中米・カリブ海地域:ハリケーンとCOVID-19の二重の危機。両者への備えと対応を【プレスリリース】

ハリケーン「ドリアン」の被害を受け、アバコ島のマーシュハーバーで避難生活を送る1歳のガイアナちゃんと母親。(バハマ、2019年9月撮影)© UNICEF_UN0342028_Moreno Gonzalezハリケーン「ドリアン」の被害を受け、アバコ島のマーシュハーバーで避難生活を送る1歳のガイアナちゃんと母親。(バハマ、2019年9月撮影)© UNICEF_UN0342028_Moreno Gonzalez

【2020年8月3日 パナマシティ/ニューヨーク 発】
中米およびカリブ海地域全体で、7,000万人以上の子どもたちが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの直接的または間接的な影響を受けています。さらに、2020年のハリケーンシーズンがより活発な段階に入る中、中米・カリブ海地域の沿岸部に住むこれらの子どもたちの多くは、壊滅的な暴風雨の脅威にも直面する可能性がある、とユニセフ(国連児童基金)は本日警鐘を鳴らしました。特に沿岸部では、暴風雨によって引き起こされる避難生活、インフラの損傷、サービスの中断によって、子どもたちやその家族がより感染症にかかりやすく、またその影響を受けやすくなります。 

ユニセフは特に、強力な暴風雨によって、COVID-19の感染を食い止めるために進められている努力が台無しになることを懸念しています。混雑した緊急シェルターや避難所では、物理的な距離感を確保することが難しいため、ウイルスは容易に広がる可能性があります。同時に、手洗いや効果的な症例管理のような既存の管理手段も、必要不可欠な水や衛生設備、保健インフラが損傷したり破壊された場合には、機能しなくなる可能性があります。 
 

アバコ島のマーシュハーバーでハリケーン「ドリアン」の被害を受けた学校。(バハマ、2019年9月撮影)© UNICEF_UN0342032_Moreno Gonzalezアバコ島のマーシュハーバーでハリケーン「ドリアン」の被害を受けた学校。(バハマ、2019年9月撮影)© UNICEF_UN0342032_Moreno Gonzalez

パンデミックはすでにこの地域の国や地方の保健・医療システムに大きな負担をかけており、壊滅的なハリケーンの余波の中でどのように対応するのかという深刻な疑問を投げかけています。一方で、パンデミックに関連した移動制限や予算不足が、国内のハリケーン対策の取り組みを妨げている可能性もあります。 

ユニセフ・ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域事務所代表のバーント・アーセンは、「今後数日から数週間の間に、子どもたちや家族は、COVID-19とハリケーンという2つの災害に同時に襲われる危険にさらされることになるでしょう」と述べました。「これはカリブ海諸国と中米地域において、まさに私たちが恐れている嵐です。私たちはCOVID-19から人々の安全を守るための予防措置を続けていますが、最も厳しい状況にあるコミュニティの間でウイルスが蔓延しないようにするためには、今すぐにハリケーンに備える努力が不可欠です」 

ユニセフが昨年末に発表した報告書で述べている通り、特にカリブ海地域では、今後数年間で暴風雨の激しさとそれに伴う人口移動が増加すると予想されています。米国海洋大気庁はすでに、2020年のハリケーンシーズンが通常のハリケーン活動の規模を超える可能性が60パーセントあると予測しており、8つのハリケーンと4つの大型ハリケーンを含め平均で15の名前のついた暴風雨が発生するとしています。

5月下旬、熱帯性暴風雨「アマンダ」は、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの一部で洪水と地滑りを引き起こしました。この地域では、子ども1人を含む少なくとも33人が死亡し、数千人が避難しました。3カ国ともCOVID-19の感染が確認されています。 
 

ハリケーン「イルマ」の被害を受け、バーブーダ島のコドリントンに新しくできた学校で勉強をする子どもたち。(アンティグア・バーブーダ、2019年11月撮影)© UNICEF_UN0345662_ハリケーン「イルマ」の被害を受け、バーブーダ島のコドリントンに新しくできた学校で勉強をする子どもたち。(アンティグア・バーブーダ、2019年11月撮影)© UNICEF_UN0345662_

2010年から2019年までのわずか10年間で、暴風雨によりカリブ海地域では89万5,000人、中米では29万7,000人の子どもたちが新たに避難を余儀なくされました。 

ユニセフは地域全体で、教育、コミュニティへの働きかけ、政府への技術支援を通じて、ハリケーンへの備えとCOVID-19への公衆衛生を通じた対応を支援しています。また、ハリケーン対応計画を、パンデミックに関連するリスクを反映したものにし、弱い立場にある子どもたちや家族のために、保健、保護、水と衛生などの必要不可欠なサービスへのアクセスを拡大するよう、地方自治体や国の当局に働きかけています。

ユニセフは、政府、NGO、民間部門のパートナーと協力して、カリブ海諸国と中米地域のコミュニティの間で災害へのレジリエンスを構築するための活動を行っています。そうした取り組みには以下のような活動があります。 
  • 各国政府と協力して、ハリケーンへの備えと対応計画をCOVID-19のリスクを反映したものにするため、子ども、妊娠中や授乳中の女性、女性が世帯主のひとり親家庭、障がいのある子どもたちなど弱い立場に置かれた人々に焦点を当てる。ユニセフはまた、時を得たニーズ評価とエビデンスに基づく対応を行うための調整メカニズムとツールの改善にも取り組んでいる。 
  • カリブ災害緊急管理機関(CDEMA)、カリブ共同体(CARICOM)、中米防災調整センター(CEPREDENAC)などの地域機関の調整作業を支援し、セクター間の調整や長期的な災害リスク管理政策との連携を改善する。
  • ハリケーンのような自然災害から生徒、教師、重要なインフラを守り、レジリエンス(回復力)を高め、能力を強化するために、カリブ海地域の18カ国で「安全な学校」イニシアチブを支援する。
  • バルバドス、アンティグア、トリニダード・トバゴ、そして中米の高リスクの地域に暮らす数千人の子どもたちを支援するため、1万8,500個以上の折りたたみ式水タンク、130基のテント、数百の重要な衛生用品、教育・レクリエーション・キットなどの緊急支援物資を事前に配置する。
  • 気候変動適応政策について政府と協力し、子どもに配慮し、若者の長期的な視点に基づいて情報を得られるようにする。
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■   ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています


■   日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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