荻原浩さんの『笑う森』が、第19回中央公論文芸賞を受賞しました!
受賞作の選評は、10月15日発売の『婦人公論』11月号に掲載される予定です。贈賞式は10月17日、都内で開催されます。
2024年5月31日に発売された直木賞作家荻原浩さん2年ぶりの長編小説『笑う森』。書店員さんから、「待っていました! これぞ荻原作品の集大成」「荻原浩ファンであればあるほど楽しめる」と絶賛の声が寄せられ、書評でも多く取り上げられた本作が、このたび、「中央公論文芸賞」を受賞しました。
物語は、自殺の名所と噂の「神森」で失踪したASD 児・真人が、1週間後に救助される場面から始まります。特に衰弱した様子もなく、食べ物は摂っていたはずだと診断される真人。その上、なぜか苦手だったはずのバナナが食べられるようになったり、教えた覚えのない言葉や歌をしきりに発していて……。「くまさんが助けてくれた」と語る彼に、あの森で一体何があったのか? 世間からバッシングを浴びるシングルマザーの母に代わり、真人の叔父が1週間の空白を解明するため奔走します。
真人と同じタイミングで神森に迷い込んだのは、恋人をうっかり刺殺した女、同僚や生徒からいじめを受ける中学校教師、挫折続きのユーチューバー、娘のために組の金を奪って逃走するヤクザ。拭えない過去と罪を背負った4人は、森での不思議な邂逅を機に、生まれ変わります。死体を埋めた手で寒さに震える子供にマフラーを巻き、食事を与え、それでも保身のために幼子を夜の森に置き去りにする……。懺悔に慈悲深い微笑みを向け、そっと再生に導く、荻原ワールド炸裂の一作です。
【書籍内容】
原生林で 5 歳の ASD 児が行方不明になった。1 週間後無事に保護されるが「クマさんが助けてくれた」と語るのみで全容を把握できない。バッシングに遭う母のため義弟が懸命に調査し、4 人の男女と一緒にいたことは判明するが空白の時間は完全に埋まらない。森での邂逅が導く未来とは。希望と再生に溢れた荻原ワールド真骨頂。
【著者紹介】
荻原浩(おぎわら・ひろし)
1956(昭和 31)年、埼玉県生れ。成城大学経済学部卒。広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。1997(平成 9)年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005 年『明日の記憶』で山本周五郎賞を、2014 年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞受賞を、2016 年『海の見える理髪店』で直木三十五賞を受賞。著作に『ハードボイルド・エッグ』『神様からひと言』『僕たちの戦争』『さよならバースディ』『あの日にドライブ』『押入れのちよ』『四度目の氷河期』『愛しの座敷わらし』『ちょいな人々』『オイアウエ漂流記』『砂の王国』『月の上の観覧車』『誰にも書ける一冊の本』『幸せになる百通りの方法』『家族写真』『冷蔵庫を抱きしめて』『金魚姫』『ギブ・ミー・ア・チャンス』など多数。
【書籍データ】
【タイトル】笑う森
【著者名】荻原浩
【発売日】2024 年 5 月 30 日
【造本】四六判変型
【定価】2,420 円(税込)
【ISBN】978-4-10-468907-1
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