就学前教育を受けることができなくなりました。

ユニセフ・イノチェンティ研究所がまとめた本レポートは、乳幼児期の保育と教育に関する世界の状況を調べ、こうした重要な家庭へのサービスがCOVID-19によって広範囲にわたり停止された影響についても分析しています。

ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは、こう述べています。「COVID-19のパンデミックによって引き起こされた教育の混乱は、子どもたちが可能な限り最善の形で教育をスタートさせることを妨げています。乳幼児期の保育や教育は、子どもの発達のあらゆる側面を左右する基礎を築きます。パンデミックは、その基礎に深刻な影響を与えています」

レポートは、ロックダウンが育児と有給の仕事とのバランスに苦しむ多くの親を生み出しており、平均して男性よりも3倍以上の時間を子どもの保育と家事に費やす女性に、特に過度な負担をかけていると指摘しています。

施設の閉鎖はまた、特に低所得国や中所得国で幼い子どもを抱える家庭をより深刻な危機に晒しており、そうした家庭の多くはもともと社会的保護サービスにアクセスできない状況でした。子どもの保育は、子どもたちに愛情、保護、刺激、栄養を提供する上で不可欠で、同時に社会的、情緒的、認知的スキルの発達に寄与します。
 

ユニセフが政府を支援して建設した6歳までの子どもたちが通うECDケアセンターの子どもたちの様子。(ルワンダ、2020年2月撮影) © UNICEF_UNI316407_Houserユニセフが政府を支援して建設した6歳までの子どもたちが通うECDケアセンターの子どもたちの様子。(ルワンダ、2020年2月撮影) © UNICEF_UNI316407_Houser

COVID-19のパンデミック以前より、乳幼児のための保育施設や教育施設が、高額であったり、質が低かったり、または利用できないために、多くの親が発達の重要な時期に幼い子どもを安全性も刺激もない環境に置かざるを得ません。世界で5歳未満の子ども3,500万人以上が、時におとなの監督なしに放っておかれています。

166カ国のうち、少なくとも1年間授業料無料の就学前プログラムを提供しているのは半数以下に留まり、低所得国の間では15%ほどに低下しました。

家に留まっている多くの幼い子どもたちは、健康的な発達のために必要な遊びや学習サポートを受けることはできません。最近のデータがある54の低所得国と中所得国では、3歳から5歳までの子どもの約40%が、家庭内のおとなから社会情緒的および認知的刺激を受けていませんでした。

また、保育や就学前教育の選択肢がないことで、多くの親、特にインフォーマルセクターで働く母親は幼い子どもを連れて仕事に行くしかなくなるのです。アフリカの女性10人に9人以上、アジアと太平洋諸国の女性10人に7人近くがインフォーマルセクターで働いており、いかなる形態の社会的保護にもアクセスできません。多くの親は、この信頼性の低い、低賃金の雇用から抜け出せず、世代を超えた貧困のサイクルの一因になってしまうとレポートは述べています。

手頃な価格で質の高い保育と就学前教育を利用できることは、家庭や結束した社会の発展に不可欠です。ユニセフは、誕生から小学校の入学までの期間、利用可能で価格が手ごろな質の高い子どもの保育の実現を提唱しています。
 

アビジャンの自宅で母親と一緒に絵を描くクレアちゃん(4歳)とポールちゃん(3歳)。(コートジボワール、2020年4月撮影) © UNICEF_UNI317538_Frank Dejonghアビジャンの自宅で母親と一緒に絵を描くクレアちゃん(4歳)とポールちゃん(3歳)。(コートジボワール、2020年4月撮影) © UNICEF_UNI317538_Frank Dejongh

本レポートは、すべての子どもたちが家庭の状況に関係なく、質の高い、年齢に適した、手頃な価格の保育施設を利用できるようにすることを含め、政府と雇用者が乳幼児期の子どもの保育と教育に関する政策をどのように改善すべきかガイダンスを提供しています。

このガイダンスでは、次の項目を含むさらなる「家族にやさしい政策」についても概説します。
  • 育児休暇の終了と手頃な価格の保育の開始との間に空白期間がなくすための、すべての親のための有給の育児休暇
  • 働く親のニーズに対応する柔軟な労働形態
  • 研修を含む家庭外保育労働力への投資
  • 非正規雇用で働く家族を支援する現金給付を含む社会保護制度

「COVID-19のパンデミックは、世界的な保育危機をさらに悪化させています。家族はこの嵐を乗り切り、子どもたちの学習と発達を守るために、政府や雇用主からの支援を必要としています」(フォア事務局長)

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■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
各種ガイドライン: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/info/

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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