教育危機:自宅でネット使えない子ども、13億人~デジタル格差が引き起こす教育格差【プレスリリース】

アフワーズ郊外の農村部で暮らす9歳のマルヤンさん。自宅でインターネットが利用できず、学習を続けることができずにいる。(イラン、2020年4月撮影) © UNICEF_UNI344454_アフワーズ郊外の農村部で暮らす9歳のマルヤンさん。自宅でインターネットが利用できず、学習を続けることができずにいる。(イラン、2020年4月撮影) © UNICEF_UNI344454_

【2020年12月1日 ニューヨーク/ジュネーブ 発】

ユニセフ(国連児童基金)と国際電気通信連合(ITU)の新しい報告書によると、世界の学齢期の子どもの3分の2、つまり3歳から17歳までの13億人が、自宅でインターネットに接続できないことが明らかになりました。

報告書『家庭でインターネットに接続できる子ども・若者の数は?』(原題:How Many Children and Youth Have Internet Access at Home?)は、15-24歳の若者の間でも同様にインターネットへのアクセスが不足しており、7億5,900万人(63パーセント)が自宅でインターネットを利用できないと指摘しています。

「多くの子どもや若者が自宅でインターネットを利用できないことは、デジタル・ディバイド(gap:裂け目)というより、言うならばデジタル・キャニオン(canyon:峡谷)です」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「接続性の欠如は、子どもや若者のインターネットへの接続能力を制限するだけでなく、近代経済の中で競うことができなくなります。それによって、子どもたちを世界から孤立させてしまうのです。そして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のために何百万人もの子どもたちが経験しているような休校措置がとられた場合、教育を受ける機会を失うことになります。即ち、インターネットへのアクセスの欠如によって、次世代の未来が犠牲になるのです」

世界で約2億5,000万人の学齢期の子どもがCOVID-19による休校の影響を受けており、何億人もの人がオンライン学習に頼らざるを得ない状況になっています。その場合、インターネットにアクセスできない子どもたちにとって、教育は手の届かないものになります。パンデミック以前より、21世紀の経済界で競争するために、基礎的なスキル、応用可能なスキル、デジタルスキル、仕事に特化したスキル、起業家スキルを学ぶニーズは増え続けていました。
 

自宅で小学6年生の教科書を読み、練習問題に取り組む11歳のラファエルくん。家族が携帯電話を持っていないため、オンライン学習に参加できずにいる。(ケニア、2020年7月撮影) © UNICEF_UNI362245_Everett自宅で小学6年生の教科書を読み、練習問題に取り組む11歳のラファエルくん。家族が携帯電話を持っていないため、オンライン学習に参加できずにいる。(ケニア、2020年7月撮影) © UNICEF_UNI362245_Everett

デジタル・ディバイドは、すでに国や地域社会を分断している不平等を永続させていると、報告書は指摘しています。最も貧しい家庭や農村部、低所得国の子どもや若者たちは、同世代の子どもたちよりもさらに遅れをとっており、追いつく機会をほとんど与えられていません。

世界的に見ても、裕福な家庭の学齢期の子どもたちの58パーセントが自宅でインターネットに接続しているのに対し、貧しい家庭の子どもたちは16パーセントに留まります。この格差は、国の所得水準によっても存在します。自宅でインターネットに接続できる低所得国の学齢期の子どもは20人に1人未満に留まっているのに対し、高所得国では約10人中9人です。

また、国や地域間の地理的な格差もあります。世界的に見て、都市部の学齢期の子どもの約60パーセントが自宅でインターネットにアクセスできないのに対し、農村部では約4分の3がアクセスできません。サハラ以南アフリカと南アジアの学齢期の子どもが最も影響を受けており、10人に9人の子どもがインターネットに接続できません。

<地域:家庭でインターネットに接続していない3-17歳の学齢期の子ども>
西部・中部アフリカ: 95パーセント - 1億9,400万人
東部・南部アフリカ : 88パーセント - 1億9,100万人
南アジア: 88パーセント - 4億4,900万人
中東・北アフリカ: 75パーセント - 8,900万人
ラテンアメリカ・カリブ海諸国: 49パーセント - 7,400万人
東欧・中央アジア: 42パーセント - 3,600万人
東アジア・太平洋地域: 32パーセント - 1億8,300万人
世界: 67パーセント - 13億人

昨年、ユニセフとITUは、すべての学校とその周辺コミュニティをインターネットに接続するための世界的なイニシアチブであるGIGAを立ち上げました。GIGAは政府と連携し、現在30カ国で80万校以上の学校をマッピングしました。このデータをもとに、GIGAは政府、産業界、民間部門、およびパートナーと協力し、デジタル学習のソリューションやその他のサービスを展開するために必要な接続インフラを構築するための官民混合の資金調達に向け、説得力のある投資事例を作成しています。

また、GIGAは現在、Reimagine Educationイニシアチブの下で、「Generation Unlimited」(無限の可能性を秘めた世代)と連携しています。ユニセフは、Reimagine Educationイニシアチブを通じて、教育の危機に対応し、子どもや若者が質の高いデジタル学習に平等にアクセスできるようにすることで、教育を変革することを目指しています。これを達成するための鍵となるのが、普遍的なインターネットへの接続です。

これらの努力と若者のエンゲージメントの重要性を踏まえて、若者がデジタルの世界に参加し、エンゲージメントできるようにするためにITUが立ち上げたイニシアチブがGeneration Connectです。
 

オンライン学習に参加できない子どもたちのために開かれた学習キャンプの様子。(エクアドル、2020年8月撮影) © UNICEF_UN0359713_Arcosオンライン学習に参加できない子どもたちのために開かれた学習キャンプの様子。(エクアドル、2020年8月撮影) © UNICEF_UN0359713_Arcos

ユニセフとITUの報告書のデータは憂慮すべき状況を示していますが、支払い能力、安全性、デジタルスキルの低さなどの複合的な要因により、状況はさらに悪化している可能性があります。ITUの最新データによると、購買力に大きな格差がある開発途上国においてはいまだ携帯電話やインターネット接続は高価であることに加え、デジタル社会に有意義に参加するためには、デジタルスキルの低さが障壁となっていることに変わりはありません。

子どもたちが家でインターネットに接続できる環境があっても、家事や仕事をしなければならない、家庭に十分な機器がない、女の子のインターネット利用が許可されていない、オンラインでの機会の活用方法が理解されていないなどの理由で、接続できない場合があります。また、親が子どもの安全を守るための準備が不十分である場合には、インターネット上の安全性という課題もあります。

注記:
本報告書は、0歳から25歳までの子どもや若者がいる家庭におけるインターネット接続の利用可能性について、85カ国以上のデータを用いて分析を行っているものです。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)
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