2019年の5歳未満児死亡数、過去最少520万人~COVID-19による今後の増加に強い懸念【プレスリリース】

世界で保健サービスが停滞

タチラ州のユニセフが支援する保健施設で診察を待っている赤ちゃん。(ベネズエラ、2020年6月撮影) © UNICEF_UNI347480_Povedaタチラ州のユニセフが支援する保健施設で診察を待っている赤ちゃん。(ベネズエラ、2020年6月撮影) © UNICEF_UNI347480_Poveda

【2020年9月9日 ニューヨーク/ジュネーブ 発】

ユニセフ(国連児童基金)、WHO(世界保健機関)、国連経済社会局人口部、世界銀行グループが発表した新たな死亡率の推計によると、世界の5歳未満児死亡数は2019年に過去最少の水準にまで減少し、1990年の1,250万人から520万人に減少しました。

しかし、ユニセフとWHOの調査によると、その後新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって保健サービスが中断し、これまでの数十年間に及ぶ取り組みの成果が後退するおそれがあることが明らかになっています。

「国際社会は、予防可能な子どもの死をなくすために大きな成果を上げてきました。パンデミックによってその歩みを止めるわけにはいきません」と、ユニセフ事務局長ヘンリエッタ・フォアは述べました。「医療体制のひっ迫により子どもたちがサービスへのアクセスを拒否され、女性が感染を恐れて病院での出産を避けると、彼らもCOVID-19の犠牲者になりかねません。中断した保健システムとサービスを再開するための緊急の投資がなければ、何百万人もの5歳未満の子ども、特に新生児が命を落とす可能性があります」
 

報告書『Levels and Trends in Child Mortality 2020(2020年度版 子どもの死亡における地域(開発レベル)別の傾向)』報告書『Levels and Trends in Child Mortality 2020(2020年度版 子どもの死亡における地域(開発レベル)別の傾向)』

過去30年以上にわたり、早産、低出生体重児、出生時の合併症、新生児敗血症、肺炎、下痢、マラリアなどの子どもの死亡原因を予防・治療するための保健サービスや予防接種は、何百万人もの命を守る上で大きな役割を果たしてきました。

今、世界中で、資源の制約や、COVID-19感染の恐れによる保健サービス利用への一般的な不安から、健康診断、予防接種、産前・産後ケアなどの子どもと母親の保健サービスが中断しています。

夏に77カ国で実施されたユニセフの調査によると、約68パーセントの国で、子どもの健康診断や予防接種サービスに少なくとも何らかの中断があったと報告されています。さらに、63パーセントの国が妊婦検診の中断を、59パーセントの国が出生後ケアの中断を報告しています。

105カ国からの回答に基づく最近のWHOの調査では、52パーセントの国が病気の子どもへの保健サービスの中断を、51パーセントの国が栄養不良の管理サービスの中断を報告していることが明らかになりました。

新生児や子どもの予防可能な死を防ぐためには、このような保健ケアが不可欠です。例えば、WHOによると、国際基準に従って訓練を受けた専門の助産師によるケアを受けている女性は、赤ちゃんを失う可能性が16パーセント減り、早産を経験する可能性が24パーセント減ります。
 

首都アクラで出生証明書受け取ったばかりの赤ちゃん。(ガーナ、2020年6月撮影) © UNICEF_UNI342027_首都アクラで出生証明書受け取ったばかりの赤ちゃん。(ガーナ、2020年6月撮影) © UNICEF_UNI342027_

ユニセフとWHOの調査に参加した国々からの回答によると、保健サービスの中断の理由として最もよく挙げられているのは、親が感染を恐れて保健施設を避けている、交通機関の制限、サービスや施設の停止・閉鎖、マスクや手袋など個人用防護具の不足による感染リスクを理由とする医療従事者の減少、財政的困難の増大などです。アフガニスタン、ボリビア、カメルーン、中央アフリカ共和国、リビア、マダガスカル、パキスタン、スーダン、イエメンは、最も影響を大きく受けている国々として挙げられます。

この9カ国のうち7カ国では、2019年の5歳未満の子どもの死亡率が出生1,000人あたり50人以上と高くなっています。2019年、5歳未満で死亡した子どもの数が17人に1人だったアフガニスタンでは、保健施設への訪問が大幅に減少したと保健省が報告しています。COVID-19への感染を恐れて、家族は産前・産後ケアの優先順位を下げており、その結果、妊婦や新生児が直面するリスクがさらに高まっています。

COVID-19以前でさえ、死亡リスクが最も高いのは新生児でした。2019年には、13秒に1人の新生児が命を落としていました。さらに、5歳未満の死亡のうち47パーセントが新生児期であり、1990年の40パーセントから増加しています。不可欠な保健サービスの大規模な中断により、新生児の死亡リスクがはるかに高くなる可能性があります。例えば、ユニセフの調査によると、2019年に新生児38人に1人が死亡したカメルーンでは、新生児ケア、妊婦検診、産科ケア、産後ケアの必須サービスが推定75パーセント中断していることが報告されています。

5月には、ジョンズ・ホプキンス大学による初期モデリングによって、COVID-19による中断のために、命を落とす子どもが1日あたり約6,000人増える可能性があることが示されました。

これらの報告書や調査は、出産時ケアに熟練した保健ワーカーの確保を含め、母親と赤ちゃんのための出産に関わるサービスや産前・産後ケアを立て直し改善するための早急な行動が必要であることを浮き彫りにしています。また、両親の不安を和らげ、安心させることも重要です。

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■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます:
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
各種ガイドライン: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/info/

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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