先進国の子どもの貧困:今後5年間はコロナ前を上回るレベルーユニセフ新報告書【プレスリリース】

ニューヨークの自宅で母親と本を読む4歳のマーゴットちゃん。(米国、2020年5月撮影) © UNICEF_UNI332465_Bajornasニューヨークの自宅で母親と本を読む4歳のマーゴットちゃん。(米国、2020年5月撮影) © UNICEF_UNI332465_Bajornas

【2020年12月11日 フィレンツェ/ニューヨーク 発】

ユニセフ(国連児童基金)の新しい報告書によると、子どもの貧困は、先進国(ここではOECDないしEU加盟国)全体で少なくとも今後5年間は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発生以前の水準を超えたままであると予想されます。しかし、政府の財政支出のうち、第1波の間、特に子どもや子育て世帯を支援するために割り当てられた資金はわずか2パーセントに過ぎません。

ユニセフ・イノチェンティ研究所が新たに発表した報告書『COVID-19を越えて家族と子どもを守る:先進国における社会的保護』(原題:Supporting Families and Children Beyond COVID-19: Social Protection in High Income Countries)は、パンデミックの社会的・経済的影響が子どもたちにどのような影響を及ぼし得るか、 危機に対する政府の初期対応について、そして子どもたちをよりよく支援するために、今後の公共政策がどのように最適化され得るかを探っています。

「財政支出のうち子どもや家族に直接割り当てられた額は、パンデミックの深刻な影響やその影響が各国に及ぶであろう期間に見合っていません」と、ユニセフ・イノチェンティ研究所所長のグニラ・オルセンは述べました。

2020 年 2 月から 7 月末までに先進国ではCOVID-19 の対応に10.8 兆米ドルという大きな額が費やされましたが、そのうち約 90パーセントが企業向け、あるいは企業を通じた経済対策に充てられたと報告書は指摘しています。企業支援は危機対応には不可欠な要素ではありますが、必然的に社会的に最も置き去りにされた子どもたちやその家族を排除することにもなり、最も悪い状況に置かれた人々が最も大きな打撃を受けることになるでしょう。

「再びCOVID-19が猛威を振るうなかで、より良いバランスが求められなくてはなりません」(オルセン)
 

リヨンの自宅でテレワークをする母親のそばで遊ぶ3歳のヴィオレットちゃん。(フランス、2020年3月撮影) © UNICEF_UNI323485_Amsellem_Divergenceリヨンの自宅でテレワークをする母親のそばで遊ぶ3歳のヴィオレットちゃん。(フランス、2020年3月撮影) © UNICEF_UNI323485_Amsellem_Divergence

報告書に含まれている国の約 3 分の 1 は、COVID-19の第1波への対応において、子どもを支援することを明確に目的とした政策を実施しませんでした。育児支援、学校給食、家族手当など、子どもと家族のための社会的保護に投資をした国々でも、その大部分は平均3カ月の実施に留まりました。このような短期的な支援策は、長期に及ぶと予測される危機と子どもの貧困のリスクに対処するには全く不十分であると報告書は指摘しています。

「ユニセフは各国政府に対し、ビジネスへの支援と並行して、子どものための社会的保護を強化するよう求めています」とオルセンは述べました。「家族に焦点を当てたより強力な政策として、最貧困家庭への無条件での所得支援、食費・保育費・光熱費の手当支給、家賃や住宅ローンの長期的免除などを組み合わせて、すべての子どもとその家族がこの危機から立ち直れるように、より強固な基盤を整えなければなりません」

報告書は、流行が続く中で、子どもと家族をさらなる影響から守るための対策を含む、子育て世帯と企業支援の両方のニーズを満たし、より良いバランスを見つけるための以下のガイダンスを提供しています:
  • 危機下で子どもたちを守るために何が有効かという証拠に沿って、社会的保護のための支出の増加を可能にするために、現在の経済対策を見直す。現在の子どもたちの生活水準の低下に関連した公私の費用は、時間の経過とともに、より集中的な社会的支援への需要が高まるため、長期的かつ高額になるだろう。
  • 具体的には、雇用条件、社会保険料、居住地を含む既存の家族関連政策の適格基準を緩和し、子どもを持つすべての不利な立場に置かれた家族(例えば、無職世帯、貧困層に近い人々、最近の移住者など)が、この時期に給付を得られるようにする。
  • 所得支援、学校給食や代替サービス、保育、保健ケア、光熱費、家賃、住宅ローンの免除など、COVID-19における子どもとその家族の幅広いニーズを満たすために、社会的保護対応を多様化する。
  • 各国がコロナ後の未来を見据えるにあたり、特に貧困から子どもを守り、すべての子どもの幸福を守るために設計された包摂的な家族政策が、COVID-19対応の中心に組み込まれているようにする。
  • 継続的な企業支援には、休暇や労働条件の調整など、家族にやさしく、公的資金の公平な投資を促進するための条件を含めることができる(これまでの経済対策においてはあまり活用されていない)。
  • 緊縮財政から、既存の子どもと家族のための給付やサービスを守る。緊縮財政政策は、暴力、健康などの面で、子どもへのリスクが高まる可能性があることがわかっている。
  • 最後に、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた前進を最大化し、将来の影響に対するレジリエンスを構築するため、長期的な視点に立ち、社会的保護制度と貧困を防ぐ子どもと家族の政策を強化する。

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■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

 

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