使用済紙おむつマテリアルリサイクルにおけるCO2排出削減効果に関して

LCA(ライフサイクルアセスメント)による算出結果報告

2025年3月31日

トータルケア・システム株式会社

住友重機械エンバイロメント株式会社

大王製紙株式会社

TOPPAN株式会社

株式会社日本触媒

株式会社リブドゥコーポレーション

公立大学法人北九州市立大学

 トータルケア・システム株式会社(本社:福岡県福岡市、代表取締役:長 武志、以下 「トータルケア・システム」)と住友重機械エンバイロメント株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:永井 貴徳、以下 「住友重機械エンバイロメント」)、大王製紙株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 社長執行役員:若林 賴房、以下「大王製紙」)、TOPPAN株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:齊藤 昌典、以下 「TOPPAN」)、株式会社日本触媒(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:野田 和宏、以下「日本触媒」)、株式会社リブドゥコーポレーション(本社:大阪市中央区、代表取締役 社長執行役員:宇田 知仁、以下「リブドゥコーポレーション」)の6社(以下「連携6社」)は、排出量が年々増加し社会問題化している使用済紙おむつについて、「新しい使用済紙おむつマテリアルリサイクル」(*1)構築に取り組んできました。

 この度、連携6社と公立大学法人北九州市立大学(福岡県北九州市、学長:柳井 雅人、以下「北九州市立大学」)の7者(以下「連携7機関」)により、この「新しい使用済紙おむつマテリアルリサイクル」の環境評価としてLCAを実施しました。なお、第20回日本LCA学会研究発表会(2025年3月)において北九州市立大学より「使用済紙おむつの水溶化処理によるマテリアルリサイクルのライフサイクル評価」と題し、研究発表しました。

 2020年3月、環境省が『使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン』を公表し、2024年8月に閣議決定された『第5次循環型社会形成推進基本計画』において、使用済紙おむつの再生利用等の取り組みを実施または検討を行った自治体の総数を2030年までに150にするという数値目標が掲げられるなど、紙おむつの再生利用にむけての取り組みが動き出しています。

 トータルケア・システムは、2005年より福岡県大牟田エコタウン内の水溶化処理(以下「大牟田方式」)による紙おむつ専用のリサイクルプラント「ラブフォレスト大牟田」において、リサイクル処理後の再生パルプを建築資材の原料(外壁材、内装材等)として利用する事業を20年間継続しています。その後継システムとして、パルプ、高吸水性ポリマー(SAP)、プラスチックフィルムの主要3部材のリサイクル化を連携6社で検討しています。

 今回、使用済紙おむつを焼却施設で焼却処理した場合と、SAPとプラスチックフィルムは固形燃料の原料とし、パルプのみをマテリアルリサイクルしている大牟田方式、および主要3部材全てをマテリアルリサイクルした場合の3パターンにおけるCO2排出削減効果についてLCAを実施しました。環境省のリサイクルの普及に向けたCO2排出削減効果の見える化も考慮し、前提条件の整理、再資源化パターンに応じた数値化、既存インフラとの連携等といった様々な視点から連携7機関で議論を重ねることで結果を得ました。

 大牟田方式の処理実績である使用済紙おむつ5,000t/年(乾燥重量換算で1,500t/年)で計算した場合、単純に焼却処理した場合と比較して、マテリアルリサイクルした場合は2,813t-CO2/年の削減効果があることがわかりました。これは、約1,000世帯当たりの年間CO2排出量(*2)に相当する数値になります。

■システム境界図

■LCA 

前提条件 : ・大人用紙おむつ:乳幼児用紙おむつ=5:5(枚数比)

         ・使用済紙おむつ5,000t/年(乾燥重量換算で1,500t/年)を処理した場合

*1

■連携6社による後継システムである「使用済紙おむつマテリアルリサイクルシステム」の目的と特長

(目的)

①使用済紙おむつから主要3部材(パルプ、SAP、プラスチックフィルム)を再資源化すること

②排出者にとって有益な製品として還元すること(アップサイクル)

③既存インフラ(下水処理施設・焼却施設)との連携により、コスト面も配慮すること

(特長)

・回収したプラスチックの活用

 再生プラスチックとして資源回収ボックスや紙おむつ専用回収袋などの原料として活用します。

・回収したSAPの再生技術

 吸水性能を復元させる再生化技術により災害用トイレなどの用途として活用することができます。

・下水処理施設・焼却施設との連携

 人口減少に伴う課題解決に取り組む下水処理場と連携し、再生処理システムに下水処理水を使用することで、衛生的かつ経済的な社会サービスの提供ができます。また、焼却施設との連携では、焼却施設の排熱を再生処理システムの熱源に使用することで、環境面、コスト面の双方で効果が生み出せます。

・リサイクル促進のための社会活動

 回収した部材が実際に活用されることで、地域での各種の分別や回収を促進させる啓蒙活動や環境教育の効果が高まり、環境意識の更なる醸成やリサイクル活動を通じた行動変容を促します。

*2

 環境省が令和6年3月に発表した『令和4年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 結果について(確報値)』中の「令和4年度の世帯当たり年間CO2排出量(電気、ガス、灯油の合計)は、2.59tCO2となった」より算出しました。

■連携7機関について

・トータルケア・システムについて  

 2004年、福岡県大牟田エコタウン内に、水溶化処理による紙おむつリサイクルプラント「ラブフォレスト大牟田」を竣工し、2005年より事業を開始。世界的にも例が少ない紙おむつのリサイクルシステムを国内ではじめて構築しました。現在では医療機関・福祉施設や周辺自治体の一般家庭から排出される年間5,000トンを超える使用済紙おむつをリサイクルしています。

http://www.totalcare-system.co.jp

・住友重機械エンバイロメントについて

 住友重機械エンバイロメントは「快適な生活・環境」を守るために、水処理事業を通じて持続可能な社会の実現を目指しています。公共水インフラや産業向け水処理施設などの水処理に関する高度な技術と、設計施工から運転管理までの幅広い実績を有し、本事業のプラント設計・施工を担当します。これまでに培ったエンジニアリング力を活かし、さらに深刻となる使用済紙おむつの問題解決に向けて積極的に取り組み、社会の持続的発展に寄与いたします。

https://www.shiev.shi.co.jp

・大王製紙について

 大王製紙は、経営理念「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」の実現に向け、総合製紙メーカーとして、洋紙や板紙、衛生用紙、紙加工品等を製造・販売しています。大人用紙おむつの「アテント」やベビー用紙おむつの「グーン」ブランドなどを展開し、製造過程で出た端材は、ペットケア用品の「キミおもい」のシステムトイレ用ネコ砂に利用するなど、マテリアルリサイクルを行い、環境にも配慮したやさしい商品づくりを目指しています。紙おむつのリサイクルにおいては、再生パルプを当社のフラッフパルプ生産に活かし、水平リサイクルへの取り組みを進めることで、地域との共生を図り、持続可能な地域の発展に貢献してまいります。

https://www.elleair.jp

・TOPPANについて

 TOPPANは事業活動を通じ持続可能な社会づくりに貢献するため、「DX&SX」の取り組みを強化し、「社会的価値創造企業」の実現を目指しています。パッケージに利用されている「GL BARRIER」や「カートカン」、「101エコシート」などの建装材など、環境配慮型製品を多数ラインアップし、環境にやさしいモノづくりに取り組んでいます。「使用済紙おむつマテリアルリサイクル」を通じ、持続可能な社会の実現を目指します。

https://www.toppan.co.jp

・日本触媒について

 1941年の創業以来、自社開発の触媒技術を核としてグローバルに活動する化学メーカー。紙おむつに使われ、世界1位のシェアを誇る高吸水性樹脂(2024年当社調べ)やリチウムイオン電池材料など、人と社会から必要とされる素材・ソリューションをお届けします。グループ企業理念「TechnoAmenity ~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」のもと、長年培ってきた技術力を通じて皆様に豊かさ・快適さを提供しています。

https://www.shokubai.co.jp

・リブドゥコーポレーションについて

 介護と治療の両域において、一人ひとりの「生きるチカラを応援する」企業として事業を展開。 介護の領域であるライフケア事業では、「リフレ」ブランドで大人用紙おむつを製造販売しており、 施設・病院向けの業務用分野において介護のプロたちから選ばれています。

 また、治療の領域、メディカル事業では、病院の手術室で使用される手術用キットの製造販売をしており、近年シェアを高めています。超高齢社会において、両事業ばかりでなく、それぞれの重なる領域や周辺領域にもビジネスドメインを拡大しようとする取組みもスタートしています。

https://www.livedo.jp

・北九州市立大学について

 北九州市立大学は1946年に小倉外事専門学校として創立され、北方キャンパス(小倉南区)、ひびきのキャンパス(若松区)を有する文理総合大学へと成長してきました。6,000名を超える学生が学び、学生規模では全国の公立大学で第3位の規模となっています。2001年に国際環境工学部、2012年に環境技術研究所が設置され、環境工学や環境技術に関する多くの研究が行われています。使用済紙おむつリサイクルの研究については、2010年よりLCAに取り組んでおり、今回の実施担当者の1人である松本教授は、環境省『使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン』策定に関する検討会(2019年度)に委員として参画しました。

https://www.kitakyu-u.ac.jp/

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* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

以  上

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環境・エコ・リサイクル
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会社概要

TOPPANホールディングス株式会社

165フォロワー

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URL
https://www.holdings.toppan.com/ja/news/
業種
情報通信
本社所在地
東京都文京区水道1-3-3
電話番号
-
代表者名
麿秀晴
上場
東証プライム
資本金
1049億8643万円
設立
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